「CMMI V1.2 モデル-公式日本語翻訳版」がSEIより公開されました。
http://www.sei.cmu.edu/cmmi/translations/japanese/models/
今回は、PDF版とWord版があります。
「CMMI 1.2版での変更点」という解説ページもありました。
こちらも日本語です。素晴らしい。
さらに、下記の3つのファイルも日本語で提供されています。
・モデルの変更点
・SCAMPI-A 評定手法の変更点
・トレーニングの変更点
V1.1とV1.2では、日本語訳が変わった用語もあるようです。ちょっと気になります。
第41号:CMMI V1.2 モデル-公式日本語翻訳版公開
2007年08月24日
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CMMI V1.2 モデル-公式日本語翻訳版公開
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CMMIのランキング
CMMIはソフトウェア開発能力を測る世界的基準と言われているけど、実際どのくらい広まっているのかとか、どのくらいの規模の組織がCMMIに取り組んでいるのかとか、アプレイザルで落としやすいプロセス領域は何なのかなど、調べたいと思ったことはありませんか?
これらについてはSEIから年2回提供されている、Maturity Profileというレポートで知ることができます。
CMMIに関する何でもランキングといったところですね。
以下のサイトからいつでもダウンロードできます。
http://www.sei.cmu.edu/appraisal-program/profile/
正式アプレイザル(SCAMPI)実施後、リードアプレイザが結果をSEIに送っていますので、それがまとめられてレポートになるようです。
現在の最新版は2007年3月時点のものです。
興味深いデータをいくつかご紹介しましょう。○現在の状況
2007年1月までにSEIに報告されたアプレイザル数、組織数、参加企業数、再アプレイザル実施数、プロジェクト数、アメリカ以外の組織の割合が紹介されています。今までに2,000近くのアプレイザルが行われ、1,000以上の企業が参加し、そのうち65.5%はアメリカ以外で行われています。
○成熟度レベル(ML)の割合
ML3が一番多くて36.1%、次いでML2が32.7%、ML5は16.4%です。
ML4は以外と少なく4.2%です。
ML3達成後は、ML5を目指すケースが多いのかもしれません。○組織のサイズ(従業員の人数)
100人以下の組織が半分近く(45.9%)を占めます。
101~200人が19.6%、201人以上が34.5%です。
ここで言う組織とは、会社全体でなくアプレイザルの単位としての組織なので、実体としては事業部やグループという単位であるかもしれません。CMMIは大きな組織やプロジェクトでないと適用出来ない、という声を聞くこともありますが、ビジネスエリアや業務内容で分けて行うのが有効と考えている組織も多いという事ですね。○専門分野の選択
CMMIには、システムエンジニアリング(SE)、ソフトウェアエンジニアリング(SW)、供給者ソーシング(SS)、統合成果物プロセス開発(IPPD)などの専門分野があり、アプレイザルの際にはそれらの専門分野のいずれかまたは複数を選択します。SE+SW、SE+SW+SS+IPPDといった具合です。
データ上は、SWのみとSE+SWで9割近く(88.3%)を占めています。
CMMIはソフトウェア業界で広く浸透している事がここからも分かりますね。
逆に、IPPDを採用しているのは、全世界でも6%程度です。
「IPPDを採用すべきか」という質問を受ける事もありますが、SE/SWの基本プラクティスで十分と考えている人が多いという事ですね。○アプレイザルを実施した組織を含む国
全世界50カ国で実施された実績があるようです。
○国毎のアプレイザル数 ※()内は2006年9月、2006年3月時点のデータ
1位 アメリカ 718(598←500)
2位 中国 240(158←117)
3位 インド 202(177←140)
4位 日本 172(155←131)
5位 韓国 78(56 ← 50)
6位 フランス 72(65 ← 42)
中国がインドを抜いて2位になりました。ここ最近の伸びがスゴイですね。
ヨーロッパではSEIの拠点のあるフランスが健闘。(?)
韓国もじわじわ増えてます。
日本もCMMIに取り組む組織は多いですが、他国の勢いを見ると、もっと頑張らないといけないなという気になってきます。○プロセス領域(PA)のプロファイル
成熟度レベルが1や2という結果だったアプレイザルのうち、PAが評価されたもの(Rated)と満足していると判断されたもの(Satisfied)の割合が示されています。
RatedとSatisfiedの差が大きいPAほど、要注意PAと言えそうです。
いくつか列挙しておきます。
・構成管理(CM)
・品質保証(PPQA)
・検証(VER)
・統合プロジェクト管理(IPM)
・リスク管理(RSKM)
・決定分析と解決(DAR)
いかがですか?
人に教えると「へぇ~」と言ってもらえそうな情報がたくさんあったかと思います。
Maturity Profileは、毎年3月と9月頃にリリースされてるようです。
もうすぐ最新版がリリースされますので、楽しみですね。
さて、最後におまけとして、なんでもランキングついでにCMMIに関してこんなランキングも作ってみました。○固有プラクティス数の少ないPAベスト3(CMMI-DEV ver1.2 IPPDなし)
1位 【4つ】プロセスと成果物の品質保証(PPQA)
2位 【5つ】要件管理(REQM)、妥当性確認(VAL)、組織プロセス実績(OPP)、原因分析と解決(CAR)
※数が少ないからと言って、けして実装が簡単なPAではないですよ。○長~いプラクティス表現ベスト3(CMMI ver1.1)
1位 【98文字】成果物統合(PI) SP3.1
組み立ての前に、成果物の組み立てに必要なそれぞれの成果物構成要素が適切に特定され、その記述に従って機能すること、および成果物構成要素インタフェースがインタフェース記述に準拠していることを確認する。
1位 【98文字】プロセスと成果物の品質保証(PPQA) GP3.2
組織のプロセスおよびプロセス資産の将来の利用および改善を支援するために、「プロセスと成果物の品質保証」プロセスの計画策定および実施から導出された作業成果物、尺度、測定結果、および改善情報を集める。
3位 【97文字】プロジェクトの監視と制御(PMC) GP3.2
組織のプロセスおよびプロセス資産の将来の利用および改善を支援するために、「プロジェクトの監視と制御」プロセスの計画策定および実施から導出された作業成果物、尺度、測定結果、および改善情報を集める
※暗記できた貴方は素晴らしい!ちなみに、この後17位までGP3.2が続いて、18位がQPM SP2.3です。○長~いゴール表現ベスト3(CMMI ver1.1)
1位 【74文字】各プロセス領域 GG1
プロセスは、特定可能な入力作業成果物を変換し、特定可能な出力作業成果物を作成することによって、そのプロセス領域の固有ゴールの達成を支援し可能にする。
2位 【73文字】妥当性確認(VAL) SG2
成果物または成果物構成要素が、意図した運用環境での使用に適していることを確実なものにするため、成果物または成果物構成要素の妥当性が確認されている。
3位 【69文字】プロセスと成果物の品質保証(PPQA) SG1
実施されたプロセスおよび関連する作業成果物とサービスの忠実さは、適用されるプロセス記述、標準、および手順に対して、客観的に評価されている。
※滅多に表舞台に立たないGG1がこんなところで1位に!
いかがですか?
明日から使えるトリビアですが、人に教えてもあまり有難がってはもらえないかもしれません。