4月といえば入学シーズンですね。私も小学校の時のことをふと思い出すことがあります。「あの頃は悩みなんか無かったな」とか、いや良く考えれば「宿題があるのに教科書を学校に置いてきてしまった!」とか「マラソン大会を何とかして休めないか」とか今思えばどうでもいいけど、その時はお腹が痛くなるほどの悩みを抱えていたなとか。
勉強ももちろん悩みの種でした。私の場合、図画工作が嫌いで「絵なんか描けなくても別に困らないじゃないか」と常々思っていました。今なら何となく分かります。様々な教科はお互い関連しあっているので、総合的に学習することがバランス良く知識を得るのに効果的だろうということです。
ご存知の通りCMMIには「段階表現」と「連続表現」があります。この違いは一体何なのでしょうか。どちらの表現形式も中身のプロセス領域は同じですが、進め方が違います。「段階表現」は成熟度レベル毎にセットになったプロセス領域を順番に実装していきますが、「連続表現」は任意のプロセス領域を選択し、各々をどんどんと伸ばしていきます。
つまり「段階表現」は学校のようなものですね。一年生はこれ、マスタして二年生になったらこれ、というな形でセットになった教科を学んでいきます。何から始めれば良いかを悩む必要はありません。
逆に「連続表現」は塾のようなものですね。既に分かっている弱点や伸ばしたいと思っている教科を選んで学んでいきます。よく出来る教科は学校で習う所の先までやっていくこともできます。
というと始めは「段階表現」でやるべきだと思うかもしれませんが、そうでしょうか?小学校に入学する子供とは違い、組織は既に十分に学んで「基礎学力」がついているかもしれません。またビジネスの成功のために「ここ」を強くしたいというニーズがあるかもしれません。どちらで進めるかはそういった点を考えてから決めるべきでしょう。
苦手だった図画工作を克服する何かをした訳ではない私は、今でも絵が上手に描けません。ドラえもんですらあやしいのに、アンパンマンを描けと言われて描いた絵は、どうみても妖怪でした。
第25号:忠実さを客観的に評価する話
2006年04月25日

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01段階表現と連続表現について入学シーズンに考える
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02忠実さを客観的に評価する話
今回は、「GP 2.9 忠実さを客観的に評価する」についての話です。
GP 2.9 プロセスの忠実さを、プロセス記述、標準、および手順に照らして客観的に評価し、非遵守に取り組む。
この共通プラクティスの目的は、プロセスが計画どおりに実装され、プロセス記述、標準、および手順に忠実であることについて、確かな保証を提供することです。
CMMIのモデルは、用語集で『客観的に評価する』を定義しています。●客観的に評価する (objectively evaluate)
レビュアの主観性と偏向性を最小化する基準に照らして、活動および作業成果物をレビューすること。客観的評価の例として、要件、標準、または手順に対する独立した品質保証機能による監査がある(『監査』参照)。
『監査』参照ですか。
では、監査の定義も記載しておきます。●監査 (audit)
CMMI プロセス改善作業の中では、作業成果物または作業成果物の集合の独立した検査であって、要件が満たされているかどうかを判断する。
プロジェクトの外部にいる人によって、標準や手順を遵守しているかを評価しているケースが多いみたいです。
しかし必ずしも独立した品質保証がいるというわけではありません。独立した品質保証は一例にすぎません。「レビュアの主観性と偏向性を最小化する基準」を使用することによって客観性を保つことができますので、組織の文化や予算に合わせて最適なやりかたを見つけてください。
『プロセスと成果物の品質保証』プロセス領域も参照してください。最後にモデルに記載されているレビューされる活動の例とレビューされる作業成果物の例を羅列します。ご参考に。
◆成熟度レベル2
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PA │レビューされる活動/ 作業成果物の例
──┼─┬───────────────────────────────
REQM│活│・要件の管理
│動│・プロジェクト計画、作業成果物、および要件の間の不整合の特定
├─┼───────────────────────────────
│成│・要件
│果│・要件の追跡可能性マトリクス
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
PP │活│・見積もりを確立すること
│動│・プロジェクト計画を策定すること
│ │・プロジェクト計画に対するコミットメントを獲得すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・WBS
│果│・プロジェクト計画
│物│・データ管理計画
│ │・利害関係者関与計画
──┼─┼───────────────────────────────
PMC │活│・プロジェクト計画に照らしプロジェクト実績を監視すること
│動│・是正処置が終結するまで管理すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・プロジェクト実績の記録
│果│・プロジェクトレビュー結果
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
SAM │活│・供給者合意を確立し維持する
│動│・供給者合意を満たす
