3月21日の大阪の朝は空気が白かった。遠くのほうが霞んで見えない。後で知ったのだが黄砂のせいらしい。伊丹空港を午前8時に出発し、成田、アトランタを経由して、約24時間後にサヴァンナに到着した。
ジョージア州サヴァンナ。SEPG ノース・アメリカ 2010の開催地。風が吹くと寒いが日なたは暖かい。世界でいちばん暖かい春、3月22日から25日まで、サヴァンナ国際貿易コンベンションセンターでプロセス改善に関するカンファレンスが行われる。
CMMI+アジャイル、サービス、高成熟度、リスク、測定などを扱ったチュートリアル、プレゼンテーション、ワークショップなどが全部で100以上もある。6つのトラックで並行して行われるので、どんなにがんばっても全部見るのは無理である。
3月22日。SEPG 1日目。まず、私は One-Stop Shopping:An Appraisal Tailoring for Increased Efficiency and Improved Collaboration (ワンストップ・ショッピング:効率的で協力的にするためのアプレイザルのテーラリング)というチュートリアルに参加した。SCAMPI-Aの大胆なテーラリングのチュートリアルだった。
多くのアプレイザルはCBA-IPIとかSPAといった古いアプレイザルのやり方で行われている。またSCAMPI-A手法記述文書(Method Description Document;以下、MDD)というCMMIのアプレイザルのきまりみたいなのもがあるのだが、それを誤って解釈しているところもあるというのである。
ここで参加者は次の○×クイズで認識を試された。
・MDDは、インタビューが始まる前に、チームが直接的および間接的な証拠をレビューすることを求めている
・MDDは、インタビューが始まる前に、チームがインタビュースクリプトを準備することを求めている
・MDDは、予備所見のためにフルチームの合意を求めている。
・MDDは、予備所見のプレゼンテーションが所見の妥当性を確認するのに用いられることを求めている
・MDDは、すべての活動の行われる順番をきめておくことを求めている。
答えはすべて×である。ひとつでも正しいと思ったら、それは昔の慣習に縛られていてMDDを正確に理解していないということである。これはアプレイザルチームトレーニングのせいでもある。
昔のアプレイザルの順序は、文書をレビューし、所見を作って、質問を作って、インタビューし、また所見を作って、所見をまとめ、所見を確認する。このような順にすすめていた。
これを「One-Stop」アプレイザルは、PIIDsと証拠を見せて、質問し、弱みを述べて確認するというのを同時に1つのセッションでやってしまおうというもの。
これによって効率的かつ協力的なアプレイザルができるというわけである。
なかなか興味深いセッションであった。この日はこの後に他に2つのチュートリアルに参加した。
初めてSEPGに参加する人なら確実に驚くと思うのがランチタイムである。巨大なホールで何百人という人が集まり昼食をとるのである。アメリカ的なので、味は期待してはいけないが量は期待してもよい。
料理の味とか量に驚くと言いたい訳ではない。驚くべきところは人数である。千人はいないと思うが、数えられないくらいの人がいる。自分と同じようにプロセス改善をしている人々を何百人という単位で見ると、何かを感じざるをえないだろう。
17時になると展示会のオープニングが行われた。約30社の企業が出展している。
いろいろなツールや書籍があるが、SEPGに参加している人を狙っているので、かなりマニアックだと思う。なかにはセグウェイのツアーなんてのもある。
3月23日。会場であるコンベンションセンターは宿泊しているホテルの対岸にあるのでフェリーで会場まで向かう。昨日は燃料流出のため川が沿岸警備隊によって閉鎖されていた。サマータイムなのでちょうど朝日が昇ってきた。まぶしい。
2日目は、メキシコ、マレーシア、南アフリカの人たちのパネルディスカッションからスタートする。2010年のSEPGは、こんな感じで始まった。参加すると何らかの刺激を得られると思う。読者の皆さんも参加されることを勧める。
第72号:Fly with me, darling 飛び立つの ふたりのサヴァンナへ
2010年03月25日
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Fly with me, darling 飛び立つの ふたりのサヴァンナへ