第146号：Capability Counts 2016レポート

5月10日と11日の2日間、メリーランド州アナポリスにて行われたCapability Counts 2016に参加してきました。
簡単にカンファレンスの様子をご紹介します。

Capability Countsは、CMMI Instituteが主催するプロセス改善のカンファレンスです。
1988年から開催されてきたSEPGカンファレンスが昨年Global Congressという名称に改称されましたが、今年からCapability Countsにまた改称されました。

いろいろな国からプロセス改善に関わる人達が集まり、研究成果を発表したり、意見交換を行ったり、親交を深めたりします。

Capability Counts 2016
http://cmmiinstitute.com/conferences

今年の参加者は全部で300名ほど。リードアプレイザやインストラクタ向けのWorkshopが、続く12日と13日に行われたため、日本からも20名前後の方が参加しており、食事を共にしたり、情報交換をさせていただいたりしました。
現地でお世話になった方々、今年もありがとうございました。

今回のカンファレンスでは、全体で行われるキーノートスピーチやパネルディスカッションなどのほか、個別のセッションは、

・CMMIやプロセス改善の基礎を伝える初心者向けの Starting Your Capability Journy
・改善活動事例などのケーススタディを伝える中級者向けの CMMI On Board
・高成熟度レベルの取り組みについて学ぶ上級者向けの Advancing Your Capability
・レゴやカードなどを使って手を動かすゲーム形式での演習を体験したい人向けの Gamer's Alley

の4つのカテゴリに分かれて行われました。この4つが並行して実施されますので、自分の好みやニーズに合うセッションを選んで受講します。
具体的には以下のようなセッションがありました。
http://cmmiinstitute.com/conferences#programagenda

初心者向けのStarting Your Capability Journyでは、CMMIやプロセス改善活動に取り組み始めた人にとって大事なことがいろいろと紹介されており、英語リスニングに苦手意識のある私にも理解しやすかったですし、内容的にもよい復習になったので、個人的には結構参考になりました。

その初心者向けセッションの中から、一つをご紹介します。

Natural SPI社のMichael West氏によるセッション。「私があなただった頃、知っていれば良かったと思う10のこと」とでも訳しましょうか。

氏の20年の経験で得たCMMIベースのプロセス改善活動に関する10個の教訓が紹介されていました。
上司から「CMMIのレベル3を達成せよ」と言われたときに留意するポイントがまとめられていました。
その中のいくつかをご紹介します。
※訳は意訳です。

・CMMI is not process.
CMMIはプロセスではなく、組織内の活動がプロセスであるとのこと。
・Improve process ONLY to improve performance.
唯一、パフォーマンスを改善するためにプロセス改善を行うこと。
・Acheving a ML or CL doesn’t necessarily indicate performance improvement.
成熟度レベルや能力度レベルを達成することは、必ずしもパフォーマンスの善を示すものではない。
・Know what to improve, and why.
何を、何のために改善するのか知ること。
・Align goals and measures.
ゴールと手段を結びつけること。
・Remember! The CMMI is not the entire universe of process improvement.
CMMIはプロセス改善の分野すべてをカバーするものではないことを思い出すこと。
・Establish a capability in OPF and OPD first. You'll need it for all that follows.
最初に組織プロセス重視(OPF)と組織プロセス定義(OPD)の能力を確立すること。

つい、CMMIベースの改善活動をしていると、「CMMIを遵守する」とか「改善の目的はCMMIのレベル達成」とか「CMMIを満たす標準プロセスを策定する」とかやりがちですが、本来の組織がやりたい目的や目標を見据えてプロセス改善を行うために、上記の教訓を参考にすると良いかと思いました。

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来年のCapability Countsは、5月16日と17日にバージニア州のアレキサンドリアという都市で開催予定だそうです。
またもや東海岸側で日本からはちょっと遠いですが、今後の詳細情報を楽しみに待ちたいと思います。

行く予定の人は、間違えてエジプトにある同名の都市行きの飛行機を予約しないようにご注意ください。