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第207号:パフォーマンスを改善させましょう

2021年06月25日

  • パフォーマンスを改善させましょう

    CMMIに準拠してプロセス改善を始めると、やることが増えて生産性が落ちたとか、品質は向上したがコストがかかりすぎるとか、思っている人はいませんか? それはCMMIの使い方が間違っています。プロセスを改善していません。

    CMMI V2.0は、パフォーマンスの改善を重視しています。CMMI V2.0になって、パフォーマンスレポートというものが出てきました。これはベンチマークアプレイザルとサステインメントアプレイザルのときには必須のものです。エバリュエーションアプレイザルのときは必須ではありませんが、作ることを推奨しています。

    パフォーマンスレポートの目的は、アプレイザル対象組織のパフォーマンス状況の概要を作ることです。その組織の事業上の利点とパフォーマンス結果を可視化します。

    その組織にはどんな事業目標があるのか、関連するパフォーマンス目標の達成状況はどうなのか、プロセスとパフォーマンスの改善によってどのような結果が達成されているかについて、アプレイザルチームの判断を記録します。

    パフォーマンスレポートの以下のような内容を含みます。
    ・事業目標
    ・事業目標の影響を受ける仕事の種類
    ・事業目標に関連する測定とパフォーマンスの目標
    ・測定とパフォーマンスの目標の実際の結果
    ・追跡間隔
    ・測定とパフォーマンス目標を達成したか?
    ・測定とパフォーマンス目標に必要な改善
    ・潜在的な根本原因
    ・改善から生じる事業上の利点
    ・パフォーマンスの改善を持続可能にする方法
    ・関連するモデルプラクティス
    ・アプレイザルチームのコメント

    どうでしょうか? 自分の組織の目標に対して、このレポートのアプレイザルチームのコメント以外の各項目をすぐに言えるでしょうか?

    これらを把握しているなら問題はありません。パフォーマンスがどんどん改善していくことでしょう。

    2019年に実施されたCMMI V2.0アプレイザルを行った組織のパフォーマンス改善結果を分析した結果が載っている、CMMI V2.0 Performance Report Summaryによれば、CMMI V2.0は、以下のように組織のパフォーマンスを改善しています。
    ・手戻りが最大60%削減
    ・成果物品質が70%改善
    ・生産性が最大54%改善
    ・欠陥阻止が平均23%改善
    ・開発速度が最大38%向上

    うますぎる話だと思いますか?

    CMMI V2.0は、プロセス・コンプライアンス・モデルからビジネス・パフォーマンス改善モデルへとシフトしました。CMMI V2.0では、すべての成熟度レベルでパフォーマンスを扱ったプラクティスがあり、組織のパフォーマンスを改善させることに重点を置いています。

    CMMIをコンプライアンスのためだけでなく、パフォーマンス改善のためにつかいましょう。

    もちろん標準プロセスや手順を遵守することも大事ですよ。でも、どんな標準プロセスや手順でもいいかというとそんなことはありません。パフォーマンス改善のために標準プロセスや手順を作って、それを遵守することが重要なのです。