──────────────────────────────
プロセスを計画策定し実施するための組織方針を確立し維持する。
──────────────────────────────
この共通プラクティスの目的は、プロセスに対する組織の期待を定義し、定義した期待を組織内で影響を受ける者に対して見える状態にすることである。一般的に、上級管理層は、組織の指針となる原理、指示、および期待を確立し伝達する責任がある。
上級管理層からのすべての指示が『方針』と呼ばれるわけではない。どのように呼ばれるか、またはどのように伝えられるかにかかわらず、適切な組織的指示の存在が、この共通プラクティスでは期待されている。
「CMMI モデル-公式日本語翻訳版」
第7号:組織方針の話
2004年10月25日

-
組織方針の話
GP2.1 組織方針を確立する
CMMIモデルでは上記のように定義されています。
CMMIモデル付録C:『用語集』によると、組織方針とは「指針となる原理であって、意思決定に影響を与えたり判断するために組織が採用するもの。典型的には、上級管理層によって確立される。」って言うじゃない・・・。でも、誰も方針のことって頭にないですから。残念!!!
アプレイザルで、あるプロセス領域の方針を、説明できない人をみたことがあります。「手順はきちんと守っているので、方針を知らなくても大した問題ではない」と言っていました。
手順さえ守っていれば、方針なんて知らなくてもよいものなのでしょうか。日本人には方針というものは馴染みにくいものなのでしょうか。方針なんてなくても生きていけるかもしれません。
CMMの話ではないですが、BS7799の審査でパスワードの桁数が方針と違って、イギリスから来た審査員に改善要求を突きつけられたことがあります。パスワードが5桁だろうが6桁だろうが、どうでもいいですよ♪と歌っていると、その審査員が言うには「方針が徹底できていないことは重大な問題だ。だからそのようなグレードにした」ということでした。彼は方針をとても重要なものと考えています。
方針は重要です。意志決定に影響を与えるのです。みなさんの会社の組織方針は、意志決定に影響を与えていますか? 方針はこうでなくっちゃいけません。意志決定に影響をあたえない方針は、役に立っていません。組織の指針となる原理、指示、および期待が無視されているということです。
GP2.1をもう一度確認しましょう。
──────────────────────────────
プロセスを計画策定し実施するための組織方針を確立し維持する。
──────────────────────────────
CMMIでは『確立し維持する』という語句はその用語自体の意味の他に、文書化し、使用するという意味も内包しています。方針は作って飾っておくためのものではないです。使ってあげてください。
では最後に、方針のサンプルを紹介します。
『Interpreting the Cmmi: A Process Improvement Approach』からの引用です。 -
要件管理(RM)方針
1.0 目的
要件管理(RM)の目的は、プロジェクトの製品と製品コンポーネントの要件を管理し、それらの要件とプロジェクトの計画の間で不一致を識別し、製品を作動させることである。
2.0 範囲
この方針はxxx組織のxxx部門の中でソフトウェアプロジェクトにあてはまる。用語「プロジェクト」は、この方針において使われるので、システムとソフトウェア工学、メンテナンス、変換、向上、および調達プロジェクトを含む。
3.0 責任
プロジェクト長は、RMプロセスが続いていると保証することとする。各プロジェクトは、要件が文書化されて、管理されて、追跡されるであろうと保証するプロセスに続くであろう。
4.0 立証
RM活動はより高レベル管理によってレビューされるであろうし、プロセスは客観的に固執のために品質保証(QA)スタッフによって評価されるであろう。
5.0 サインオフ
以下はこの方針をレビューし、承認することとする:
・ Director仲間
・ 品質保証
・ EPG会長
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
訳は「本格翻訳3」で作りました。そのままです。
これが、指針となる原理であって、意思決定に影響を与えたり判断するために組織が採用するものなのかという指摘が上がってきそうですが、構造は参考になると思います。この枠に管理層としての熱い思いを込めて、素敵な方針を作ってください。