メルマガ
バックナンバー

第139号:道徳性発達理論

2015年10月23日

  • 道徳性発達理論

    標準プロセスがなかなか浸透しないとか、ルールは守ってくれるが改善活動が盛んだとは言い切れないとか、いろいろお悩みをかかえているSEPGの方々も多いと思います。

    コールバーグによると、人間の道徳的判断には、3つのレベルと6つの段階があるそうです。
    ウィキペディアには、下記のようにあります。

    ------------------------------------------------------------------------
    1.慣習以前のレベル
    第一段階=罰と服従への志向
    罰の回避と力への絶対的服従がそれだけで価値あるものとなり、罰せられるか褒められるかという行為の結果のみが、その行為の善悪を決定する。

    第二段階=道具主義的相対主義への志向
    正しい行為は、自分自身の、また場合によっては自己と他者相互の欲求や利益を満たすものとして捉えられる。
    具体的な物・行為の交換に際して、「公正」であることが問題とされはするが、それは単に物理的な相互の有用性という点から考えられてのことである。

    2.慣習的レベル
    第三段階=対人的同調あるいは「よい子」への志向
    善い行為とは、他者を喜ばせたり助けたりするものであって、他者に善いと認められる行為である。
    多数意見や「自然なふつうの」行為について紋切り型のイメージに従うことが多い。
    行為はしばしばその動機によって判断され、初めて「善意」が重要となる。

    第四段階=「法と秩序」の維持への志向
    正しい行為とは、社会的権威や定められた規則を尊重しそれに従うこと、すでにある社会秩序を秩序そのもののために維持することである。

    3.脱慣習的レベル
    第五段階=社会契約的遵法への志向
    ここでは、規則は、固定的なものでも権威によって押し付けられるものでもなく、そもそも自分たちのためにある、変更可能なものとして理解される。
    正しいことは、社会にはさまざまな価値観や見解が存在することを認めたうえで、社会契約的合意にしたがって行為するということである。

    第六段階=普遍的な倫理的原理への志向
    正しい行為とは、「良心」にのっとった行為である。
    良心は、論理的包括性、普遍性ある立場の互換性といった視点から構成される「倫理的原理」にしたがって、何が正しいかを判断する。
    ここでは、この原理にのっとって、法を超えて行為することができる。
    ------------------------------------------------------------------------

    おこられないとやらない人、あれこれ言わなくても決められたことなら守る人、CMMIのプロセスや手順なるものが存在し、それを守ることがCMMIの取り組みのすべてだと誤解している人、いろいろいると思います。

    CMMIには5つの成熟度レベルがあり、成熟度レベル5は「最適化しているレベル」とも呼ばれていますので、改善を続けることが大切です。
    CMMIに適用したプロセスを一度作って後はそれを守り続けるだけでは、CMMIを活用していることにはなりません。

    人々の持つ道徳性を高めることにより、プロセス改善を促すのもよし、「このお方は道徳的にどの段階なのだろう」と考えて、低い段階の方に対しては、ハートマン軍曹のように怒鳴り散らすもよし。
    プロセス改善が滞っているなと感じるところでは、試してみてはいかがでしょうか。