CMMIには『プロセスと成果物の品質保証』(PPQA)というプロセス領域があります。
成熟度レベル2の支援のプロセス領域です。
また、PPQAに密接に関連する共通プラクティスGP 2.9「プロセスおよび選択された作業成果物の忠実さを、プロセス記述、標準、および手順に照らして客観的に評価し、不遵守事項に取り組む」というのが各プロセス領域にあります。
このPPQAの活動がなかなか定着しない。
PPQAが形骸化している。
何のためにやるのか分からない。
何の効果があるのか。といった声をたまに聞きます。
それでも、まあ会社のルールですので、守らなくてはいけない。
不遵守事項は許せない。
というわけで、標準が遵守されているかチェックしているところもあるでしょう。
そして、不遵守事項だと指摘されたら、是正処置ということで、プロジェクト側も何の役に立つのかわからない資料を作成したり、どこかからコピーしたりして、さらに是正処置報告書を書いたり。
ご苦労さまです。
あれ、今、ララァの声が聞こえませんでしたか?
「なぜ、なぜなの? なぜあなたはこの標準に照らしてプロセスを評価するの?この標準には守るべき価値もないというのに」
「守るべき価値がない?」
「私には見える。この標準の中には品質を維持するための基準も作業の効率を上げるための指針もないというのに」
「守るべき価値がなくて標準にしてはいけないのか?」
「それは不自然なのよ」
PPQAが定着していないとか、形骸化しているとか、そういうところは、PPQAに問題があるというよりも、標準に問題があることが少なくありません。
特にプロセスの標準化を目的にしている組織にはそういうことがよくあります。
なんでもかんでも標準化すればよいってもんではありません。
PPQAが定着していなくても、プロジェクトが滞りなく進んでいるのは、その標準が遵守されていようが、遵守されてなくても問題ないということです。
そんな標準はいりません。
守らなくてもいい標準は、標準を守っているかチェックしても意味が無いです。
守ったかどうかをチェックする工数がもったいないです。
プロセスを標準化して、プロセスの忠実さを評価すれば、プロセス改善だと思っているかもしれませんが、これでは逆効果です。
その標準に従うとどんないいことがあるのでしょうか。
従わないと品質が低下したり、効率が悪かったりするのでしょうか。
そんな効果も期待できない標準化はする意味がないです。
すぐに廃止しましょう。
また理想を追い求めすぎる標準もよくありません。実情に適したものにしましょう。
すばらしいと思っても実行できないと意味がないです。
PPQAが定着しないと嘆く前に、標準に守るべき価値があるかどうか見直してみましょう。
第129号:光る標準
2014年12月25日
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光る標準