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第216号:CMMI導入のための役割の例

2022年03月25日

  • CMMI導入のための役割の例

    これからCMMIを自組織に導入してプロセス改善を進めていこうと考えているが、どのような体制や役割で進めていけばよいかわからない、というのはCMMIを初め
    て導入する際によくある悩みではないでしょうか。

    ソフトウェア開発組織でプロセス改善を推進していく際、伝統的にはSEPG(Software Engineering Process Group)という改善活動を進める責任を持ったグループを設置し、SEPGが中心となって進めていくのがよいと言われていますが、最近はどうでしょうか。

    CMMIベースの改善活動の推進体制の例が示されている最近の資料として、CMMI Instituteが無料で公開しているCMMI導入と移行の手引き(CMMI Adoption and Transition Guidance)というのがあります。

    https://tinyurl.com/24a2h26b
    ※ダウンロードするには、CMMI Instituteサイトへの登録が必要です。

    この手引は、CMMIを初めて導入する場合やV1.3からV2.0へ移行する場合のステップを紹介するガイドとして2018年に初版がリリースされ、当メルマガでも以前紹介したことがあります。
    https://www.daiwa-computer.co.jp/jp/consulting/mailmagazine/backnumber/1410.html

    この1月に2.3版にアップデートされ、セキュリティや安全性に関する追記や更新がなされているほか、CMMI導入の役割の種類や名称が若干変更されています。

    Appendix D Typical CMMI Adoption Rolesにて、典型的なCMMI導入のための役割が掲載されていますので、ざっくりとご紹介します。

    CMMI導入推進体制の参考にしていただければと思います。また、CMMIアソシエイト試験の受験を予定されている方は、この役割から出題されることもありますので、名前やどんな役割なのかくらいは押さえておいたほうがいいです。

    当手引きでは、以下の6種類の役割が説明されています。
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    1.バイヤー (Buyer)
    2.スポンサー (Sponsor)
    3.実践者 (Practitioner)
    4.プロセスグループメンバ (Process Group Member)
    5.品質管理者 (Quality Manager)
    6.プロジェクト管理者 (Project Manager)
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    1.バイヤーは、予算の管理や、供給者の選定と管理、承認などを行います。

    2.スポンサーは、組織の戦略や事業目標設定、改善策の優先順位の決定、改善活動のリソース確保・資金提供・監督、CMMI評定実施の承認などを行います。

    バイヤーとスポンサーは、どちらも組織の上級管理層に相当する方々が担う役割となり、同一人物の場合もあると思いますが、バイヤーは外部からの調達管理、スポンサーは組織内の目標設定や監督、改善活動やCMMI評定の要求提示と承認等に主眼がある、といった違いがあるようです。

    3.実践者は、実際にプロセスを実施する人たちです。適用されるプロセスの関連業務を行う人たちにあたりますので、例えばプロジェクトでの開発メンバや運用担当者などですね。

    プロセスに従って実践し、4.プロセスグループへ改善のためのフィードバックを行い、場合によっては改善活動そのものにも関与していきます。プロセス改善は一部の少数派だけが行うものではなく、組織内の全員が関わっていくことが重要です。

    4.プロセスグループメンバがいわゆるSEPGに相当し、プロセス改善を推進する中心の役割を担います。目標と整合した改善活動推進、改善のガイド提供、関係者との調整、推進上の課題の解決、改善の実施やトレーニングの提供、プロセス実装上のギャップの特定、CMMIモデルの適用などの活動を行います。

    専任のグループが割り当てられてフルタイムで行う場合や、開発部門と兼任で一部の時間を改善活動に割く場合もあります。

    このプロセスグループメンバが改善活動をうまく進めるためのキーとなりますので、目標とする活動が実施できるように体制を組んでいく必要があります。

    5.品質管理者は、プロセス品質保証や品質管理を担当します。プロセスが効果的に行われているかを評価したり品質を分析したりします。

    6.プロジェクト管理者は、プロジェクトを計画し管理する人たちです。当手引きでは、一般的なプロジェクト管理の役割のほか、人材育成的な役割も活動内容として説明されています。

    プロジェクト管理者に人材育成を担う役割が割り当てられていることに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、これは以前のバージョンでは7.人材管理者(Workforce Manager)という役割が別に設定されており、今回の改訂でこれがプロジェクト管理者に統合されたため、このような役割分担になっているようです。
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    以上、CMMI導入と移行の手引きの典型的なCMMI導入のための役割のご紹介でした。

    より詳しく知りたい方は、手引きをダウンロードしてご確認ください。これらを参考に、各々の組織にあった形で推進体制を組むと良いでしょう。

    ところで余談ですが、SEPGという言い方はソフトウェア開発組織でのプロセスグループを表すので、それ以外の業務を扱う組織に適用することを考慮してか、役割名にはSoftware Engineeringがつかず、Process Group Memberとなっています。

    Process Group Memberは特に公式略称があるわけではなさそうですが、今後はPGMという略称が改善活動を行う人々を表す用語になるんでしょうか。しかしSEPGまたはEPGという言い方はわりと定着していると思われるので、やっぱり今後もそのままSEPGと言い続けそうな気がします。