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第240号:CMMIプラクティショナー試験

2024年03月25日

  • CMMIプラクティショナー試験

    先々月のメルマガにてCMMI V3.0のアソシエイト試験の変更点をお伝えしました。

    今回は、CMMI V3.0になってから新たに導入されたプラクティショナー試験について、いくつか情報をお伝えします。

    ●試験の概要
    すでに当メルマガにて何度かプラクティショナー試験について紹介しておりますが、あらためてアソシエイト試験との違いを中心に概要をまとめると以下になります。

    ・BOC(Building Organizational Capability)コースを受講すると受験資格が得られる
    ・合格すると認定CMMIプラクティショー資格が得られ、すべてのドメインのアプレイザルチームメンバ資格要件の一つを満たす
    ・中核(Core)だけではなく、すべてのドメインが試験範囲に含まれる
    ・試験問題は全120問(すべて四肢択一式)
    ・試験時間は4時間

    アソシエイト試験と同様にオープンブック試験ですので、CMMIモデルや自身のノートなどを見ながら受験可能です。
    4時間と長丁場ですので、しっかり試験に集中できる環境を確保して、途中休憩を入れながら進めるとよいかと思います。

    ●どんな人が受験すべきか
    CMMIの一般的なユーザーの場合、以下に該当する人が受けるとよさそうです。
    ・DEV、SVC以外のドメインを学びたい方
    ・DEV、SVC以外のドメインを含むアプレイザルに参加する予定の方

    ウチの会社はDEVしかやってないし、安全性(SAF)、セキュリティ(SEC)、仮想(VRT)、データ(DATA)、人材(PPL)といった他のドメインにも興味ないからこの資格は不要だよ、という方もいらっしゃると思いますが、要注意は供給者管理(SPM)ドメインの扱いです。

    これまでDEVのアプレイザルにSAMを含めて実施していた組織も多いと思いますが、供給者合意管理(SAM)のPAはSPMドメインに含まれますので、CMMI V3.0ではSAMを追加してアプレイザルを実施する場合、チームメンバはプラクティショナー資格を保持している必要があります。

    該当する組織の方は、今後はSAMを含めるべきかどうか検討し、そのうえでプラクティショナー資格の要否をご判断いただくと良いかと思います。

    ●アーリーアダプター期間がもうすぐ終了
    当試験を受験するには4日間のBOCコースの受講が前提となりますが、2024年3月31日まではアーリーアダプター期間ですので、アソシエイト資格を持っている方はBOCコースの受講なしに$500で受験することができます。

    いよいよ期限がせまってきておりますので、予定されている方はお早めに。
    https://cmmiinstitute.com/store/cmmi-certified-practitioner-exam

    なお、システム上の制約なのか、申込処理を実施してから数時間待ってようやく試験を開始できたという話を実際受けた方から聞いております。なので申込日と受験日を一緒に考えている方はご注意ください。

    ●出題されるテーマ
    アソシエイト試験と同様、プラクティショナー試験もISACAのポリシー文書に試験の概要(ECO:Exam Content Outline)が記載されております。

    実際に試験問題はこのECOに沿って出題されますので、受験される方はテーマごとの対策をしておくとよいでしょう。

    ECOによると、出題テーマとその割合は以下のとおりです。
     1.中核(50%)
     2.開発(15%)
     3.サービス(15%)
     4.セキュリティと安全性(5%)
     5.供給者管理(5%)
     6.データ管理(5%)
     7.人材管理(5%)

    全120問ですので、1は60問、2と3は18問ずつ、4~7は6問ずつ出題されます。

    1.中核はアソシエイト試験と同じ試験範囲で、問題も類似のものが出題されているようです。
    アソシエイト試験範囲のECOは前々回のメルマガに記載しておりますのでご参考まで。
    https://www.daiwa-computer.co.jp/column/cmmi_238/

    2~7は、中核以外の他のドメインごとに出題されます。
    これらのECOはいずれも以下のように定義されています。(Xには2~7の数字が入ります)
     X.1 そのドメインの能力領域に含まれるベストプラクティス
      X.1.1 モデル体系:能力領域、区分、ドメイン
      X.1.2 プラクティス領域: PAの意図と価値、追加の必要情報、解説情報
      X.1.3 プラクティス:意図と価値、追加の必要情報
      X.1.4 活動の例
      X.1.5 作業成果物の例
      X.1.6 コンテキスト固有

    X.1.1~1.5は、例えば開発の場合は、技術ソリューション(TS)、成果物統合(PI)に関する問題が、サービスの場合は、サービス提供管理(SDM)、戦略的サービス管理(STSM)、インシデントの解決と予防(IRP)、継続(CONT)に関する問題が出題範囲になります。

    X.1.6 コンテキスト固有は、CMMI V3.0モデルのあちこちのPAやプラクティスに登場するコンテキスト固有(Context Specific)の情報から出題されます。

    例えば、X.1.5 作業成果物の例であれば、
    「TS 2.3に含まれる作業成果物の例はどれか →正解:手引き書」
    「手引き書はどのプラクティスに含まれる作業成果物の例か →正解:TS 2.3」
    といった感じの問題が出題されます。

    上記のように、基本的には中核も他のドメインもCMMIモデルを検索すれば解ける問題が多いです。

    CMMIを開発で使用している方の場合、中核や開発の問題は馴染みがあるのでおそらく解きやすいと思います。
    他のドメインの問題は苦労する部分はあると思いますが、事前にPAの意図や価値、どんなプラクティスがあるかなどをある程度学習しておけば対応できるでしょう。

    ご紹介は以上です。
    プラクティショナー試験はアソシエイト試験に比べて必要としている人が少ないかもしれませんが、異なる視点でCMMIを見ることで、改善につながる良いヒントが得られるなどのメリットも多々ありますので、利用者が増えるといいなと思っています。
    チャレンジされる方が無事合格できることを祈っております。