IDEAL の I は、Initiating の I です。
IDEALモデルは、改善活動を開始し、計画し、そして履行するためのロードマップとして役立つ組織のプロセス改善モデルです。SEI によって開発されました。
IDEAL は、ソフトウェアプロセスの改善サイクルにおける5つのフェーズの頭文字をとって名づけられたものです。
・開始フェーズ(Initiating)
・診断フェーズ(Diagnosing)
・確立フェーズ(Establishing)
・活動フェーズ(Acting)
・発展フェーズ(Leveraging)
IDEALについての詳細は、下記のURLを参照してください。
http://tinyurl.com/22redx
というわけで、今回は、開始フェーズ(The Initiating Phase)を説明します。
第40号:IDEALのアイ
2007年07月25日
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IDEALのアイ
○概要
開始フェーズは、IDEALモデルの最初の段階です。このフェーズで組織のシニア・マネジメントがまず必要なソフトウェアプロセス改善(software process improvement;以下、SPI)を理解し、SPIプログラムをコミットし、SPIのためのコンテクストを定義します。
この段階は新しいシステムを定義するのによく似ています。初期のSPIタスクのための、初期のハイレベルのSPI計画とスケジュールが作られ、主な機能要素が定義され、主要なインタフェースや要件も定義され合意されます。このハイレベルの計画は組織を確立フェーズの終了まで導いてくれるでしょう。そのときにはSPIアクションプランが完成しているでしょう。
典型的にはディスカバリ・チームが作られ、課題を調査し、シニア・マネジメントへのSPI提案を作ります。SPI提案の承認に続いて、SPIプログラムを開始するためのインフラが作られます。
組織は、どのように改善の取り組みを組織化するか、誰を関与させるか、どのぐらいの時間を割り当てるのかを決めなくてはいけません。この決定に基づいて、マネジメント・ステアリング・グループ(以下、MSG)やソフトウェア・エンジニアリング・プロセス・グループ(以下、SEPG)等のための憲章や人員配置が完成されます。これらのグループが作業手順や計画、スケジュールを作り、組織をプロセス改善プログラムへと導きます。
計画することはこの段階でとても重要です。いったん(診断フェーズで)ベースラインを作る取り組みが進行すると、MSGやSEPGはますます激しい圧力を受けることでしょう。通常その時点では取り組みを組織化するのに十分な時間を割り当てることはとても難しいです。何をどのようにいつ行うのかといったことを、ベースラインを作る前に、MSGとSEPGの両方が明確に理解することは、後の工程を効果的に作業するために不可欠です。
開始フェーズのプロセスフローは下記のような感じになります。○プロセスフロー
┌─────────┐
│ スタート │
└────┬────┘
│
┌───────────┼───────────┐
│ │ │
▼ ▼ ▼
┌─────────┐ ┌─────────┐ ┌─────────┐
│ビジネスニーズと改│ │ SPI 提案を作る │ │支援を教育し構築す│
│善のための決定要因│ │ │ │る │
│を特定する │ │ │ │ │
└────┬────┘ └────┬────┘ └────┬────┘
│ │ │
└───────────┼───────────┘
│
▼
┌─────────┐
│SPI 提案と初期資源│
│の承認を得る │
└────┬────┘
│
┌─────────┴─────────┐
│ │
▼ ▼
┌─────────┐ ┌─────────┐
│SPI インフラを確立│ │SPI のための環境を│
│する │ │評定する │
└────┬────┘ └────┬────┘
│ │
└─────────┬─────────┘
│
▼
┌─────────┐
│概括的な SPIのゴー│
│ルを定義する │
└────┬────┘
│
▼
┌─────────┐
│SPI プログラムの指│
│針を定義する │
└────┬────┘
│
▼
┌─────────┐
│プログラムに着手す│
│る │
└─────────┘
もっと詳しく知りたい方は、CMU/SEI-96-HB-001 を読んでみてはいかがでしょうか。