今年4月に Process Maturity Profile CMMI For Development SCAMPI Class A Appraisal Results 2009 End-Year Update が公開されました。
これは、2002年4月のSCAMPIバージョン1.1のリリース以降、2009年12月までの間に実施され、SEIに報告があったアプレイザルの結果報告です。尚、掲載されているアプレイザル対象は、CMMI-DEVのみです。
内容は、大きく分けて
1.現況
2.世界の傾向
3.組織の傾向
となっています。
1.現況
SCAMPIバージョン1.1のリリース以降、2009年12月までの間においてアプレイザルが実施され、2010年1月までにSEIに報告された結果を見ると、アプレイザル実施数は以下の通り増加傾向であることが分かりました。
※カッコ内は2009年6月までの値
アプレイザル実施数: 5,499件(4,726件)
組織数: 4,468組織(3,906組織)
参加企業数: 3,458社(2,963社)
再評定組織数: 826組織(662組織)
プロジェクト数: 30,227プロジェクト(25,013プロジェクト)
アメリカ以外の組織率:74.3%(72.9%)
では、どのレベルでアプレイザルが実施されているのでしょうか? その結果、
1位 レベル3:53.9%
2位 レベル2:28.2%
3位 レベル5: 7.8%
と、半数以上がレベル3でアプレイザルを実施しています。
尚、この結果はCMMIモデルバージョン1.1に基づいたアプレイザルも含まれています。バージョン1.2のみのアプレイザル結果を見ると、上記のランキングは同じであるものの、レベル3については63.0%の組織がアプレイザルを実施しています。
では、どういった組織がアプレイザルを実施しているのでしょうか? その結果、
1位 商用や組織内: 76.8%
2位 軍・政府系組織の取引先: 18.7%
3位 軍・政府系組織: 4.5%
となりました。
産業別にみてみましょう。サービス業が71.1%、製造業は16.3%となっています。
アプレイザルを実施した組織の規模を見てみると、
※カッコ内は2009年6月までの値
1位 100名以下の組織: 58.2% (55.9%)
2位 101名~200名の組織:18.0% (18.9%)
3位 201名以上の組織: 23.8% (25.2%)
半年前の結果に比べると、100名以下の組織のアプレイザル実施の割合が伸びてきているのが特徴的です。
それぞれの規模でアプレイザルの多かったレベルを見ると、上記の区分ではいずれもレベル3が多いものの、25名以下の組織では、レベル2のアプレイザルが多いことが分かりました。
2.世界の傾向
アプレイザルの実施・報告数について大陸別にみてみると、アジアが最も多く2,648件、次いで北アメリカ1,727件、ヨーロッパ709件の順となっています。
では、国別にみてみましょう。上位5件は、
1位 アメリカ: 1,582件
2位 中国: 1,229件
3位 インド: 524件
4位 日本: 306件
5位 スペイン: 180件
となっています。2009年6月と同じ順位ではありますが、ランク外となったブラジルでは117件から144件、メキシコでは68件から86件と、急速に増えていることも見逃せません。ちなみに、上位5位の中における2009年6月からの増加数をみると、中国が断トツで1位(283件)、ついでアメリカ(177件)、インド(64件)、スペイン(25件)の順となっています。日本は、8件のみでした。
3.組織の傾向
最初にアプレイザルを行った成熟度レベルと、直近行ったアプレイザルの成熟度レベルを見てみると、初めてのアプレイザルではレベル2を、直近に行ったアプレイザルではレベル3で行った組織が多いことが分かりました。
では、各レベルを達成するまでにどれくらいの期間を要するのでしょうか? その結果、
※カッコ内は2009年6月までの値
レベル1から2: 4.5ヶ月(4ヶ月)
レベル2から3: 19ヶ月(18.5ヶ月)
レベル3から4: 24ヶ月(19ヶ月)
レベル3から5: 19ヶ月(13ヶ月(※))
であることがわかりました。
2009年6月の結果と比べると、レベル1から2、及びレベル2から3を達成するまでにさらに半月ほど要する結果となりました。また、レベル3から4については5ヶ月ほど前回の結果よりもかかる結果となりました。
尚、今回からレベル4から5に達成するまでの期間が、レベル3から5に変更されています。単純に比較はできませんが、いずれにしても高成熟度の達成には、1年以上かかることに変わりはないようです。
より詳細な内容をみたいという方は、以下のサイトにアクセスしてみて下さい。
過去のアプレイザルの報告結果も掲載されています。
http://www.sei.cmu.edu/cmmi/casestudies/profiles/cmmi.cfm
第73号:Maturity Profile update
2010年04月23日
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Maturity Profile update