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第51号:工事進行基準:「今どこまで出来てる?」

2008年06月25日

  • 工事進行基準:「今どこまで出来てる?」

    忙しい日々を送っている皆様にとって、「現時点でプロジェクトがどれだけ進んでいるのか」というのは常に知りたい情報の一つだと思います。いかに正確に状況を把握できるかが、いかに正しい判断ができるかにつながってくるわけですから「大体できています」とか「6割がたですかね」といったあいまいなことでは心もとないことでしょう。さらにこの情報の重要度が増しそうです。その理由は「工事進行基準」が2009年4月から適用されようとしているからです。

    では、それによって何が変わるのでしょうか?

    工事完成基準(今までの一般的な方法)

    売上や費用は、成果物が完成し顧客が検収することによって計上されます。そのため、大赤字のプロジェクトが進行していてもそれが明らかになるのは完成したタイミングです。管理する側は最低でも「最終的にどうなったのか」が分かれば対応することが可能です。

    工事進行基準

    売上や費用は、決算期ごとにその時の進捗状況に応じて計上されます。従ってそのタイミングで「現時点」でのプロジェクトの状況を把握することや、確かな見通しが必須となります。

    この場合必要な情報は、大きく分けて3つあります。
    1.最終的な収益はいくらになるのか
    2.最終的な原価はいくらになるのか
    3.その時点での進捗度合いがどれくらいなのか

    1を明らかにするためには、そのプロジェクトが顧客に提供するものが何なのかが明らかになっている必要があります。

    2を明らかにするためには、正確な原価見積もりが必要となります。

    3を明らかにするためには、1のうちどれだけが完成しているのか、または2のうちのどれだけを消化したのかが必要となります。

    例:
    1.収益予定:1億3千万円
    2.原価予定:1億円
    3.進捗度合い:消化した原価5千万円÷原価予定1億円=50%
            ※原価比例法の場合
    この場合、計上すべき売上は1億3千万円×50%=6千5百万円となります。

    では、これを正確に出すために特に重要なプロセス領域はどれでしょうか?

    <要件管理>
    要件が何かがはっきりとしていなければ、1の収益予定を確定させることもできません。いつまでも範囲が不明確であれば収益予定も不明確なままです。

    <プロジェクト計画策定>
    言うまでもなく、2の原価予定を出すと言うことは正確な見積もりが必要となります。論理的根拠がある見積もりでなければ、説得力も無いでしょう。

    <プロジェクトの監視と制御>
    計画に対して現状がどうなっているのか、が分からなければ3の進捗度合いを出すことは不可能です。工数であれアーンドバリューであれ確実な値を掴む必要があります。

    <測定と分析>
    定性的な情報では上記の各値を出すことはできません。ニーズははっきりとしているわけですから、それに見合った尺度、測定方法、分析方法を明確にした上でデータを集めていきましょう。

    その他にも色々あるとは思いますが、ベースとなるのはこれらだと思います。幸いな?ことにこれらは全て成熟度レベル2のプロセス領域です。CMMIを利用したプロセス改善を進めているところであれば、これらの基盤はあるはずです。

    本格的に導入されるまでまだ時間はあります。経営層としてもこの対策が必要になるはずですので、今ひとつ改善の気合が足らん!という組織は、この機会を利用して強いトップダウンでプロセス改善を一気に進めてしまいましょう。