まいどですぅ。CMMやCMMIの理解をより深めていただくために、私CMMセミナー担当の西田理恵子が、プロセス改善活動家なら必ず押さえておきたい情報を簡単に説明していきます。
では今月は、CMMIのプロセス領域(高成熟度)について。
成熟度レベル4のプロセス領域は2つあります。各プロセス領域の目的を記述します。
第31号:CMMIのプロセス領域(高成熟度), 改善情報を集める話
2006年10月25日
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01CMMIのプロセス領域(高成熟度)
●組織プロセス実績
『組織プロセス実績』の目的は、「品質およびプロセス実績の目標」に応えるために、「組織の標準プロセスの集合」の実績に対する定量的な理解を確立し維持することである。また、組織のプロジェクトを定量的に管理するために、プロセス実績のデータ、ベースライン、およびモデルを提供することである。
●定量的プロジェクト管理
『定量的プロジェクト管理』プロセス領域の目的は、プロジェクトが確立した「品質およびプロセス実績の目標」を達成するために、「プロジェクトの定義されたプロセス」を定量的に管理することである。
成熟度レベル5のプロセス領域は2つあります。各プロセス領域の目的を記述します。
●組織改革と展開
『組織改革と展開』の目的は、組織のプロセスおよび技術の測定可能な改善策として、漸進的な改善策および革新的な改善策を選択し展開することである。これらの改善策は、組織の事業目標から導出される組織の「品質およびプロセス実績の目標」を支援する。
●原因分析と解決
『原因分析と解決』の目的は、欠陥およびその他の問題の原因を特定すること、および処置をとり将来における発生を予防することである。
今月は以上です。
では、さようなら。シャローム。 -
02改善情報を集める話
今回は、「GP 3.2 改善情報を集める」についての話です。
GP 3.2 組織のプロセスおよびプロセス資産の将来の利用および改善を支援するために、プロセスの計画策定および実施から導出された作業成果物、尺度、測定結果、および改善情報を集める。
この共通プラクティスの目的は、プロセスの計画策定および実施から導出された情報および作成物を集めることです。
情報および作成物を「組織の測定リポジトリ」や「組織のプロセス資産ライブラリ」に蓄積して、みんなで使ってください。
「組織の測定リポジトリ」や「組織のプロセス資産ライブラリ」については、『組織プロセス定義』プロセス領域を参照してください。
改善情報を集めるのは組織の責任です。プロジェクトがすべてのプロセス領域について改善情報を提出する必要はありません。
CMMI Version 1.2から、作業成果物、尺度、測定結果および改善情報の例が載るようになりました。ご参考に。
プロセス領域(PA)はアルファベット順です。V1.2の内容については公式訳ではありません。
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PA │作業成果物、尺度、測定結果および改善情報の例
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CAR │・処置提案
│・未解決の処置提案の数および期間
│・処置提案状況報告書
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CM │・構成品目の状況の傾向
│・構成監査の結果
│・変更要求時系列報告書
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DAR │・考慮される選択肢の数
│・評価結果
│・重要な課題に対応するために推奨される解
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IPM │・プロジェクトの定義されたプロセス
│・定義されたプロセスを作成するためにプロジェクトによって遂行された
│ テーラリングの選択肢の数
│・インタフェース調整課題の傾向(特定された数、および終結した数など)
│・プロジェクト要員によるプロジェクト計画策定に関する資産のために、
│ プロセス資産ライブラリがアクセスされた回数
│・対面的な会議を開くことに対する遠隔地間会議およびテレビ会議のよう
│ な協力的な機器を使用する会議を開くことに関する費用の記録
│・統合チーム憲章(IPPD)
│・プロジェクトの共有ビジョン(IPPD)
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MA │・データ通用性の状況
│・データ一貫性テストの結果
│・データ分析報告書
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OID │・前の技術挿入から展開に対する障壁を識別した直接の利害関係者から獲
│ 得された教訓
│・革新的な改善の展開に伴う費用および利益の文書化された測定値
│・効率を改善する潜在能力を識別するために類似の開発プロセスの比較の
│ 報告書
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OPD │・組織のプロセス資産ライブラリへの教訓の提出
│・組織の測定リポジトリへの測定データの提出
│・組織の標準プロセスを修正するために提出された変更要求の状況
│・非標準テーラリング要求の記録
│・統合チームからの実績レビュー入力の状況(IPPD)
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OPF │・プロセス改善策の候補の優先付けに使用する基準
│・組織のプロセスの強みと弱みを取り上げた評定所見
│・スケジュールに照らした改善活動の状況
│・組織の標準プロセスの集合をテーラリングし、識別されたプロジェクト
│ にそれを実装した記録
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OPP │・プロセス実績ベースライン
│・プロセス実績の測定の定義との不整合が原因で却下された測定データの
│ 割合
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OT │・トレーニングの有効性の調査の結果
│・トレーニングプログラムの実績アセスメント結果
│・コース評価
│・顧問団からのトレーニング要件
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PI │・成果物構成要素の受け取り、例外報告書、構成状況の確認、および準備
│ チェックの結果の記録
│・成果物統合で費やされた総開発工数の割合(現在までの実績と完成まで
│ の見積もり)
│・成果物統合の間に成果物およびテスト環境で発見された欠陥
│・成果物統合から生じる問題報告
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PMC │・著しい逸脱の記録
│・逸脱を構成しているもののための標準
│・是正処置結果
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PP │・プロジェクトデータライブラリ構造
│・プロジェクト属性の見積もり
│・リスクの影響および顕在化の確率
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PPQA│・品質傾向
│・非遵守報告書
│・是正処置の状況報告書
│・プロジェクトのための品質報告書の費用
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QPM │・プロジェクトの確立された中間目標に対して統計的に管理されたサブプ
│ ロセスの実績の定期的なレビューからの結果を含む、プロジェクトから
│ の統計的管理データおよび品質管理データの記録
│・統計的管理のために考慮されているサブプロセスの一貫性はないが準拠
│ している実装を識別したプロセスと成果物の品質保証報告書
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RD │・曖昧であることがわかった成果物のための要件の一覧
│・プロジェクトライフサイクルの各フェーズで導入される要件の数
│・要件割り当てプロセスからの教訓
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REQM│・要件の追跡可能性マトリクス
│・ベースラインを作成した後の一時借り入れの要件変更の数
│・曖昧な用件の解決における教訓
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RSKM│・リスクパラメータ
│・リスクの区分
│・リスクの状況報告書
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SAM │・供給者レビューの結果
│・供給者を選定するために使用された比較検討
│・供給者合意の改訂履歴
│・供給者実績報告書
│・供給者作業成果物とプロセス評価の結果
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TS │・自製、購入、または再利用の分析の結果
│・設計の欠陥密度
│・新しい手法およびツールの適用の結果
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VAL │・成果物構成要素プロトタイプ
│・妥当性確認の環境が利用可能な時間の割り合い
│・開発フェーズで妥当性確認を通して見つかった成果物欠陥の数
│・妥当性確認分析報告書
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VER │・実施時間と平均準備時間を含むピアレビューの記録
│・開発フェーズ毎の検証を通して発見された成果物欠陥の数
│・検証および分析の報告書
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