メルマガ
バックナンバー

第9号:プロセスを計画する話

2004年12月24日

  • プロセスを計画する話

    今回は、「GP2.2 プロセスを計画する」について解説します。

    GP 2.2 プロセスを実施するための計画を確立し維持する。

    この共通プラクティスの目的は、下記の4つです。
    ・プロセスを実施して、確立された目標を達成するために何が必要であるかを判断すること
    ・プロセスを実施するための計画を作成すること
    ・プロセス記述を準備すること
    ・直接の利害関係者から計画についての合意を得ること

    サブプラクティスは、下記のとおりです。
    1. プロセスを実施するための後援を管理層から獲得する。
    2. プロセス記述を定義し文書化する。
    3. プロセスを実施するための計画を定義し文書化する。
    4. 直接の利害関係者と共に計画をレビューし、合意を得る。
    5. 必要に応じて計画を改訂する。

    プロセスを実施するための計画は、典型的には、下記の事項が含まれます。
    ・プロセス記述
    ・プロセスの作業成果物およびサービスの標準
    ・プロセスの作業成果物およびサービスの要件
    ・プロセス実績の特定の目標(例えば、品質、期間、サイクルタイム、資源利用率など)
    ・プロセスの活動、作業成果物、およびサービスの間の依存関係
    ・プロセスを実施するために必要な資源(資金の提供、人員、ツールなど)
    ・責任および権限の割り当て
    ・プロセスを実施し支援するために必要なトレーニング
    ・構成管理下に置かれる作業成果物、および各品目に対する構成管理のレベル
    ・プロセスの実績、作業成果物、およびサービスに対する見通しを提供する測定要件
    ・特定された利害関係者の関与
    ・プロセスを監視し制御するための活動
    ・プロセスおよび作業成果物に対する「客観的な評価」活動
    ・プロセスおよび作業成果物に対する管理層レビューの活動


    CMMIには25個のプロセス領域があり、すべてにこの「プロセスを計画する」というプラクティスがあります。共通プラクティスですから。

    SCAMPIのことを考えると、プロセス毎に計画があったほうが対応がわかりやすいですが、それは作るのが大変でしょう。また使いにくいと思います。まとめられるところはまとめましょう。

    下記のプロセス領域の計画は、「プロジェクト計画策定」プロセス領域に記述されているプロジェクト計画に含めましょう。
    ・要件管理
    ・プロジェクトの監視と制御
    ・供給者合意管理
    ・測定と分析
    ・プロセスと成果物の品質保証
    ・構成管理
    ・要件開発
    ・技術解
    ・検証
    ・妥当性確認
    ・統合プロジェクト管理
    ・リスク管理
    ・統合チーム編成
    ・統合供給者管理
    ・決定分析と解決
    ・統合のための組織環境
    ・定量的プロジェクト管理

    「プロジェクト計画策定」プロセスを実施するための計画は、ちょっと厄介です。
    このプロセス領域の固有プラクティスに記述されているプロジェクト計画とは異なりますので、注意が必要です。
    「プロジェクト計画策定」プロセス領域内のすべての固有プラクティスに関する包括的な計画のことをいっています。プロジェクトの範囲の見積もりからプロジェクト計画に対するコミットメントの獲得までのすべてを含む計画が必要なのです。
    まあ、でも、プロジェクト計画に含められないこともないので、含めちゃいましょう。

    「成果物統合」プロセスを実施するための計画は、成果物統合の準備から最終成果物の納入までのすべてを含んだ計画が必要です。統合の順序やスケジュール、予算、資源などを文書化して、成果物統合計画や結合テスト計画、リリース計画などを作ればよいでしょう。

    「組織プロセス重視」プロセスを実施するための計画は、このプロセス領域の固有プラクティスに記述されているプロセス処置計画とは異なります。このプロセスの包括的な計画です。組織プロセスのニーズの確立から、組織プロセス資産へのプロセス関連の経験の導入までのすべてを含んだプロセス改善計画を作りましょう。

    「組織プロセス定義」と「組織プロセス実績」は、「組織プロセス重視」プロセス領域に記述されている組織のプロセス改善計画に含めましょう。

    「組織トレーニング」プロセスを実施するための計画は、このプロセス領域の固有プラクティスに記述されている組織トレーニングの戦術的計画とは異なります。
    ここで求められている計画は、このプロセスの包括的な計画です。戦略的トレーニングニーズから、組織トレーニング作業の有効性のアセスメントまでのすべてを含んだ計画を作りましょう。

    「組織改革と展開」プロセスを実施するための計画は、このプロセス領域内の固有プラクティスに記述されている展開計画とは異なります。ここで求められている計画は、このプロセスの包括的な計画です。改善提案の収集および分析から改善効果の測定までを含んだ計画を作りましょう。

    「原因分析と解決」プロセスを実施するための計画は、このプロセス領域の固有プラクティスに記述されている処置提案および関連する処置計画とは異なります。
    ここで求められている計画は、組織の全体的な「原因分析と解決」プロセスの計画です。