2019年4月29日~5月1日に行われたCMMI WorkshopとCapability Counts 2019に参加してきました。
平成から令和になる瞬間を、アメリカで英語にまみれながら、たくさんのCMMI V2.0の新情報や多数のプロセス改善事例と共に迎えました。
令和元年は皆さんと一緒にCMMI V2.0で鋭くスタートダッシュしていきたいですね。
では、今回は現地で得られたCMMI V2.0関連の新情報をお届けします。
第182号:Hello, Reiwa! 新しい時代はCMMI V2.0と共に
2019年05月24日
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Hello, Reiwa! 新しい時代はCMMI V2.0と共に
モデルの公式日本語訳の発行時期
以前、CMMI V2.0の公式日本語訳は2019年の第1四半期(1~3月)にリリース予定と発表されていたのに、どうしてまだ出てないんだと思っている方もいらっしゃるかと思います。
CMMI Workshopで発表された内容によると、モデルの公式日本語訳は「ほぼ完了(Nearly Complete)」というステータスだそうなので、明確なリリース日の告知はなかったものの、近々リリースされると予想されます。
もう少し待ちましょう。
リリースされるとCMMI研究所からその旨のアナウンスがあると思いますが、すでにモデルのオンラインビューアを導入済みの方は、特に何もしなくてもリリース後からご自身のビューアのダッシュボード上で公式日本語版が利用可能になると思われます。
なお、モデルの紹介資料である At-A-Glanceや、Associate試験の公式訳については、計画中ではあるもののリリース時期はまだ未定のようです。
モデルの企業向けライセンス
CMMIモデルのライセンスは、個人ごとに購入する個人ライセンスの他に、企業で一括で購入するエンタープライズライセンス(以下、EPL)という形態があります。
今まで、EPLの価格を知るにはCMMI研究所に直接問い合わせするしかなかったのですが、今回のWorkshopで価格が公開されました。
以下が価格体系です。これらの人数の単位で購入が可能です。
期間は1年間で、()は1人あたりに換算した価格です。
個人ライセンスの場合は、1年間で$250ですので、人数が増えるほど1人あたりの価格は割安になります。
10人 $1600($160)
25人 $2750($150)
50人 $7000($140)
100人 $12000($120)
150人 $15750($105)
200人 $18000($90)
無制限 $20000
オプション:PDFアドオン
10、25、50人ライセンス(1~50人)の場合は+$1000、
100、150、200人ライセンス(51~200人)の場合は+$2000
購入するには、現時点ではCMMI研究所に直接申し込む必要があります。
申込時に、EPL購入企業のドメインと一致したドメインを持つメールアドレスをCMMI研究所に人数分提出することで、個別にライセンスが付与されます。(出力するPDFに、その登録メールアドレスが表示されます)
オプションのPDFアドオンは、そういった個別に付与されたライセンスに影響されない(登録メールアドレスが表示されない)PDFファイルを入手できるものです。
無制限ライセンスには、このオプションが最初から含まれています。
ライセンス管理の手間を省くには、このオプションを付けて購入するか、利用者の人数が多い場合には思い切って無制限バージョンを購入すると良いかもしれません。
より詳しく知りたい場合は、下記のCMMI研究所サイトのサポートページにて、「Enterprise License」のキーワードで検索すれば、各種情報が参照できます。
https://cmmiinstitute.zendesk.com/hc/en-us
CMMI V2.0のアプレイザル事例
2019年1月よりCMMI V2.0のアプレイザルは実施可能となっております。
世界でも一足早くV2.0の評定を実施した企業から、その実施事例や教訓などの発表がいくつか行われていました。
V2.0の評定を検討中の組織には参考になりそうな要素が結構あったのですが、全部の詳細は紹介しきれないので、いくつか箇条書きでピックアップしてみます。
◆現在の評定実施件数
・Workshopで発表されたデータによると、1~3月の期間に実施されたBenchmark(レベル判定の評定)は約10件、Evaluation(レベル判定を行わない簡易的な評定)は約30件だった。
◆ランサムサンプリングについて
・V2.0評定では、評価対象プロジェクトはランダムサンプリングにて割り当てられるが、それを自動で行うCMMIアプレイザルシステム(CAS)を構築中(リリース予定は2019年9月)のため、現在はリードアプレイザから提出された評定計画の情報を元に、CMMI研究所が手動で割り当てを行っている。
・評定計画の中で、対象組織内に存在するプロジェクトと、そのサブグループを一覧化する。各プロジェクトのプラクティス領域(PA)ごとに、以下を設定する。
- Applies:エビデンス提供可能
- Not Yet:まだ未実施なのでエビデンス提供不可
- Not Applicable:スコープ外
スコープ外にできるのは、供給者合意管理(SAM)、組織レベルのみで実施するPAであること(例:OT,PAD,PCM)、ターゲット外の成熟度レベルのPAであること、などの条件がある。
スポンサーまたはリードアプレイザは、1つのプロジェクトのみ、評価対象となる能力領域(CA)とPAのペアを事前に指定できる。
◆CMMI V2.0でのBenchmarkアプレイザル実施事例
・米国の大企業であるCACI社が実施したCMMI Development V2.0 成熟度レベル3の評定事例を紹介するセッションにて、評定の概要や準備の進め方、実施した結果得られた教訓などが紹介された。
○評定スコープ、参加者
- 2390人の組織でサブグループは3つ、プロジェクトは25件存在する。
そのうち、ランダムサンプリングで評定対象に選出されたプロジェクト数は14件、支援グループは3件。
- 評定チームメンバは8名、インタビューイは43名。
○準備の進め方
- 評定実施フェーズが開始される60日前にランダムサンプリングにより対象プロジェクトが決定。
そこから、準備作業として評定を実施する上の課題を300件特定し、かんばんボードを使って約11週かけて課題の対処を管理。
○得られた教訓
- ランダムサンプルにより、V1.3の評定よりも多くの改善の機会が得られた。
- 対象プロジェクトが決まるのが、早くても実施フェーズの60日前という制限があるため、関係者への通知やデータの収集方法の見直し等、特に大規模な組織では、多くの緊急事態が発生するので注意を要する。準備作業において、この60日間は集中的にリソースを割り当てたほうが良い。
以上です。
メルマガでの少ない文章量では伝わりにくかった面もあるかと思いますが、ご参考になれば幸いです。
さらに詳細がお知りになりたい方は、別途ご相談ください。