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第8号:CMMIを実生活で役立てよう!

2004年11月25日

  • CMMIを実生活で役立てよう!

    皆さんは、車や家、大型家電といった高額な買物をするときに、どれを買うかをどうやって決めているでしょうか?(値段?機能?見た目?)
    今回は実生活にも役立つCMMIのプロセス領域として「決定分析と解決」についてのお話です。

    このプロセス領域はSW-CMMには無く、CMMIになって新たに追加されたものの内の一つです。成熟度レベル3になるためには必須のプロセス領域となっています。
    それでは、モデルの「目的」の所を見てみましょう。

    『決定分析と解決』の目的は、特定された選択肢を確立された基準に照らして評価する正式評価プロセスを使用して、可能な決定を分析することである

    つまり何かを決める時には、何となく決めるのではなくて、正式評価プロセスを使用することによって、分析をしましょうということです。では具体的に固有プラクティスを見ていきましょう。

    SP1.1 正式評価プロセスを必要とする課題を決定するため、指針を確立し維持する。

    家庭で、自分のお昼ご飯を決めるのは勝手にしてもいいけど、新しい車を買うとなると奥さんがだまってはいない、という人は多いでしょう。これをはっきりさせておくために、「50万円以上のものを選ぶときには、(奥さんに相談するという)正式評価プロセスを使用する」といった感じのことを決めておくということです。

    SP1.2 選択肢を評価するための基準、およびこれらの基準の相対的な等級を確立し維持する。

    車を選ぼうとしているのであれば、「値段」、「燃費」、「かっこよさ」、「居住性」といったことが評価基準として考えられます。あれこれ考えるより先に基準を決めておくことによって、無駄な検討を抑えることができます。また、後になって「何であんなのを買ったんだ!」と言われたときの言い訳にもなります。
    ここで重要なのは、自分(または奥さん)にとって必要不可欠な基準を選ぶことです。

    SP1.3 課題に対応するため、解の選択肢を特定する。

    ようやく確信に近づいてきました。ここでは、じゃあどんな候補があるのかを選び始めます。「フィット」、「ヴィッツ」、「デミオ」といった候補を選んでいきます。この際に、本やインターネットを参照したり、車について詳しい友人に意見を求めることも重要です。

    SP1.4 評価手法を選択する。

    まだまだ決定には至りません。さらに今度は評価手法について考えます。試乗して自分で感覚をつかむのか、雑誌のレビューを参考にするのか、実際に乗っている人を捕まえて感想を聞くのか、という感じですね。

    SP1.5 確立された基準および手法を使用して、解の選択肢を評価する。

    ようやく評価が始まります。「フィット」の「燃費」は「インターネットで調べた所」どうだけど、「ヴィッツ」はどうだという具合です。個人的にはここからの作業がとても楽しいと思います(下手をすれば、実際に手に入れるよりも)

    SP1.6 評価基準に基づいて選択肢から解を選定する。

    さあ、あとはここまでの情報を総合的に判断して、「これだ!」というものを選ぶだけです。きっと自分で納得できる逸品を選ぶことができることでしょう。

    車のためにここまでやるのはやり過ぎの気もしてきましたが、これが数千万円もする家ならどうでしょう?ここまでやれば、例え失敗だったと思う日が来ても、根拠が明確なのであきらめもつくかもしれません。次に車を買うときには、足りなかった判断基準を追加すれば良いのです。さらに同じように車を買おうとしている友人がいれば、これらのデータを見せてあげれば、きっとありがたがってもらえることでしょう(気持ち悪がられるかもしれませんが・・・)

    逆に仕事で考えてみましょう。きっと様々な選択を行なう場面があるはずです。
    新しいシステムを開発する場合、クライアントサーバーかウェブか、開発言語は何にするのか、データベースには何を使うのか等々。重要な場面にこのプロセス領域を適用することで、お客さんや自社の人達に決定を納得してもらうことができ、ポイントを絞って効率的に進められ、後から他の人にも有益な情報が残ることでしょう。先日受講したSEIのコースでも、このプロセス領域の重要性は話題にのぼりました。

    ちなみに今回このテーマを選んだのは、私が実際こんな選択をしようとしているからです。