まいどですぅ。CMMやCMMIの理解をより深めていただくために、私CMMセミナー担当の西田理恵子が、プロセス改善活動家なら必ず押さえておきたい情報を簡単に説明していきます。
では今月は、モデルコンポーネント(段階表現)について。
下図はCMMIの段階表現の構造を表したものです。
┌───────┐
│ 成熟度レベル │
└───────┘
/ │ \
/ │ \
/ │ \
┌───────┐┌───────┐┌───────┐
│プロセス領域1││プロセス領域2││プロセス領域n│
└───────┘└───────┘└───────┘
/ │
/ │
/ │
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(固有ゴール) (共通ゴール)
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│││ \ 共通特徴
│││ ┌─────┬─────┬─────┐
│││ ┌──┴──┐┌─┴──┐┌─┴──┐┌─┴──┐
│││ │実施のコミ││実施能力││履行監督││履行検証│
│││ │ットメント││ ││ ││ │
│││ └─────┘└────┘└────┘└────┘
│││ \ │ / /
│││ \ │ / /
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(固有プラクティス) (共通プラクティス)
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各プロセス領域には、2種類のゴール、固有ゴールと共通ゴールがあります。
固有ゴールには固有プラクティスがあり、共通ゴールには共通プラクティスがあります。
※「CMMIのキーワード」も参照して下さい。
今月は以上です。
では、さようなら。アリヴェデルチ!
第23号:モデルコンポーネント(段階表現),プロセスを監視し制御する話
2006年02月24日
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01モデルコンポーネント(段階表現)
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02プロセスを監視し制御する話
GP 2.8 プロセスを、その実施のための計画に照らして、監視し制御する。そして適切な是正処置をとる。
この共通プラクティスの目的は、プロセスに対して直接的な日常の監視および制御を実施することです。「直接的な日常の」というところがポイントです。ミーティング等でスケジュールや予算と比較して活動をレビューしてください。
この共通プラクティスは『プロジェクトの監視と制御』プロセス領域と『測定と分析』プロセス領域に関係があります。
『測定と分析』プロセス領域は、監視するための尺度を確立するのに利用することができる情報等を提供しています。
プロジェクトの監視と制御および是正処置をとることについての詳細は、『プロジェクトの監視と制御』プロセス領域を参照するとよいでしょう。
個々のプロセス領域毎に尺度を決めて測定する必要はありません。しかし各プロセス領域をカバーするようにしてください。必要なときに是正処置がとれるように、計画に照らして実績を見ることができるようにしてください。
最後にモデルに記載されている監視および制御で使用される尺度の例を羅列します。ご参考に。
◆成熟度レベル2
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PA │監視および制御で使用される尺度の例
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REQM│・要件変更率 (変更された要件の割合)
──┼─────────────────────────────────
PP │・計画の改訂の回数
│・計画の改訂毎の費用、スケジュール、および工数の差異
──┼─────────────────────────────────
PMC │・未解決および終結した是正処置の数
│・プロジェクトマイルストーンの日付 (例えば、計画されたマイルストー
│ ンに対して、実際のマイルストーンおよび外したマイルストーン)
│・実施されたレビューの数と種類
│・レビュースケジュール (計画された目標日付に対して、実際の目標日付
│ および外した目標日付)
──┼─────────────────────────────────
SAM │・供給者に対する要件で、変更された件数
│・供給者合意に対する費用およびスケジュールの差異
──┼─────────────────────────────────
MA │・進捗および実績の尺度を使用するプロジェクトの割合
│・対応された測定目標の割合
──┼─────────────────────────────────
PPQA│・客観的なプロセス評価の計画と実績の差異
│・客観的な作業成果物評価の計画と実績の差異
──┼─────────────────────────────────
CM │・構成品目に対する変更の数
│・実施された構成監査の数
──┴─────────────────────────────────
◆成熟度レベル3
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PA │監視および制御で使用される尺度の例
──┼─────────────────────────────────
RD │・手戻りに費やされる費用、スケジュール、および工数
│・要件仕様の欠陥密度
──┼─────────────────────────────────
TS │・手戻りに費やされる費用、スケジュール、および工数