├─┼───────────────────────────────
│成│・『供給者合意管理』の計画
│果│・供給者合意事項
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
MA │活│・「測定と分析」活動を整合させる
│動│・測定結果を提供する
├─┼───────────────────────────────
│成│・基礎尺度および導出尺度の仕様
│果│・データの収集手順および格納手順
│物│・分析結果および報告書草案
──┼─┼───────────────────────────────
PPQA│活│・プロセスおよび作業成果物の客観的な評価
│動│・非遵守課題の追跡および伝達
├─┼───────────────────────────────
│成│・非遵守報告書
│果│・評価のログおよび報告書
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
CM │活│・ベースラインの確立
│動│・変更の追跡および制御
│ │・ベースラインの一貫性の確立および維持
├─┼───────────────────────────────
│成│・ベースラインの保管物
│果│・変更要求データベース
│物│
──┴─┴───────────────────────────────
◆成熟度レベル3
──┬─────────────────────────────────
PA │レビューされる活動/ 作業成果物の例
──┼─┬───────────────────────────────
RD │活│・利害関係者のニーズを集めること
│動│・成果物要件および成果物構成要素の要件を策定すること
│ │・成果物要件および成果物構成要素の要件を分析し、妥当性確認をす
│ │ ること
├─┼───────────────────────────────
│成│・成果物要件
│果│・成果物構成要素の要件
│物│・インタフェース要件
│ │・機能アーキテクチャ
──┼─┼───────────────────────────────
TS │活│・成果物構成要素の解を選定すること
│動│・成果物の設計および成果物構成要素の設計を開発すること
│ │・成果物構成要素の設計を実装すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・技術データパッケージ
│果│・成果物、成果物構成要素、およびインタフェースの設計
│物│・実装された設計 (例えば、ソフトウェアコード、製作された成果物
│ │ 構成要素)
│ │・利用者、導入、運用、および保守の文書
──┼─┼───────────────────────────────
PI │活│・成果物統合の順序を確立し維持すること
│動│・インタフェース互換性を確実なものにすること
│ │・成果物構成要素を組み立て、成果物を納入すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・成果物統合の順序
│果│・成果物統合の手順および基準
│物│・受領した成果物構成要素に対する受け入れ文書
│ │・組み立てられた成果物および成果物構成要素
──┼─┼───────────────────────────────
VER │活│・検証の対象となる作業成果物を特定すること
│動│・検証の手順および基準を確立し維持すること
│ │・ピアレビューを実施すること
│ │・選択された作業成果物を検証すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・検証の手順および基準
│果│・ピアレビューのチェックリスト
│物│・検証報告書
──┼─┼───────────────────────────────
VAL │活│・妥当性が確認される成果物および成果物構成要素を選択すること
│動│・妥当性確認の手法、手順、および基準を確立し維持すること
│ │・成果物または成果物構成要素の妥当性を確認すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・妥当性確認の手法、手順、および基準
│果│
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
OPF │活│・プロセス改善の機会を判断すること
│動│・プロセス改善活動を計画し調整すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・プロセス改善計画
│果│・プロセス処置計画
│物│・組織のプロセス評定の計画
──┼─┼───────────────────────────────
OPD │活│・組織プロセス資産を確立すること
│動│
├─┼───────────────────────────────
│成│・「組織の標準プロセスの集合」
│果│・ライフサイクルモデルの記述
│物│・「組織の標準プロセスの集合」のテーラリング指針
│ │・組織の測定データ
──┼─┼───────────────────────────────
OT │活│・トレーニングニーズを特定し、かつトレーニングを利用可能にする
│動│ こと
│ │・必要なトレーニングを提供すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・組織トレーニングの戦術的計画
│果│・トレーニング教材およびそれらを支援するための作成物
│物│・インストラクタの評価用紙
──┼─┼───────────────────────────────
