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第227号:品質モデルを使ってみよう

2023年02月24日

  • 品質モデルを使ってみよう

    成果物の品質はプロセスの品質に依存します。CMMIはプロセスにフォーカスを当ています。それは、人や技術にフォーカスを当てるよりも建設的で強い影響力を与えるからです。

    CMMIを使用している組織のEPGやプロジェクトでは、レビュー1時間あたり何個欠陥を見つけたとか、不遵守課題が何個あったとか、生産性はどうだとか、プロセスの品質を測定し管理していることはよくあると思います。

    それで成果物の品質はどうなったでしょうか? 良くなりましたか? 目標を達成できましたか? 成果物の品質を測定していますか?

    成果物の品質を測定していない組織もあるのではないでしょうか。プロセスを管理して、その結果どうだったのか把握しないのはもったいないです。自分たちの努力が期待する効果をあげているのかぜひ確認してください。

    でも成果物の品質を測定するのは難しいと思っている人もいることでしょう。品質向上という目標を掲げていても、達成度の判定に共通の認識がない組織もあることでしょう。

    そういうときには品質モデルを使ってみてはいかがでしょう。「JIS X 25010(ISO/IEC 25010) システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)- システム及びソフトウェア品質モデル」という規格をご存じですか?

    SQuaREシリーズ規格には、利用時の品質モデルと製品品質モデルとデータ品質モデルという3つのモデルがあり、JIS X 25010には利用時の品質モデルと製品品質モデルが含まれています。

    製品品質モデルは、製品品質特徴を8つの特性(機能適合性、性能効率性、互換性、使用性、信頼性、セキュリティ、保守性、移植性)に分類しています。各特性は関係する副特性の集合から構成されています。

    これらの品質特性と品質副特性によって製品品質を測定し評価することができます。以下に製品品質特性とそれに関連する副特性を紹介します。

    機能適合性
     ・機能完全性
     ・機能正確性
     ・機能適切性
    性能効率性
     ・時間効率性
     ・資源効率性
     ・容量満足性
    互換性
     ・共存性
     ・相互運用性
    使用性
     ・適切度認識性
     ・習得性
     ・運用操作性
     ・ユーザエラー防止性
     ・ユーザインタフェース快美性
     ・アクセシビリティ
    信頼性
     ・成熟性
     ・可用性
     ・障害許容性(耐故障性)
     ・回復性
    セキュリティ
     ・機密性
     ・インテグリティ
     ・否認防止性
     ・責任追跡性
     ・真正性
    保守性
     ・モジュール性
     ・再利用性
     ・解析性
     ・修正性
     ・試験性
    移植性
     ・適応性
     ・設置性
     ・置換性

    規格では上記のように品質特性と品質副特性が定義されていますが、このすべてについて測定し分析するのは、労力がかかりすぎるわりにはメリットが少ないと思いますので、自分たちの開発するシステムやソフトウェアのニーズに合わせて取捨選択して使用するのがよいと思います。

    品質モデルに興味を持たれてもっと詳細な情報を知りたくなった方は、規格を読んでください。規格には品質特性や品質副特性などの定義がありますので、参考になるといいですね。