IDEALモデルは、改善活動を開始し、計画し、そして履行するためのロードマップとして役立つ組織のプロセス改善モデルです。SEI によって開発されました。
CMMIモデルの「B.略語(頭字語)」に IDEAL の記述があります。
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IDEAL
Initiating 開始
Diagnosing 診断
Establishing 確立
Acting 活動
Learning 学習
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昔は、IDEAL の L は Learning ではなく Leveraging でした。いつの間にかLearning になりました。
それでは、CMU/SEI-96-HB-001に基づいてIDEALを紹介していきます。
IDEAL は、ソフトウェアプロセスの改善サイクルにおける5つのフェーズの頭文字をとって名づけられたものです。
・開始フェーズ(Initiating)
・診断フェーズ(Diagnosing)
・確立フェーズ(Establishing)
・活動フェーズ(Acting)
・発展フェーズ(Leveraging)
IDEAL は、下記のようにソフトウェアプロセス改善(以下、SPI)に必要な段階を通した連続したループを提供しています。
L←A
↓ ↑
I→D→E
IDEALモデルを1サイクルするのに必要な時間は組織によって異なります。また、実際には IDEAL のフェーズ間の境界はモデルで示されるように明確ではありません。
SPI を遂行するためのインフラストラクチャは、SPI施策が成功するか失敗するかについて重要な役割を果たします。インフラストラクチャが SPI施策にもたらす重要性を過小評価するべきではありません。
第37号:IDEAL:ソフトウェアプロセス改善のためのユーザーズガイド
2007年04月25日
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IDEAL:ソフトウェアプロセス改善のためのユーザーズガイド
○開始フェーズ
開始フェーズは IDEALモデルの出発点です。初期の改善インフラストラクチャが確立されて、インフラストラクチャへの役割と責任がはじめに定義され、そして最初のリソースが割り当てられる場所です。このフェーズで、SPI計画を作成します。
これからやるべきことのために将来のリソースのコミットメントとともに、SPI施策が承認されます。
SPIプログラムの一般的な目標は、開始フェーズの間に定義されます。それらは、組織のビジネスニーズから確立され、IDEAL の確立フェーズの間に洗練され、明確になるでしょう。
SPI を支持し促進する初期のインフラストラクチャが、開始フェーズの間に確立されるでしょう。典型的には、マネジメントステアリンググループ(MSG)とソフトウェアプロセスエンジニアリンググループ(SEPG)とが確立されます。
また開始フェーズの間に、SPI施策の開始を伝えるために計画が作られ、そして、組織的なアセスメントを行うことが提案されます。○診断フェーズ
IDEALモデルの診断フェーズは、継続的なソフトウェアプロセス改善の道に組織を出発させます。このフェーズが後のフェーズのための土台を築きます。
このフェーズで、組織のビジョン、戦略的な経営計画、過去の改善努力から学ばれた教訓、組織が直面している重要なビジネス問題、および長期目標に従って、SPI処置計画が開始されます。評定活動は、組織の現状のベースラインを確立するために行われます。
評定からの結果や勧告が、現存する改善努力や計画された改善努力と融和し、SPI処置計画に含められます。○確立フェーズ
確立フェーズの間に、組織が、その改善活動によって対処すると決めた課題は優先され、解決策を追跡するための戦略も開発されます。
組織のビジョン、戦略的な経営計画、過去の改良努力から学ばれた教訓、組織に直面している重要なビジネス問題、および長期目標に従って、SPI処置計画のドラフトは完成されるでしょう。
確立フェーズの間に、測定できる目標が、開始フェーズで定義された一般的な目標から開発されます。これらの測定できる目標は SPI処置計画の最終版に含められるでしょう。
また、進歩を監視するのに必要なメトリクスが定義され、資源がコミットされ、テクニカルワーキンググループ(TWGs)にトレーニングが提供されます。
開発された処置計画は、診断フェーズから優先付けされた所見と勧告を扱い、SPI活動を導きます。
また、このフェーズの間に戦術的な処置計画テンプレートが作成され、利用可能になります。○活動フェーズ
IDEALモデルの活動フェーズで、診断フェーズの間に発見された改善のために、その領域を扱う解決策が、作成され、先行評価され、組織全般にわたって展開されます。
新しいプロセスや改善されたプロセスを試験し評価するために、先行評価を実施する計画が開発されるでしょう。
新しいプロセスの成功した先行評価と全組織的な採用、展開および制度化のための準備を決定した後で、発表会を遂行する計画が開発され実行されます。○発展フェーズ
発展フェーズの目的は、IDEALモデルを通る次の道をより効果的にすることです。
このときまでには、解決策は展開していて、教訓は学ばれ、実績におけるメトリクスと目標達成は収集されています。
これらは、モデルを通して次の道に関係している人員のために情報源になるであろうプロセスデータベースに追加されます。
この収集された情報を使用し、SPIプログラムで使用された戦略、手法およびインフラストラクチャの評価ができます。これにより実施する前に、戦略、手法、またはインフラストラクチャへの是正または調整することができます。
行われるべきであるいくつかの質問は:
インフラストラクチャ(MSG、SEPG、TWGsなど)能力は適切でしたか?
解決策開発活動におけるTWGsによって使われた手法は満足できましたか?
SPIコミュニケーション活動は十分でしたか?
SPIのためのスポンサーシップは、再確認される必要がありますか?
別のベースライニング活動は、行われる必要がありますか?
次のサイクルのための IDEALモデルの中への再突入ポイントは、このような質問に対する答えに非常に依存しています。