IPM │活│・「プロジェクトの定義されたプロセス」を確立し、維持し、そして
│動│ 使用すること
│ │・直接の利害関係者と調整し協力すること
│ │・「プロジェクトの共有ビジョン」を使用すること(IPPD)
├─┼───────────────────────────────
│成│・「プロジェクトの定義されたプロセス」
│果│・プロジェクト計画
│物│・プロジェクトに影響を与えるその他の計画
│ │・統合された計画(IPPD)
│ │・共有ビジョンの声明書(IPPD)
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RSKM│活│・リスク管理戦略を確立し維持すること
│動│・リスクを特定し分析すること
│ │・リスクを軽減すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・リスク管理戦略
│果│・リスク軽減計画
│物│
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IT │活│・定義された役割と責任
│動│・統合チーム内および統合チーム間の意思疎通活動
├─┼───────────────────────────────
│成│・役割と責任の記述
│果│・成果物の所有権の境界およびチームインタフェースの記述
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
ISM │活│・「プロジェクトの定義されたプロセス」に従い、供給源の評価およ
│動│ び供給者の選定を管理すること
│ │・データを集め、「組織の測定リポジトリ」へ適切なデータを提供す
│ │ ること
│ │・管理活動を支援するため、「組織の測定リポジトリ」を使用するこ
│ │ と
│ │・プロジェクトの適切なサブグループが技術的な活動に関与すること
│ │ を確実なものにすること
│ │・「統合供給者管理」プロセスに関与する職務機能間に及ぶような、
│ │ 重要な依存関係およびコミットメントを特定し、調整し、そして追
│ │ 跡すること
│ │・合意調整の課題を取り扱うこと
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DAR │活│・確立された基準および手法を使用して、選択肢を評価すること
│動│
├─┼───────────────────────────────
│成│・正式評価プロセスをいつ適用するかに関する指針
│果│・推奨される解を含む評価報告書
│物│
──┼─┼───────────────────────────────
OEI │活│・組織にとっての共有ビジョンを確立すること
│動│・人員およびチームに提供される権限委譲の度合いに関する指針を策
│ │ 定すること
│ │・課題解決プロセスを確立し維持すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・組織の共有ビジョン
│果│・個人および統合チームの権限委譲の度合いを決定するための組織指
│物│ 針
│ │・課題解決のための組織プロセス文書
│ │・報酬の方針と手順
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◆成熟度レベル4
──┬─────────────────────────────────
PA │レビューされる活動/ 作業成果物の例
──┼─┬───────────────────────────────
OPP │活│・プロセス実績ベースラインおよびプロセス実績モデルを確立するこ
│動│ と
├─┼───────────────────────────────
│成│・プロセス実績の計画
│果│・組織の「品質およびプロセス実績の目標」
│物│・プロセス実績用に選択された尺度の定義
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QPM │活│・「品質およびプロセス実績の目標」を使用して、プロジェクトを定
│動│ 量的に管理すること。
│ │・「プロジェクトの定義されたプロセス」内の選択されたサブプロセ
│ │ スを統計的に管理すること。
├─┼───────────────────────────────
│成│・「プロジェクトの定義されたプロセス」に含めるサブプロセス
│果│・尺度の運用面から見た定義
│物│・集められた測定値
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◆成熟度レベル5
──┬─────────────────────────────────
PA │レビューされる活動/ 作業成果物の例
──┼─┬───────────────────────────────
OID │活│・改善策を選択すること
│動│・改善策を展開すること
├─┼───────────────────────────────
│成│・展開計画
│果│・プロセス改善および技術改善の改訂された尺度、目標、優先順位、
│物│ および展開計画
│ │・更新されたトレーニング教材
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CAR │活│・欠陥の原因を明らかにすること
│動│・欠陥の原因を取り上げること
├─┼───────────────────────────────
│成│・実装するよう選択された処置提案
│果│・「原因分析と解決」の記録
│物│
──┴─┴───────────────────────────────