│・成果物または成果物構成要素の設計で取り上げられる要件の割合
│・成果物、成果物構成要素、インタフェース、および文書の規模と複雑度
│・「技術解」の作業成果物の欠陥密度
──┼─────────────────────────────────
PI │・成果物構成要素の統合一覧表 (例えば、計画され実施された成果物構成
│ 要素の組み立て、発見された例外の数)
│・統合の評価での問題報告の傾向 (例えば、記入された件数および終結し
│ た件数)
│・統合の評価での問題報告の経過時間 (それぞれの問題報告が未解決で
│ あった期間)
──┼─────────────────────────────────
VER │・検証一覧表 (例えば、計画され実施された検証の数、および発見された
│ 欠陥の数; おそらく、検証の手法または種類によって分類される数)
│・欠陥区分毎に検出された欠陥の数
│・検証の問題報告傾向 (例えば、書き込まれた数および終結した数)
│・検証の問題報告状況 (それぞれの問題報告が未解決だった期間)
──┼─────────────────────────────────
VAL │・完了した妥当性確認の活動数 (計画された数に対する実際の数)
│・妥当性確認の問題報告の傾向 (例えば、書き留められた数および終結し
│ た数)
│・妥当性確認の問題報告の経過時間 (それぞれの問題報告が未解決だった
│ 期間)
──┼─────────────────────────────────
OPF │・提出され、受け入れられ、または実装されたプロセス改善提案の数
│・CMMI 成熟度レベルまたは能力レベル
──┼─────────────────────────────────
OPD │・「組織の標準プロセスの集合」のプロセスアーキテクチャおよびプロセ
│ ス要素を使用するプロジェクトの割合
│・「組織の標準プロセスの集合」の各プロセス要素の欠陥密度
──┼─────────────────────────────────
OT │・実施されたトレーニングコースの数 (例えば、計画数に対する実績数)
│・トレーニング後の評価の評定値
│・トレーニングプログラム品質の調査の評定値
──┼─────────────────────────────────
IPM │・実施されたトレーニングコースの数 (例えば、計画数に対する実績数)
│・トレーニング後の評価の評定値
│・トレーニングプログラム品質の調査の評定値
──┼─────────────────────────────────
RSKM│・特定され、管理され、追跡され、そして制御されるリスクの数
│・アセスメントされたリスク毎のリスク強度およびリスク強度の変更、お
│ よび要約としての管理上の備えの割合
│・リスク軽減計画の変更活動(例えば、プロセス、スケジュール、資金の
│ 提供)
│・予想されなかったリスクの顕在化
│・リスクの区分の変更率
│・見積もったリスク軽減工数および影響と、実際のリスク軽減工数および
│ 影響の比較
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IT │・統合チームの計画、コミットメント、および手順に応じた実績、および
│ 期待からの逸脱
│・チーム目標を達成する能力
──┼─────────────────────────────────
ISM │・供給源の評価および供給者の選定を管理するために消費した工数
│・供給者合意の中の要件に対する変更数
│・プロジェクトと供給者の間の文書化されたコミットメントの数
│・インターフェース調整課題の傾向 (特定された数と終結した数)
│・供給された成果物の品質尺度
──┼─────────────────────────────────
DAR │・正式評価プロセスを使用する場合の費用対効果の比率
──┼─────────────────────────────────
OEI │・作業環境の主要な運用特性のパラメータ
──┴─────────────────────────────────
◆成熟度レベル4
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PA │監視および制御で使用される尺度の例
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OPP │・作業成果物およびタスクの属性の変更に関する組織のプロセス実績の傾
│ 向(例えば、規模の増加、工数、スケジュール、および品質)
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QPM │・統計的管理下におけるサブプロセスの一覧表 (例えば、統計的管理下に
│ 置くよう計画された数、現在統計的に管理されている数、統計的に安定
│ した数)
│・特定された変動の特殊原因の数
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◆成熟度レベル5
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PA │監視および制御で使用される尺度の例
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OID │・品質の変化
│・プロセス実績の変化
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CAR │・除去された根本原因の数
│・「原因分析と解決」プロセスの事例毎の品質実績またはプロセス実績の
│ 変化
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