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第171号:君は同僚を信用できるか?

2018年06月25日

  • 君は同僚を信用できるか?

    ピアレビューは、作業成果物から早期にかつ効果的に欠陥を取り除くことができる重要な活動です。

    しかし、ピアレビューが不要だと思っている人もいるようです。

    よくある理由が、同僚のやるレビューが信用できないというものです。

    同僚だからといってレビューで欠陥が見つける能力が高いとはかぎらない。
    能力の低い人がレビューをしても欠陥を見つけられない。
    そんな人がやったレビューで問題なしと言われても信用できない。

    この考え方はモデルの使い方を間違っています。
    モデルは同僚であれば、能力がなくてもいいとは言っていません。
    これはピアレビューだけでなく、他のプロセスも能力のある人がしないといけません。

    また、同僚がいないという声も聞きます。

    プロジェクトに同僚がいないのでピアレビューができない。
    同僚がいなければ、他のプロジェクトに参画している同僚にレビューしてもらうのか?
    そんなの無理。

    同僚とは何でしょう。CMMIの原本では、「peer」となっています。

    手元にあるコウビルドで調べてみますと、次のようにありました。

    Your peers are the people who are the same age as you or who have the same status as you.
    (あなたの同僚は、あなたと同じ年齢であるか、あなたと同じ地位の人です。)

    同僚がいないと言っている人にとって、同僚とは同期入社の人のみ意味するのかもしれません。
    プロジェクトに自分と同期入社の人がいないことはよくあることではないでしょうか。

    ピアレビューのピアは同期入社の人だけを指すのではありません。顧客や上司でなければ先輩も後輩もピアに含めてください。

    ピアという単語は、誤解されやすいみたいです。

    では、CMMI V2.0でピアレビューはどうなったでしょうか?

    CMMI V2.0でもピアレビューはあります。検証から飛び出し、独立しました。

    ピアレビューの Intent(意図)とValue(価値)を見てみましょう。

    PEER REVIEWS (PR)

    Intent(意図)
    Identify and address work product issues through reviews by the producer's peers or Subject Matter Experts (SMEs).
    (作成者の同僚または専門家(SME)によるレビューによって作業成果物の課題を特定し対処する。)

    Value(価値)
    Reduce cost and rework by uncovering issues or defects early.
    (課題や欠陥を早期に発見することにより、コストとリワークを削減する。)


    同僚だけでなく、専門家によるレビューでもよいことがはっきり書かれています。

    ピアレビューの価値も明確です。

    CMMI V2.0では、ピアレビューの重要性がよくわかり、誤解も少なくなるのではないでしょうか。

    ピアは同じ会社の同じ年齢の人だけを意味するわけではありませんので、顧客や上司でない、作業成果物のことをよくわかっているレビューのうまい人が、早めにレビューして欠陥を見つけてください。