GOV 2.4 の解釈が難しいようです。GOV 2.4は以下のとおりです。
「GOV 2.4 上級管理層は、権限を割り当て、人員が組織方針を遵守することおよび人員がプロセスの実装と実績改善目標を達成することについて、説明責任のある状態に保つ。」
特に説明責任というのが難しいようです。説明責任とは何でしょう? 責任と何がちがうのでしょうか?
このプラクティスのもともとの英文は次のようになってます。
「GOV 2.4 Senior management assigns authority and holds peopleaccountable for adhering to organization directives and achievingprocess implementation and performance improvement objectives.」
説明責任のところは「accountable」という単語が使用されています。
CMMIモデルの日本語訳で責任となっているとき、通常原文ではresponsibleやresponsibilityという単語が使われていますので、説明責任は責任とは元の英語が違います。
ロングマン現代英英辞典で「accountable」を調べてみますと以下のように定義されています。
responsible for the effects of your actions and willing to explain or becriticized for them
一方、「responsible」は以下のとおりです。
1. if someone is responsible for an accident, mistake, crime etc, it istheir fault or they can be blamed
2. having a duty to be in charge of or to look after someone orsomething
3. if something is responsible for a change, problem, event etc, itcauses it
4. sensible and able to make good judgments, so that you can be trusted
「accountable」は、自分の行動の結果に責任を持ち、それについて説明する必要があります。
「responsible」は、何かを実行することを担当していたり、義務があったりします。
プラクティスには「説明責任のある状態に保つ」とありますので、体制図とかRASCI図とかで責任者を割り当てるだけでは不十分です。
「説明責任のある状態に保つ」ために、上級管理層は、組織の構成員が組織方針を遵守し、プロセスの実装と実績の改善目標を達成したのか確認し、課題に対処する必要があります。
組織方針が遵守されていない場合や目標が達成されていない場合は、是正処置を指示してください。相談したり助言を与えたりすることもあるでしょう。ひどいときには譴責や減給、懲戒処分ということもあるかもしれません。
逆に目標を達成した場合には、報酬を与えたり、表彰したりすることもこのプラクティスの実装例のひとつです。
表彰や懲戒といった制度は多くの会社にあると思いますので、うまく使ってください。
このように組織の実績改善とプロセス実装の成功のためには、上級管理層の関与が不可欠です。統治プラクティス領域をうまく実装してください。
第231号:説明責任のある状態
2023年06月23日
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説明責任のある状態