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第160号:ノートテイキング:インタビュー中のメモの効率を上げるちょいテク

2017年07月25日

  • ノートテーキング:インタビュー中のメモの効率を上げるちょいテク

    CMMIの評定にアプレイザルチームメンバとしてインタビューに参加した際、皆さんはちゃんとノートをとれてますか?

    評定のインタビューでは、チームメンバはノートテーカとして、インタビューイの発言やふるまいをノートに記録することが典型的です。その記録はアファメーション(証言)のデータに割り当てられ、評価の根拠として使われますので、正しくノートをとることは重要です。

    ですが、インタビューは短くても30分、長いと2時間くらいやることもありますので、慣れている人でもずっとノートを取り続けるのはなかなか大変です。インタビューには、事前の質問作成や質問時のファシリテーションなど、必要になる技術は多々ありますが、今回はノートテーキングに着目して、私が普段のアプレイザルで行っているちょっとしたコツをいくつかご紹介しましょう。

    紙のノートで記録する場合:素早く書ける道具を使う

    インタビュー中のメモは、基本は紙とペンで行います。

    なるべくスムーズに書けるよう、鉛筆やシャーペンよりはボールペンを使って書くのがお勧めです。

    インタビュー中の発言は機密保持と不特定の原則がありますので、記録したノートのページはアプレイザル終了後に廃棄することが多いです。ですので、ページを破り捨てなくて済むよう、私は普段の業務で使っているノートを使わずに、A4サイズのコピー用紙などに罫線を印刷したものを事前に用意して使っています。

    PCを使って記録する場合:表計算ソフトで情報を整理する

    今時のノートPCは軽くてバッテリ持ちも良く、機動性にすぐれているせいか、インタビュー中のメモもノートPCで取る人が増えているように思います。紙で書いた方が効率良くノートが取れるとか、速記が得意だとか、その方が情報が取り出しやすいという人は紙で書きましょう。そうでない人はPCを使って記録すると良いでしょう。

    私は後者なので、最近はもっぱらノートPCを使って記録をとっています。

    インタビューのメモを速くキレイに書けるということだけでなく、表計算ソフトを使うことで、作成した質問の順番を整理したり、書いたメモを検索したり、対応するCMMIのプラクティスへのタグ付けや追加で必要となったエビデンスの紐付けがしやすかったり、アファメーションへの反映がコピー&ペーストで済んだりといったことができて、いろいろと便利です。

    実際にはどんなことをしているかというと、インタビューの事前準備として、表計算ソフトを使って以下のようなレイアウトの表を用意します。これでインタビュー中に必要な記入要素をほぼ網羅できます。
    ┌──┬───┬──┬───────┬───┬───────┬────┐
    │PA │Prac │Prj#│質問内容 │回答者│回答内容 │追加メモ│
    ├──┼───┼──┼───────┼───┼───────┼────┤
    │REQM│SP1.1 │ 1 │どのように… │○○ │…しました │ │
    ├──┼───┼──┼───────┼───┼───────┼────┤
    │ │ │ │ │ │ │ │
    ├──┼───┼──┼───────┼───┼───────┼────┤

    使い方としては、自分の担当プロセス領域(PA)のプラクティス(Prac)について質問を作成し、一連の質問を洗い出した後、スムーズな流れになるように質問の順番に並べ変えます。対象プロジェクト番号欄(Prj#)や回答者欄は主にグループインタビューの時に使います。

    インタビュー時は、自分の質問に関しては、得られた回答を質問横の回答内容欄に記入し、把握してないドキュメントの話が出てきたら、すかさず追加メモ欄に記入しておきます。インタビューの最後に「何か追加で必要になったエビデンスはありますか?」と聞かれた時に、この追加メモ欄が活躍します。

    他のチームメンバが質問した内容は別の行に記入していくことで、インタビュー中のすべての質問と回答を1シートでまとめることができます。

    PCを使って記録する場合:辞書に単語を登録する

    PCを使って入力する場合にネックになることとして、「キー入力の速度」と「誤変換」があると思います。

    これらを解決するのに、タッチタイプの速さと正確さを向上させる以外の有効な手立てとしては、日本語入力システム、即ちIMEをより変換効率の良いものに変更するか、それが不可能な場合は、IMEの単語登録機能を使うのが良いかと思います。

    アプレイザルのインタビューにおいて、登録しておくと便利そうな単語がいくつかあります。実際に私が登録しているものをご紹介します。

    <対象組織内の部署名>
    インタビュー中に登場しそうな部署名や地域名、その略称などを登録します。例えば、品質管理部の略称である【品管:ひんかん】など。単語登録しておかないと、「貧寒」になってしまうことがあります。ほかには、システム開発部を【シス開:しすかい】、技術開発部を【技開:ぎかい】など。
    あとは、東京・大阪間を表す略称として【東阪:とうはん】など。

    「ひんかん」と入力したら「品質管理部」と正式な名称を表示させたいというニーズもあるかと思いますが、その場合はそのように登録すると良いでしょう。
    インタビュー中に発言された単語をそのまま表示して、誤変換や手戻りを極力少なくなることを優先したいなら、略語を登録すると良いかと思います。

    <プロセス関連の用語や略語>
    以下のようなプロジェクト管理関連の用語や略語がよく使われます。
    【プロ計:ぷろけい】 プロジェクト計画の略称として。

    【週次:しゅうじ】
    【週一:しゅういち】
    【予実:よじつ】 予定と実績の略語。

    【現新:げんしん】 マイグレーション開発などで行われる現新比較テストがある場合に。
     
    【次工程:じこうてい】【次案件:じあんけん】
    【次プロジェクト:じぷろじぇくと】
      
    【朝会:あさかい】【昼会:ちゅうかい】【夕会:ゆうかい】
      
    【最新化:さいしんか】 再進化となりがち。
    【版管理:はんかんり】 半管理となりがち。
      
    以下は工程やフェーズの略称でよく使われています。
    【外設:がいせつ】 外部設計の略称として。
    【内設:ないせつ】 内部設計の略称として。
     
    以下の略称はあまり聞かないですが、組織内で使われている場合には登録しておくと良いでしょう。
    【要定:ようてい】 要件定義の略称として。
    【基設:きせつ】 基本設計の略称として。
    【詳設:しょうせつ】 詳細設計の略称として。
     
    CMMIのプロセス領域の名称の中で一発で変換できない代表。
    【技術解:ぎじゅつかい】

    昔のIMEは、「せいかぶつ」が「青果物」に、「かんり」が「官吏」に最初に変換されるなどイラッとすることが多かったのですが、最近のIMEはだいぶ精度が改善されて意図した変換をしてくれるようになりました。また、上記のような単語登録をしなくても、一度変換すれば、次からは期待どおりの変換を今のIMEはしてくれます。

    しかしアプレイザルで使用するPCが最新のIMEを導入できるとは限らないので、その場合は上記のような単語を登録しておくと、メモ作業効率アップに効果を発揮すると思います。

    他にもこんな単語登録しておくと便利だよ、というものがあれば教えていただけると幸いです。