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第165号:網羅性と完全性

2017年12月25日

  • Capability Counts 2018 スーパーアーリーバード 12月31日まで

    Capability Counts 2018 のスーパーアーリーバードの期限が迫っています。
    スーパーアーリーバード料金で申し込めるのは2017年12月31日までです。

    Capability Countsとは、いろいろなバックグラウンドや経験をもったプロセス改善に携わる人たちが世界中から何百人と集まるカンファレンスです。数多くの、ワークショップや基調講演、インタラクティブなセッションなどがあります。

    【日程】2018年5月1日~2日
    【場所】バージニア州レストン

    ・スーパーアーリーバード料金
     1299ドル(2017年12月31日まで)
    ・アーリーバード料金
     1499ドル(2017年3月2日まで)
    ・レギュラー料金
     1699ドル(2018年5月1日まで)

    Capability Counts 2018の詳しい情報はこちらから
    http://cmmiinstitute.com/conferences#registration

    網羅性と完全性

    成果物統合(PI)のSP 2.1の網羅性と完全性とは何かと質問を受けた。

    PI SP 2.1 インタフェース記述の網羅性と完全性をレビューする。
    (Review interface descriptions for coverage and completeness.)


    CMMIはもともとは英語で記述されているので、英語で考えたほうがわかりやすい。
    英語では、「網羅性」は「coverage」で、「完全性」は「completeness」である。

    英辞郎で調べた。

    coverage
    【名】
    1.〔ニュースなどの〕報道、取材(範囲)、放送
    ・We had a lot of press coverage. : (この件については)あちこちの新聞で発表しました。
    ・Our chief Washington correspondent Bob Smith begins the coverage. :ワシントン支局の首席記者、ボブ・スミスが取材の内容をお伝えします。
    2.〔携帯電話や無線LANなどの〕受信地域、受信[受像]可能範囲サービスエリア
    3.対象、範囲
    4.〈米〉〔保険会社が保険加入者に支払う〕補償(の範囲)◆【同】〈英〉cover
    5.被覆率
    6.《印刷》画線比率


    まったくわかった気がしないが、英語と日本語の訳は1対1ではないので、こういうことはよくある。言葉にできないだいだいの雰囲気をつかむことが重要である。役に立ちそうなのは、対象、範囲、被覆率ぐらいか。


    completeness
    【名】
    完全性、網羅性


    わかりにくいはずだ。completenessは完全性であり網羅性でもあるのだ。


    英和に失望したときは、英英辞典だ。COBUILD Learner's Dictionaryで調べた。

    complete
    If something is complete, it contains all the parts that it should contain. No garden is complete without a bed of rose bushes.

    completeness
    ....the accuracy and completeness of the information obtained.

    完全性のほうは、必要なパーツ(部品)を全部含んでいるかどうかを気にしているようだ。

    coverage
    The coverage of something in the news is the reporting of it.
    ....TV coverage of college football.

    これは今回は参考にならない。


    次にサブプラクティスを見る。

    網羅性と完全性に関する記述があるのはひとつだけ。

    「1. インタフェースのデータの完全性をレビューし、すべてのインタフェースの完全な網羅性を確保する。」

    プラクティスと少し違う

    「インタフェース記述の網羅性と完全性をレビューする」のではなく、レビューするのは、「インタフェースのデータの完全性」で、網羅性はレビューするのではなく、「すべてのインタフェースの完全な網羅性を確保する」とある。

    ゴールも読む。

    「SG2 成果物構成要素の内部および外部のインタフェースに両立性がある。成果物統合の多くの問題は、内部および外部インタフェースの未知のあるいは制御されていない側面から生じる。成果物構成要素のインタフェース要件、仕様、および設計の効果的な管理は、実装されるインタフェースの完全さと両立性を確保するのに役立つ。」

    ゴールとその付近の文章から考えると、「インタフェース記述の網羅性と完全性をレビューする」のは、内部および外部インタフェースの未知のあるいは制御されていない側面から生じる問題を起こさないようにするためだ。


    上記の情報をまとめると次のようになる。

    ・インタフェース記述の網羅性をレビューするとは、すべてのインタフェースが記述されていることを確実にするためレビューすること。

    ・インタフェース記述の完全性をレビューするとは、インタフェースのデータの記述に含まれるべきものがすべて含まれているかレビューすること。

    網羅性と完全性に関する理解がすこしは深まったであろうか。

    CMMIの日本語訳は難解である。理解しにくいところは、このように英語の意味を調べたり、サブプラクティスやゴールなど関係するところの記述を読んだりして、読み解くのもひとつの方法である。