CMMI V2.0に関する続報をお知らせします。
2018年3月28日にCMMI Development V2.0がリリースされてから、パートナー向けのニュースレターやCMMI関連のイベントなどで、いろいろと新情報が出てきています。
今日はその中の一部をご紹介します。
第170号:CMMI V2.0の新情報
2018年05月25日
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CMMI V2.0の新情報
公式日本語訳の発行時期
CMMI V2.0の公式日本語訳を待っている方は多いと思いますが、4月30日に開催されたCMMI Partner Workshopで紹介された情報によると、公式日本語訳は2019年の第一四半期(1~3月)に発行されるとのことです。
公式訳は、CMMIモデル、評定手法、採用と移行ガイド、CMMI Associate試験、パフォーマンスレポート、パンフレットなどが対象となっています。
これは変更される可能性があります。
リリースから1年後に公式訳が発行されるというのは、過去に比べると割と早い印象です。
ちなみに、中国語版や韓国語版は2018年中にリリースされるそうです。
V2.0は「平易な表現を使用する」という改定がなされているので、翻訳も早く行えるそうです。
とはいえ、現行のV1.3のアプレイザル受付終了期限は2020年3月31日に設定されていますので、仮に2019年3月に公式訳が出たとしたら1年しか準備期間がないのは短すぎるのではないか、というご意見もいただきます。
これについては、V1.3の時は評定の受付期限の延期処置がありましたので、今回も同様の処置がとられるかもしれませんが、具体的にはまだ未定です。多くの方が延期を希望すれば、要望が受け入れられる可能性はあります。
皆で声をあげましょう。モデルの補足資料やライセンスについて
CMMI Model Viewerを購入すると一緒に提供される以下の補足資料:
・採用と移行ガイド
・CMMI DEV V2.0クイックリファレンスガイド
・CMMI DEV V1.3とV2.0のマッピング
はまだ利用できないと前回のメルマガでお伝えしておりましたが、利用可能になりました。
CMMI Model Viewer購入者は、CMMI研究所のサイト上の「ダッシュボード」と呼ばれる自分専用のページにて各種資料にアクセスできます。
上記の補足資料は5月頭の時点で利用可能になっているようなのですが、不具合でダッシュボードに資料のリンクが表示されないという人も一部いるようです。
実は私がそうだったのですが、CMMI研究所に問い合わせたところ、一週間ほどでリンクが表示されるようになりました。
もし購入したけど表示されない人は、問い合わせすれば参照できるようになるはずです。
有料になって割高感があるModel Viewerですが、モデルだけではなく、補足資料が最初から多数付属し、ライセンス保持期間内は新たな資料が入手できます。そう考えればオトク感があります。特にV1.3ユーザーにとっては、マッピング資料の存在は助けになるでしょう。
また、Model Viewerのライセンスは現時点では個人ライセンスのみですが、世界中から企業向けのライセンスの要望が挙がっているとのことで、近いうちに導入することを検討している、とのアナウンスが出ています。
トレーニングと評定チームメンバ資格について
従来、Introduction to CMMI for Development(開発のためのCMMI入門コース)と呼称していた3日間コースは、以下の2つのコースを受講する形態に変更になりました。
・Foundations of Capability(略称:FOC、2日間)
・Building Development Excellence(略称:BDE、1日間)
FOCはCMMI V2.0のコアとなる要素について学ぶコースです。
FOC受講後、BDEを受講可能になります。
BDEは、Developmentのプラクティスについて学ぶコースです。
これらのコースを受講する際に、CMMI Model Viewerの7日間のアクセス権が付与されます。
受講2日前にCMMI研究所から連絡があり、モデルにアクセスできるようになります。
受講中はCMMI Model Viewerか、ViewerからダウンロードしたPDFファイルを参照しながら受講することになります。
また、FOCを受講すると、CMMI Associate試験の受験資格が付与されます。
CMMI Associate試験は、CMMI研究所のサイト上でオンラインで受験する試験です。
合格することで、CMMI V2.0の評定にチームメンバ(ATM)として参加する要件の一つを満たします。
V1.3までは、CMMI入門コースに3日間参加しさえすれば、理解の程度はあまり問われずにATMの要件を満たしましたが、V2.0からはしっかり理解して試験にパスしないとATMになることができなくなり、少々ハードルが上がりました。
ATMに一番求められるのはCMMIモデルの知識、ということが今回明確に出た形です。
さらに、ATMに求められる経験年数を満たし、リードアプレイザが提供するアプレイザルチームトレーニングを受講すれば、ATM資格を得ることができます。
ATMに求められる経験年数もV2.0では一部変更になりました。
フィールド経験がより重視されるようになり、若手ばかりのチームメンバ構成だと条件を満たさない可能性が高まりそうです。
・マネジメント経験年数:
最低1人は5年以上(V1.3では6年以上)
・フィールド経験年数(ソフトウェア開発経験等):
各自3年以上(V1.3では2年以上)
チーム平均10年以上(V1.3では平均6年以上)
高成熟度レベルの評定の場合は、Building High Maturity Concepts という、追加の1日コースの履修も必要になります。
V1.3のATM資格を保持している人が、V2.0の評定にATMとして参加するには、V2.0のアップグレードトレーニングの受講が必要になります。
V2.0アップグレードトレーニングは、2019年第二四半期(4~6月)にCMMI研究所からリリースされる予定で、現時点ではまだ受講できません。
CMMI研究所のサイト上でオンラインで受講できるコースと、インストラクタが提供するコースの2種類が用意される予定です。
FOC同様、アップグレードトレーニングにも、CMMI Model Viewerのアクセス権と、CMMI Associate試験の受験が付いてきます。
各コースにつきましては、弊社からもご提供できるように現在検討を進めておりますので、しばしお待ちください。
というわけでまとめますと、CMMI Developmet V2.0のATMの資格を得るには、以下のことが必要です。
・V1.3のATM資格を持っていない(V1.3の入門コース未受講またはアップグレード未実施)の場合:
→Foundations of Capabilityを修了する
Building Development Excellenceを修了する
CMMI Associate試験を受験し、合格する
アプレイザルチームトレーニングを修了する
経験年数を満たす
・V1.3のATM資格を持っている(V1.3の入門コース受講済みまたはアップグレード済み)の場合:
→CMMI V2.0アップグレードトレーニングを修了する
CMMI Associate試験を受験し、合格する
アプレイザルチームトレーニングを修了する
経験年数を満たす
・上記に加え、高成熟度(レベル4or5)の評定のATMになる場合:
→Building High Maturity Conceptsを修了する