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第238号:CMMI V3.0のアソシエイト試験の変更点

2024年01月25日

  • CMMI V3.0のアソシエイト試験の変更点

    CMMI V3.0のアソシエイト試験とプラクティショナー試験が昨年から開始されております。いくつか最新情報が得られましたのでご紹介します。

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    まずは簡単にCMMIプラクティショナー試験についてです。

    プラクティショナー試験は、現在アーリーアダプター期間で前提となるBOCコースの受講なしに受験することができるチャンスです。興味のある方は今のうちにチャレンジしてみてください。期限は2024年3月31日までです。申込みはこちら。
    https://cmmiinstitute.com/store/cmmi-certified-practitioner-exam

    先日、私もプラクティショナー試験を実際に受験してみました。SafetyやSecurity、Data、People等の普段触れることの少ないドメインに関する問題は、一部厄介なものもありましたが、モデルを参照すればだいたいは解けますので、アソシエイト試験を突破できる人であればクリアできるくらいの難易度かなと感じました。ただ、全120問、試験時間は4時間あるので、なかなかの体力勝負の試験でした。受験される方は、時間および集中できる場所を確保するほか、飲み物などを用意して望むとよさそうです。他の詳しい情報はまたの機会にお知らせします。

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    続いてCMMIアソシエイト試験についてです。

    CMMIアソシエイトは、開発(DEV)またはサービス(SVC)のCMMIアプレイザルのチームメンバになるための要件の一つです。全60問、オンラインで受験、モデルやノートなどを参照しながら受験可能なオープンブック試験というのは以前と同じです。制限時間は以前は180分でしたが、V3.0からは150分とやや短縮されました。

    最近判明した以前からの変更点を以下に列挙しておきます。
    ●試験問題の種類の変更
    以前は二択、四択、複数選択の3パターンがありましたが、現在は四択問題のみとなっているようです。

    二択や複数選択問題は難しめ、四択は易しめの問題が多かった印象がありますので、全体的な難易度は下がっていそうです。

    ただ、V3.0のFOCコースの教材では、二択や複数選択も例題として紹介されていますので、将来的にはそのパターンも出題される可能性はあります。

    ●試験の合格基準の非公開化
    以前は80%(60問中48問正解で合格)だったのが、ISACAのポリシー変更により試験の合格基準は非公開となりました。

    ISACA曰く、基準を公開しない理由は、合格点だけを目指して勉強するのではなく、モデル使用に関する実践的な知識を身につけることを目指して欲しいということと、今後試験内容を変更した際に基準も変更となるが、それによる受験者の混乱を避けるためとのことです。

    しかし受験者心理としては、何点で合格になるか目安は知りたいですよね。おそらく以前と同じ80%前後が基準と思われますが、何点で合格になるか不明です。
    先日、92%を達成した人は合格されていました。75%でも合格できたよとか、85%でも不合格だったという人は、もし差し支えなければ情報提供にご協力いただけますと幸いです。メルマガ等を通して目安を皆さんと共有できるかもしれません。

    ●試験システムの変更
    以前はISACAのCMMI関連のeラーニングや試験は、CMMI Learning Systemというシステム上で行い、受験履歴の参照や修了証書のダウンロードもここで行う形式でしたが、V3.0以降の試験はISACAの別の試験システム上で行う形式になったようです。

    前の問題に戻ることが可能になり、最後の回答見直しもやりやすくなりました。
    修了証書はシステムからのダウンロードではなく、合格直後にメールで送られてくる形式になっております。

    ●再試験における技術的不具合発生中
    試験システム変更の影響なのか、2024年1月現在、このページの上部に、「Exam Retake Error 再受験開始時に技術的な問題があるが、購入は可能であり、再受験が可能になったら連絡する」と記載されています。
    https://cmmiinstitute.com/store/cmmi-v2-0-certified-associate-exam-retake

    実際に資格更新のために手続きされた方の話によると、申込ページから購入処理を行うと試験のリンクが購入者のISACAダッシュボードページに表示され、ISACAの連絡を待たなくても試験を開始することは可能になっていたようです。不安な方は、購入後にISACAに直接問合せてから試験を開始したほうが安心かもしれません。

    ●出題される試験内容(ECO)の明確化
    アソシエイト試験問題は、CMMI V3.0のCORE(中核)の領域から主に出題されます。

    具体的には、これまではFOCコースの学習者目標シートに記載されている内容から主に出題されていましたが、最近ISACAのポリシー文書に試験の概要(ECO:CMMI Associate Exam Content Outline)というページが追加されました。

    実質、試験問題はこちらのテーマに沿った問題が出題されますので、受験される方はこれらのテーマごとの対策をしておくとよいでしょう。

    ECOの一覧はこちらです。(CMMI Associate Policy V3.2 2024/1/11版より)
    1.CMMI中核
    1.1.CMMIの構成要素と中核のプラクティス領域について説明する
     1.1.1 モデルの体系 (能力領域、区分、ドメイン、概要、用語集、プラクティスグループレベルの概要、能力度)
     1.1.2 プラクティス領域:PAの意図、追加の必要情報、解説情報)
     1.1.3 プラクティス:意図と価値、追加の必要情報
     1.1.4 活動の例
     1.1.5 作業成果物
     1.1.6 コンテキスト固有の情報 (DevSecOps)
    1.2.CMMIモデルを事業価値と結びつける
     1.2.1 品質の確保 (PR、VV、PQA、RDM)
     1.2.2 実施の支援 (CM、DAR、CAR)
     1.2.3 習慣と持続性の維持 (II、GOV)
     1.2.4 実績の改善 (PCM、PAD、MPM)
     1.2.5 事業レジリエンスの管理 (RSK)
     1.2.6 作業の計画と管理 (PLAN、EST、MC)
     1.2.7 人材の管理 (OT、EVW)
     1.2.8 プラクティス領域とプラクティスの相互関係
     1.2.9 ライフサイクルモデル:開発、サービス、サプライチェーン、プロセス
    1.3.アプレイザルの高レベルの価値の理解
     1.3.1 導入と移行の手引き
     1.3.2 アプレイザル

    この中だと、1.1.6 コンテキスト固有の情報 (DevSecOps)は以前の試験では出題されていなかった内容ですね。継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)などのDevSecOps特有の考え方を押さえることがポイントとなりそうです。

    CMMI V3.0では、DevSecOpsはコンテキスト固有の情報として、モデルのあちこちに解説が登場します。以下のPAやプラクティスに解説がありますので、受験前に読んでおきましょう。
    ・CAR、CM、ESEC、EVW、II、MPM、OT、MC、PR、PAD、PLAN、PI、TS

    また、CMMI導入の手引き(CMMI Adoption Guidance)のAppendix I: Context Specific Tags の章に、コンテキスト固有の解説がどこに登場するか一覧化されてますので、気になる方はそちらも参考にしてください。