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第95号:プロセス改善ストーリー:ある新米SEPGの1日(PPQAを実施する)

2012年02月24日

  • プロセス改善ストーリー:ある新米SEPGの1日(PPQAを実施する)

    プロセス改善ストーリーの第8回です。CMMIを使ったプロセス改善活動で悩むポイントなどを、初心者向け解説本でよく見かける会話形式の文章で解説していきます。

    <登場人物>  ()は会話文中の省略形
    野比(野):改善グループのメンバ。まだまだ新米SEPG。
    土良(土):CMMIコンサルタント。

    今回の改善グループの会議では、プロセスと成果物の品質保証(PPQA)の実施方法について話し合っているようです。

    PPQAのよくある問題点1 ~プロジェクトの協力を得るには

    野「土良さん、先日からPPQAのパイロットを始めたんですが、いろいろ問題が出てなかなかうまくいかないんですよ」

    土「ほう、どんな問題がありますか?」

    野「当社の品質保証プロセスは、プロセスの評価基準をまとめたチェックリストを用いて、まずは各プロジェクトが自らチェックを実施し、次にその結果を私たち改善グループが品質保証の担当としてレビューし、指摘事項をまとめてプロジェクトの関係者にフィードバックする仕組みにしました。
      
    その仕組みで実施し始めたものの、プロジェクトリーダーによっては、なかなかチェックを実施してもらえなかったり、私たちが指摘した事項について、対処をしてもらえなかったりするんです」
      
    土「原因は何だと思いますか?」

    野「そうですねえ、郷田さんというプロジェクトリーダーに理由を聞くと、『時間がない』とか、『面倒』とか、『野比のくせに生意気だ』とか言われたりします。ルールとして決めたんだから、ちゃんとやって欲しいのですが、やる気になってもらえなくて・・・単なる怠けでしょうか?」
      
    土「ちゃんとやってもらえない理由が他にあると思います。野比さんは、プロジェクトの人達に品質保証の目的や効果を説明して、なぜ品質保証が必要かの理解を得ましたか?また、品質保証の実施方法やチェック項目の説明なども行なってますか?」
      
    野「えっ・・・一度簡単に説明はしたつもりですが、ちゃんと理解されているか自信はないですね・・・」

    土「目的や効果を理解してもらえないと、積極的な協力は得られにくいですよね。
      
    PPQAは、計画したプロセスが実施されていることを確実にするための活動です。これは『良いプロセスが良い成果を産む』という考え方から来ています。プロセスの品質保証を実施することが、プロジェクトとしての成功につながる・・・ということを理解してもらう必要があるでしょう。
      
    また、実施方法やチェック項目について利用者がちゃんと理解していないと、誤った解釈や使い方をしてしまったり、使うのを止めてしまったりするかもしれません。品質保証担当者としては、利用者が理解して使えるよう、根気よく支援していく必要がありますね」

    野「そうですね、もう少し支援方法を考えてみます」

    PPQAのよくある問題点2 ~良い品質保証担当となるためには

    土「それから、指摘の内容は粗探しのようになっていませんか?なぜその指摘が出たかの理由などを説明していますか?」
      
    野「うっ・・それも十分に出来ていないかもしれません」

    土「たしかに、品質保証は基準に照らして客観的に実施することが大事です。

    しかしながら、プロジェクトの特性を考慮せずに、ただ『プロセスに書いてあるから』、『チェック項目どおりになってないから』、という表面上の理由だけで指摘をして、プロセスの背景にある理由を説明できないと、品質保証がプロジェクト側に煙たがられる活動になってしまうかもしれません」

    野「難しいですね・・・。具体的にどんなことに気をつけたらいいでしょうか?」

    土「そうですね、例えば見積書のチェック項目として、『規模見積りを作成しているか』という項目があったとします。
      
    プロジェクトが規模見積りを実施していない場合は何かしらの指摘をすることになりますが、『工数見積りの根拠を明確にするため』といった規模見積りが必要な理由を補足してあげ、ファンクションポイントやステップ数、入出力本数といった開発の特性に応じた規模見積り方法を採用しているか、の観点でチェックする等ですね」

    野「なるほど、それなら納得しやすいですね」

    土「良い品質保証の担当者となるためには、毅然とした態度で、基準と照らして評価を実施する揺るぎなさも必要ですが、『プロジェクトの成功のために品質保証を実施するんだ』という目的意識を常に持って、プロジェクトの相談に乗ったり、指導できるような役割をこなせるようにしていきましょう」
      
    野「わかりました。今後の活動では気をつけます」

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    <あとがき & ピーアール>
    皆さんの組織では、品質保証活動をどのように実施していますでしょうか?

    野比の組織の例で挙げたように、効果的で、プロジェクトの役に立つ品質保証の仕組みを作って、それを継続していくのはなかなか難しいものです。

    また、これから品質保証の仕組みを構築していくという組織のSEPGの方は、どのような仕組みにしたら良いかについて頭を悩ませていることでしょう。

    そんな皆さんの悩みにお応えできるよう、弊社では「ソフトウェア品質保証」のトレーニングコースを4月に開催します。

    半日で効果的な品質保証の実施方法を学べるコースとなっております。
    興味のある方はふるってご参加ください。

    ■ソフトウェア品質保証(SQA)コース
    日時:2012年 4月 18日(水) 13:30~18:00
    場所:株式会社大和コンピューター 東京本部
    価格:税込\5,000(※メルマガ読者特別価格!)
       ※申込時にメルマガ読者であることをお伝え下さい。
    詳細はこちら
    → http://www.daiwa-computer.co.jp/jp/seminar/SQA.html