メルマガ
バックナンバー

第218号:CMMI Partner Workshopでの新情報:CMMI V2.3など

2022年05月25日

  • CMMI Partner Workshopでの新情報:CMMI V2.3など

    2022年5月3日に米国ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されたISACA主催のイベントであるCMMI Partner Workshopに参加しました。

    といっても現地には行けず、日本から夜10時半から早朝まで眠い目をこすりながらリモートでの参加です。

    弊社のようなCMMIパートナー向けの情報提供やディスカッションが主体でしたが、当メルマガ読者のCMMIユーザーにも役立つ新情報がいくつかありましたので、簡単にご紹介します。

    CMMIの利用数

    2021年に行われたCMMIアプレイザル実施件数は4063件、公式セミナー受講人数も19873人で過去最高を記録しました。

    4063件のアプレイザル数のうち、中国が3054件でダントツの利用数です。次いで米国が515件、インドが171件で、日本は10件とのことでした。

    パフォーマンスレポートサマリー2022

    CMMI V2.0のアプレイザルでは、対象組織の実績目標の達成状況をパフォーマンスレポートまとめ、組織のスポンサーやISACAに提出します。

    そのレポートの2019年までのサマリーがISACAのサイトにて公開されていますが、2021年までのデータをもとにその最新版が現在作成中であり、6月か7月に公開される予定とのことです。

    Workshopで説明があった一部のデータを紹介します。
    ・2019~2021年にパフォーマンスレポートが提出された4889件のうち、アプレイザル種類別の内訳は、ベンチマーク評定が4714件、持続評定が2件、評価評定が35件、医療用のMDDAPが138件。

    ・ビューの種類別および供給者合意管理(SAM)の適用有無別のアプレイザル件数の一部抜粋:
    CMMI-DEV 成熟度レベル3 SAMなし 3244件
    CMMI-DEV 成熟度レベル3 SAMあり 323件
    CMMI-DEV 成熟度レベル5 SAMなし 730件
    CMMI-DEV 成熟度レベル5 SAMあり 47件
    CMMI-SVC 成熟度レベル3 SAMなし 229件
    CMMI-SVC 成熟度レベル3 SAMあり 158件
    CMMI-SPM 成熟度レベル2 1件
     
    開発がやはり一番多く実施されており、次いでサービスが多いようです。
    SPMはほとんど利用されていないですね。
    SAM適用なしの件数が思っていたより多い印象です。
     
    ・提出された実績目標のうち、目標を完全に達成したのは81.22%とのことでした。

    CMMIモデルのドメイン構成変更とCMMI V2.3

    CMMIモデルは2018年リリースのV2.0以降、開発、サービス、供給者管理等、いくつかのドメインがひとつのモデルに統合され、自分たちが適用するものをビューという形で選択して利用する形式となっています。

    2021年リリースのV2.2では安全性やセキュリティというドメインが追加され、今後のアップデートでさらにドメインの追加が予定されています。

    ドメインがたくさん並列に列挙されて複雑化するのを避けるためか、現在主流の開発とサービスの2つをプライマリードメインとし、あまり利用されていないその他をサブドメインとしてまとめる構成の変更が予定されています。

    これは、次のバージョンであるCMMI V2.3で対応され、2022年後半にリリース予定とのこと。

    CMMI V2.3ではその他に以下のような対応が検討されているようです。
    ・Data Managementのサブドメインの追加
    ・People Managementのサブドメインの追加
    ・DevSecOpsのコンテキスト固有情報の追加
    ・100個超の残作業リストの対応

    公式セミナーも、現在の能力の基礎コース(FOC:Foundations of Capability)と、その他のドメインごとのエクセレンスコース(BDEやBSEコース)に分割された構成を統合・整理していくことが検討されているようで、こちらは2023年にリリースされるようです。

    その他の関連システムや評定手法、試験や認証の仕組みなども、あわせて見直しがされていきます。

    来年2023年にCMMIセミナー受講やアプレイザルを準備されている組織は、このアップデートの影響がありそうですので、気にしておく必要がありそうです。

    CMMI V2.2もまだ未対応なのにもうV2.3が出るのか、要求事項の対応が大変だ、と思う方もいらっしゃると思いますが、今回発表された情報を聞く限り、V2.3ではやるべき要求事項が増えるというより、改善の参考になる要素が増え、より使いやすくなるのではないかという印象を持っています。期待して待ちたいと思います。

    CMMI Tech Talks動画

    CMMI Tech TalksというCMMIユーザーにとって役立ちそうな動画が公開されました。

    現在、下記の2本の動画がYoutubeで視聴できます。
    ・The Performance Report - https://youtu.be/hg7FVLjq_YE
    パフォーマンスレポートの解説動画です。

    ・How to Appraise Small vs Large Organizations -
    https://youtu.be/TIXurK_KXfk
    小規模と大規模のアプレイザルの比較解説です。

    言語は英語ですが、わりと聞きやすいので理解しやすいのではないかと思います。

    それでも英語だけだとしんどいという方は、Youtubeの機能で、動画の下の歯車ボタンから、字幕→英語自動生成→自動翻訳→日本語と設定すると、簡易的な日本語字幕も表示できます。確認したところ、自動翻訳とは思えないほどかなり正確に訳されます。便利な世の中になりました。

    今後もCMMI Tech Talks動画は増えていく予定のようです。CMMIユーザーにとっては参考情報が増えるのはありがたいですね。

    ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

    以上です。ここ数年で弊社のCMMIコンサルティングや公式セミナーを受講された方にはご案内させて頂いておりますが、6月に弊社で予定しているカスタマー向けイベントでCMMI最新情報についてさらにご紹介する予定ですので、参加される方はお楽しみに。