CMMIには固有ゴールと共通ゴールがある。
どちらのゴールも必要とされるモデル構成要素であり、プロセス領域を満たすために存在しなければならない特性を記述している。
プラクティスは、関連づけられたゴールを達成するにあたって、重要であると見なされる活動の記述である。プラクティスは、ゴールの達成につながることが期待される活動を記述している。プラクティスは、期待されるモデル構成要素である。
プラクティスはゴールを達成するために重要であると見なされるものなのだが、なかにはこのプラクティスいるの?と思うようなプラクティスもある。
例えば、『プロセスと成果物の品質保証(PPQA)』の『SP 2.2 品質保証活動の記録を確立し保守する』。確かに品質保証活動の記録を残すことは重要である。しかしこのプラクティスがゴールを達成するためにどれほど貢献しているのか。
PPQAの『SG 2 不遵守課題は客観的に追跡および伝達され、確実に解決されている。』には、下記の2つのプラクティスが関連づけられている。
SP 2.1 要員および管理者と共に、品質課題を伝達し、不遵守課題を確実に解決する。
SP 2.2 品質保証活動の記録を確立し保守する。
『SG 2 不遵守課題は客観的に追跡および伝達され、確実に解決されている。』を達成するためには、『SP 2.1 要員および管理者と共に、品質課題を伝達し、不遵守課題を確実に解決する。』だけで十分ではないか。
SP 2.1だけで、課題の追跡、伝達および解決はカバーされている。SP 2.2はSG 2を達成するためにどれほど貢献しているのか。SG 2はSP 2.1だけでよいのではないか。
次の例は、『検証(VER)』の『SP 3.2 すべての検証活動の結果を分析する。』である。
VER の『SG 3 指定された要件に照らして、選択された作業成果物が検証されている。』には、下記の2つのプラクティスが関連づけられている。
SP 3.1 選択された作業成果物に対して検証を実施する。
SP 3.2 すべての検証活動の結果を分析する。
『SG 3 指定された要件に照らして、選択された作業成果物が検証されている。』を達成するためには、『SP 3.1 選択された作業成果物に対して検証を実施する。』だけで十分ではないか。
「選択された作業成果物が検証されている」というゴールに対して「選択された作業成果物に対して検証を実施する」。十分だろう。SP 3.2はいるのか。何を足す必要があるのか。「すべての検証活動の結果を分析する」は、SP 3.1のサブプラクティスでもいいだろう。
VER SP 3.2 と来れば、次は『妥当性確認(VAL)』の『SP 2.2 妥当性確認の活動の結果を分析する。』である。
VAL の『SG 2 成果物または成果物構成要素が、意図された運用環境での使用に適しているようにするために、成果物または成果物構成要素の妥当性が確認されている。』には、下記の2つのプラクティスが関連づけられている。
SP 2.1 選択された「成果物および成果物構成要素」に対して妥当性確認を実施する。
SP 2.2 妥当性確認の活動の結果を分析する。
「成果物または成果物構成要素の妥当性が確認されている」というゴールに対して「選択された『成果物および成果物構成要素』に対して妥当性確認を実施する」。
このプラクティスだけで十分だろう。これも『SP 2.2 妥当性確認の活動の結果を分析する。』は、SP 2.1のサブプラクティスでいいだろう。
すべてのゴールには、2つ以上の関連づけられたプラクティスが存在している。
プラクティスがひとつだけというのはダメなのか。
第161号:ゴールとプラクティスの関係
2017年08月25日
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ゴールとプラクティスの関係