「ストーンスープ」という寓話をご存知でしょうか。
この話の元はポルトガルの民話だそうで、そのエピソードから、人々の協力を集めるための呼び水の比喩にも使われるそうです。
こんなお話です。
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飢えた旅人がある集落にたどり着き、民家に食事を求めて立ち寄ったが、折からの凶作のため、誰からも「おまえにやる食べ物などない」と断られてしまう。
一計を案じた旅人は、村の広場で火を起こし、持っていた鍋を火にかけてお湯を沸かし始める。
そんな旅人に興味をもった小さな少女がやってきて「何してるの?」と聞く。
すると、旅人は懐から丸い小石を取り出してこう答える。
「この丸い石でストーンスープを作るんだよ。村の皆にも食べさせてあげよう」
少女はすぐに村中にふれ回り、村人たちが集まり始める。
「せっかく美味しいスープが出来るけど、こんなに集まったのでは、もっと大きな鍋じゃないと入らないな」
少女は家から大きな鍋を転がしてきた。心配した母親もついてきた。
湯が沸いて湯気が立ち始めると、さらに村人がぞくぞくと集まってきた。
皆、どんなスープが出来上がるのか興味津々で見つめている。
旅人はスープを味見して「良い出来だ」とつぶやき、「人参があればな」と言うと、ある村人が一束の人参を差し出し、手際よく手渡される。
再びスープの味を見て「美味しい。玉葱もあればもっと石の風味が良く出るのだが」と旅人が言うと、別の村人からすかさず玉葱が出てきた。
それを鍋に入れ、さらに旅人は言う。
「いいぞ、でもお肉があるともっと美味しくなるんだけどな。あと他の野菜があるといいし、塩、胡椒もあるといいんだが。」
「それならうちにある!」そう言って各々の村人たちは様々な食材を持ってきて、鍋に放り込んだ。
ほどなくして、グラグラ煮立ったスープからは美味しそうな匂いが漂ってくる。
旅人はもう一度味見をし「出来た!」と宣言する。
たっぷりのスープは村中の人々がお腹一杯飲むのに十分な量だった。
「こんなに美味しいスープが石からできるなんて!」 と村人たちは喜んだ。
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このお話から、何かの目的に向かってコトを成し遂げるには、
・誰か旗振り役の人の呼びかけを刺激として、
・達成後のビジョンやメリットを示して参加者の興味を引き、
・参加者の自主性を重んじ、少しずつ協力を仰いて活動を進め、
・達成後は皆で喜びを分かち合い、次につながるようにする
ということが大事なんだと感じます。
プロセス改善活動もこれと似たようなところがあると思います。
プロセス改善の推進役であるSEPGは、現場と協力して新しい仕組みや標準作りを進めて、組織がよりよい状態になるように改善活動を進めていきます。
しかし、SEPGが孤軍奮闘し、現場と協力せずに一人または独立したチームで黙々と活動を進めた結果、現場に受け入れられない仕組みが出来上がってしまい、浸透せずに形骸化してしまう場面をときどき見かけます。
改善活動をうまく進めるためには、旗振り役であるSEPGは、参加者の興味を引くように活動の目的や効果を組織のメンバに示し、現場が参加しやすくなる粒度でタスクを分割し、自主的に協力してもらえる状態を作り出して、そして活動がうまくいった時には、参加者同士で活動の成果を振り返り、喜びを分かち合うことが重要かと思います。
組織のメンバとともに、いつも美味しいストーンスープを飲めるような改善活動になることを目指しましょう。
第172号:ストーンスープとプロセス改善, CMMI V2.0の新情報
2018年07月25日
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01ストーンスープとプロセス改善
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02CMMI V2.0の新情報
CMMI V2.0に関する新情報がまたいくつか出てきましたので概要をご紹介します。
CMMI V2.0アップグレードトレーニング
V2.0のアップグレードトレーニングには以下の2種類があります。
1) インストラクタが教える座学形式の1日コース
2) CMMI研究所のサイトで受講できるEラーニングコース
このうち、1)のコースがパイロットの位置付けではありますが、利用可能になったとCMMI研究所から告知がありました。
受講時は、CMMIモデルへの一時的なアクセス権が付与され、説明用の教材を使用して講座形式で学習します。
終了後はCMMI Associate試験の受験資格が得られ、試験をパスするとV2.0へのアップグレードが完了します。
内容の不明点などをインストラクタや参加者同士で質疑応答するスタイルを希望する場合は、こちらの形式で受講するのが良いでしょう。
とはいえ、モデルの公式日本語訳はまだリリースされておりませんので、今はまだ英語版での受講になります。
それでも早く受講したいという方は、弊社までご相談ください。
2)のEラーニングコースは、2018年9月にリリースの見込です。CMMI V2.0関連ドキュメントのアクセス方法と価格変更
CMMI V2.0関連のドキュメントを参照するには、今まではオンライン上のModel Viewerアクセス権を個人として購入するしかありませんでしたが、2018年8月からPDFファイルのみのダウンロード販売も開始されるようです。
あわせて、価格体系もかなり見直しがされました。
ダウンロード版は、CMMIモデルが$150、評定手法文書が$350、採用と移行ガイド、V1.3→V2.0マッピング、クイックリファレンスガイドは無料とのこと。
Model Viewerのアクセス権は、年間継続利用料が$250となります。
ダウンロード版だけの購入の場合、今後新たに追加されるコンテンツは別途追加購入が必要ですので、継続していろいろなコンテンツを入手したい場合は、Model Viewerのアクセス権の方がオトクかもしれません。
他に、Model Viewerをちょっとだけ試したい人のために、$50で30日間だけアクセスできるトライアルアクセス権というのが出来るようです。
ただしこれは、モデルの参照のみでPDFダウンロードは出来ないようです。
さらに、ライセンスが個人でなく企業に付与されるエンタープライズライセンス版が利用可能になりました。
こちらはもうすでに希望すれば利用できる状態でして、企業規模に応じたライセンス数など様々な購入形態が選べるようですが、詳細や価格はCMMI研究所に直接メールで問合せて見積りをとる形式になるようです。