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第250号:CMMIに生成AIを統合して実績改善を行う事例の資料

2025年01月24日

  • CMMIに生成AIを統合して実績改善を行う事例の資料

    生成AI(Generative AI)が私達の生活やビジネスの現場でも日常的に使われるようになってきました。生成AIは単なるトレンドではなく、ソフトウェア開発現場に革命をもたらすツールとして注目されており、調べ物や資料作成、コードレビューなど、私たちの業務においても重要な存在となりつつあります。

    当メルマガ読者のSEPGの皆さんは、プロセス改善業務において生成AIを利用したり、もしくは上司から利用を検討するように指示を受けている方もいることでしょう。

    中には、CMMIモデルでは生成AI活用についてどのように説明されているか気になっている方もいるのではないでしょうか?

    残念ながら現状のCMMIモデルの中では、最新版のV3.0でも生成AIを含むAI関連のことについてほとんど記述はありません。しかし、昨年2024年5月の米国ISACAカンファレンスにて、AIやRPA(ロボティクスオートメーション)の領域のワーキンググループを立ち上げ、モデルにその検討結果を組み込む構想の話が出ておりました。

    最近開催されたISACAのパートナー向けウェビナーではその活動状況報告があり、現在はAIに関する業界標準の調査を完了し、コンテンツの作成を開始したとのことです。というわけで、CMMIモデルへのAI関連記述の組み込みはまだ先になりそうですが、2025年内には何か動きがあるのではと思われます。

    さて、そのAIワーキンググループ活動に関連して、11月に生成AI活用事例に関する資料がISACAのリソースセンターにアップされておりましたので、参考までにご紹介します。

    Integrating generative AI into CMMI for improved efficiency, quality & performance
    https://cmmiinstitute.com/resource-files/public/integrating-generative-ai-into-cmmi-for-improved-e

    「CMMIへの生成AI統合による効率性、品質、実績の改善」というタイトルのこの資料は、米国Cognizant社が、CMMIフレームワーク全体に生成AIを統合することでソフトウェアやサービス開発プロセスを改善していった事例を紹介しています。

    最近はソフト開発やプロセス改善活動に生成AIを活用した研究成果をカンファレンス等で目にすることも増えてきましたが、この記事がユニークなところは、CMMIの能力領域単位に同社が開発した生成AIアシスタントの利用事例が説明されているところです。

    CMMIの能力領域やプラクティス領域の実装に生成AIを活用するアイデアを得たい人にとっては、参考になるのではないでしょうか。

    では、資料の中から私が興味深いなと思った活用例の一部を要約してご紹介しましょう。
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    ●成果物のエンジニアリングと開発(EDP)
    ・対象プラクティス領域:
      技術ソリューション(TS)、成果物統合(PI)
    ・活用例:
      同社では、プロジェクトチームが要件に沿った成果物を開発できるように、
      生成AIアシスタントが以下のようなタスクを自動化または効率化する利用の
      例が説明されています。
      - コードの生成、コードレビュー
      - コードチェックイン時の自動テストやセキュリティスキャン実行
      ー 最適なアーキテクチャパターン、技術ソリューション、
       コーディング規約に沿ったガイドの提案
      
    コード生成やレビューに生成AIを活用するのはわりとよくある使い方です。実施した経験のある方はご存知だと思いますが、生成AIは大抵の開発言語をカバーしていると思われ、初期のコード作成やレビューに役立つことが多いです。ただ、生成AIは誤った出力をすることがあるので、利用者自身が誤りを確認できる能力は必要にはなりますが、開発時間短縮やスキル向上に貢献できるでしょう。

    ●事業レジリエンスの管理(MBR)
    ・対象プラクティス領域:
      リスクと機会の管理(RSK)
    ・活用例:
      生成AIをリスク分析に利用する事例が説明されています。
      - 生成AIアシスタントがプロジェクト概要をレビューし、重要度、価値、
       規模、スキル要件、リソース供給状況などを抽出する。
       そこから発生しそうなリスクを判断してくれる。
      - 過去のデータをもとに、納品リスクを特定して重要度を評価してくれる。

    SEPGがリスク管理用のテンプレートやガイドをしっかり整備しても、利用するプロジェクト側のメンバのスキルが伴わず、リスクの特定や分析がうまくできていないことはわりとよくあります。生成AIがリスク分析を支援してくれれば、不慣れな人でもそれなりのリスク管理ができるようになることが期待できそうです。

    ●実施の支援(SI)
    ・対象プラクティス領域:
      原因分析と解決(CAR)、決定分析と解決(DAR)
    ・活用例:
      生成AIにて問題の根本原因分析や解決策の案を提示させる。
      
    アイデアをたくさん出すのは生成AIの得意分野の一つです。人間が根本原因分析や解決策の決定を行うために、生成AIにその判断材料となる原因や解決策案を提示させれば、関係者のスキル向上や改善活動時間の短縮に役立つことでしょう。

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    以上です。この事例は同社が開発した生成AIアシスタントツールが利用されているので、ウチではそんなの開発できないし真似できないな、と思う方もいらっしゃるとは思いますが、コンセプト自体は参考になるものもあると思います。皆さんの組織でも、自分たちの業務と照らして、どのように生成AIを活用するか考えていってみてはいかがでしょうか。

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