D-column

#33 : 病害虫と闘う ~コナジラミ誘引駆除機「ピカとる」とタバコカスミカメを併用した結果・番外編~

2026年08月17日

  • 暑さが本格化する季節となりました。
    農作物も虫もすくすくと育つ夏ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
    連日厳しい暑さが続いておりますので屋外・屋内問わず、くれぐれも体調管理には気をつけたいですね。

    さて、前回の「病害虫と闘う」記事ではコナジラミ対策の天敵(生物農薬)である「タバコカスミカメ」と
    コナジラミ誘引駆除機「ピカとる」の併用試験についての結果をご紹介しました。
    (前回の記事はこちら)

    今回は本題から少し離れて、今後も試験を続ける上で実施した内容を紹介させていただきます。

    ■ トマトからメロンへの切り替え
    私どもが管理するBigRoots圃場では春から夏にかけてメロンを栽培しています。
    前回時点ではトマトを栽培していましたが、こちらは秋から冬の期間限定です。
    冬から春となり、トマトからメロンへ切り替える際に気を付けなければならないことが1点あります。
    それはトマトに導入したタバコカスミカメの扱いについてです。
    このタバコカスミカメをメロンに持ち越さないようにすることが必要となります。

    ■ なぜ持ち越すことができないのか?
    タバコカスミカメは生物農薬としての登録がある商品となっています。
    農薬の基本的なルールとして、その農薬によって定められた対象作物以外には使用してはいけません。
    今回の場合、農薬として売られているタバコカスミカメをトマトに使用する分には問題ありませんが、
    メロンに対して使用することは農薬のルールにより禁じられています。
    トマトの栽培が終了し、残存したタバコカスミカメを意図的にメロンに持ち越す行為もおそらくグレーゾーンとなるため、
    コンプライアンスとしてタバコカスミカメを持ち越すことはできません。

    ■ ならばどうすべきか?
    「ピカとる」とタバコカスミカメを併用する試験のためにはタバコカスミカメは必須です。
    メロンとトマトを切り替えるたびにタバコカスミカメをリセットするのは効率が悪いため、
    メロンに付いても問題ないタバコカスミカメを用意しなければなりません。
    タバコカスミカメを生物農薬として使用する際の特記事項として“土着(どちゃく)”の扱いがあります。
    この場合の土着とは“元々その土地に生息していること”をさします。
    農薬として購入したものではなく土着のタバコカスミカメであれば農薬のルールに縛られることなく使用することが可能です。
    つまり、メロンでもタバコカスミカメの試験を継続するためには圃場まわりに生息しているタバコカスミカメを捕獲しなければなりません。

    ■ タバコカスミカメを捕獲するには?
    タバコカスミカメを捕獲するために必要なものは“餌”です。
    タバコカスミカメはクレオメやゴマなどの植物を好みます。
    バンカー植物としていたクレオメから種子が大量に採取できたので今回はクレオメをチョイスします。
    クレオメをそのまま野外に植えてもすぐにハダニ・カメムシ・アオムシにやられてしまうため、
    圃場とは別の育苗棟で1mほどの大きさまでクレオメを栽培します。
    大きく育ったクレオメを野外に移し替えてタバコカスミカメが付くのを待ちます。
    タバコカスミカメが付いたら他の病害虫が混入しないように吸虫機などで捕獲します。

    ■ タバコカスミカメの捕獲と今後の展望
    大量にある種子を投入して挑んだ結果、
    無事にタバコカスミカメを捕獲することができました。
    タバコカスミカメの夏のライフサイクルは早く、今も順調に飼育ができています。
    今後は十分な個体数と期間を用いて試験を実施できそうです。
    「ピカとる」とタバコカスミカメの併用は持続可能かつIPMに配慮した方法であるので今後ともその効果を実証していきます。

    [M.T]