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第107号:役立つプロセス資産ライブラリをめざす

2013年02月25日

  • 01役立つプロセス資産ライブラリをめざす

    改善活動の遂行中やアプレイザルのインタビューなどで、
    「ノウハウや教訓がなかなか横展開されない」
    「ここを見に行けば良いサンプルがある、というものがあるとうれしい」という話を聞くことがあります。

    これを読んでCMMIモデルに詳しい読者の中には、「プロセス資産ライブラリを知らない、もしくはうまく機能していないのではないか?」と思った人もいることでしょう。

    良いプロセス資産ライブラリを構築・維持することは、組織内でベストプラクティスや教訓を共有し、資産の再利用性を高め、人材の教育効果を向上させるなど、CMMIの成熟度レベル3に取り組む上でメリットが大きい要素だと思います。

    今回は、どうやったら組織の役に立つプロセス資産ライブラリを構築・維持できるか考えてみたいと思います。

  • 02組織のプロセス資産ライブラリとは?

    「組織のプロセス資産ライブラリ」は、CMMIの成熟度レベル3のプロセス領域の1つである組織プロセス定義(OPD) SP1.5にて確立し保守することが期待されているものです。

    用語集では以下のように説明されています。
    「プロセス資産を蓄積し利用可能にするための情報ライブラリのこと。これらのプロセス資産は、組織内でプロセスを定義し、実装し、そして管理する者にとって有用である」

    ライブラリには、方針、定義されたプロセス、チェックリスト、教訓、テンプレート、標準、手順、計画、およびトレーニング教材のようなプロセス関連文書を含むプロセス資産が格納されます。

    ライブラリの実体としては、以下のような形で実装されていることが多いと思います。
     ・組織内のファイルサーバ上の共有フォルダ
     ・イントラネットの一部のWEBページ
     ・データ管理システム

    利用方法としては、利用者である組織の人員がライブラリにアクセスし、情報を参照したり、保管されているテンプレートなどを入手して、自身の活動に利用したりします。

    では、組織の役に立つプロセス資産ライブラリとはどんなものでしょうか?
    良いライブラリにするためのポイントを、私なりにいくつかまとめてみました。
     1.その存在と利用方法が周知されていること
     2.利用者が欲しい情報が常にあること
     3.情報が探しやすいこと

    ポイント1:その存在と利用方法が周知されていること

    冒頭の話の回答者のような人は、もしかしたらプロセス資産ライブラリの存在を知らない可能性があります。そこを見に行けば求める情報があるかもしれないのに、その存在を認識していないがゆえに、情報にアクセス出来ていない状態です。

    これは、ライブラリの管理者側のアピール不足が原因と思われますので、ライブラリの存在について、プロモーションしましょう。

    その際は、利用者がライブラリを「使える」そして「使いたくなる」ように、ライブラリが存在する場所や利用方法の説明のほか、使うことのメリットの説明なども含めて展開すると良いでしょう。

    ポイント2:利用者が欲しい情報が常にあること

    ライブラリは存在していて、利用者もその存在を認識しているけれども、利用者が欲しい情報が登録されていないと、そのうち使われなくなってしまいます。

    CMMIに取組み始めた時にライブラリを構築したけれども、その後の維持管理が行われずに、何年もほったらかしになっていると、この状態に陥りがちです。

    利用者が欲している情報ニーズを明らかにし、ニーズに合った情報を保管すること、そして定期的かつ必要に応じて情報の追加や更新を行ない、ライブラリを維持していくことが望まれます。

    ポイント3:情報が探しやすいこと

    ライブラリは利用されていて、情報も豊富に登録されているけれども、欲しい情報が探しづらいと、利用者は不満を抱えます。

    ライブラリは、とにかく何でも入れておけば良いというものでもありません。
    時々、組織の全プロジェクトのドキュメントが保存されているサーバのフォルダを指して「これが当社のプロセス資産ライブラリです」と説明を受けることがあります。
    たしかに過去の全てのプロジェクトの情報を含んでいるので、有用な資産も中にはあるでしょう。
    しかし、どれが本当に有用な情報なのか、第三者では判別が困難ですし、プロジェクトによってフォルダ構成が変わったりすると、ますます情報を探しづらくなります。

    ライブラリに登録すべき情報は、基準を設けて取捨選別すべきでしょう。

    また、ライブラリ(library)の訳は「図書館」ですので、図書館のように、登録されている情報は整理・整頓され、情報にアクセスしやすいよう、検索出来る仕組みを持つことが望ましいです。

    フォルダ構成を決める、登録する情報のファイル命名規則を決める、インデックスを作成する、検索機能を持たせるなどの工夫が必要でしょう。

    仕事で「情報を探す」時間の占める割合は案外多く、情報過多のこの時代においては、ますますその傾向は強くなっています。
    欲しい情報に早くアクセス出来る仕組みを持つことは、ムダな時間を縮小し、仕事を効率化させることが出来ますので、役立つライブラリにとって必要な要素と考えます。

  • 以上、プロセス資産ライブラリを役立つものにするポイントをいくつかご紹介しました。
    組織の特色を生かして、素敵なプロセス資産ライブラリを構築してみて下さい。