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第61号:ビジネスゴールの例

2009年04月24日

  • Process Maturity Profile 2008 End-Year Update

    3月に Process Maturity Profile がアップデートされました。
    詳しくは、CMMI For Development SCAMPI Class A Appraisal Results 2008 End-Year Update といいます。CMMI-DEVです。CMMI-ACQは含まれておりません。

    下記のSEIのサイトからダウンロードできます。

    http://www.sei.cmu.edu/appraisal-program/profile/index.html

    いったい何の役に立つのかわからないグラフもありますが、とりあえずサマリーだけ紹介しておきます。

    ◆サマリー

    82ヶ月で4134の評定がSEIに報告された。

    「商用/社内」という組織カテゴリの評定が最も多い。

    「商用/社内」の評定は、米国以外の国が多い。

    「軍/政府機関」の評定は、米国が多い。

    米国以外の国(中国、インド、スペイン、ブラジル、タイ及びフランス)の評定が急激に増えている。

    2002年以降の平均期間は下記のとおり
    ・成熟度レベル1から2までは4ヶ月
    ・成熟度レベル2から3までは18ヶ月
    ・成熟度レベル3から4までは19ヶ月
    ・成熟度レベル4から5までは13ヶ月

    --
    この半年で約600件の評定が行われたみたいですね。成熟度レベル2より上では、レベルをあげるために費やされた期間が長くなっています。特にレベル3から4が顕著です。v1.2になって高成熟度に苦労されているのでしょう。

    以上

    ビジネスゴールの例

    先日、SEPG North America 2009 に行ってきました。今年の会場はSan Jose。サンジョゼなのかサンノゼなのかサンホセなのかわかりませんが、とても気候がよかったです。参加者1000人ぐらいでした。

    今年の傾向としては、高成熟度のセッションが人気がありました。いくつかは立ち見がでるほどの大盛況でした。

    ところで、皆さんの組織のビジネスゴールはなんでしょう? 成熟度レベル3達成とかをビジネスゴールにしていませんか? ビジネスゴールの達成に貢献しない改善活動は意味ないですから。

    SEIの話では、SCAMPI監査結果等によると、ビジネスゴールとプロジェクトの目標を誤解している場合がよくみられるそうです。

    多くの組織は、ビジネスゴールとプロジェクトの目標に合った高成熟度プラクティスがちゃんとできていなかったり、ゴールと目標を設定していても曖昧で実用的でなかったり、ビジネスゴールをコピー&ペーストしてプロジェクトの目標にしていたりするそうです。これでは、優れた実績と結果を示すことはできません。

    上記の問題に対応するためのチュートリアルがこれです。
                         ↓
    ...........................................................
    Guidance on Business and Project Goal Formulation
    in CMMI High Maturity Settings
    ...........................................................

    このチュートリアルでは、ビジネスゴールのテンプレートを提示していました。

    <ビジネスゴールステートメントのテンプレート例>
    【日付】までに、我々の組織は、【属性】を犠牲にすることなく、信頼率【割合】で、【分布】という現在の実績ベースラインから【分布】という新しい実績ベースラインまで【属性】を改善する。

    <ビジネスゴールステートメントの例>
    【2011年12月31日】までに、我々の組織は、【品質(1000行あたりの納品される欠陥数0.1以下)】を犠牲にすることなく、信頼率【95%】で、【平均=215日、標準偏差=13日の正規分布】という現在の実績ベースラインから【平均=185日、標準偏差=7日の正規分布】という新しい実績ベースラインまで【製品化に要する時間】を改善する。

    直訳なので想像以上にわかりにくい感じもしますが、ご了承ください。実際にこれを参考にビジネスゴールを定義するときは、テンプレートをそのまま使うのではなく、日本語として滑らかにしたほうがよさそうです。

    ゴールというものは複数の人々にそれを目指してもらいますので、それがぼんやりしていたり、人によって違う解釈ができたりするようでは、人々は手前で止まったり、自分勝手に好きな方向に進んだりして、効率よくゴール目指すことができません。ゴールは明確でなくっちゃいけません。