メルマガ
バックナンバー

第211号:持続アプレイザル(Sustainment Appraisal)概要

2021年10月25日

  • 持続アプレイザル(Sustainment Appraisal)概要

    CMMI V2.0のアプレイザルは2019年1月から実施可能になりましたので、もうすぐ3年経ちます。

    ベンチマークアプレイザルの有効期限は3年です。そろそろ次のアプレイザルのことを考え始めているころでしょうか。

    ベンチマークアプレイザルを実施した組織は、条件を満たしていれば持続アプレイザルを実施できるかもしれません。

    持続アプレイザルは、成熟度レベルや能力度レベルを判定できるアプレイザルです。しかもベンチマークアプレイザルよりも少ないチームメンバで実施できます。

    ベンチマークアプレイザル:4人以上(ATLを含む)
    持続アプレイザル:2人以上(ATLを含む)

    持続アプレイザルは、サンプリングも少なくてすみます。

    ベンチマークアプレイザルでは、モデルスコープ内のプラクティス領域(以下、PA)が無作為に選択され、無作為に選択された各プロジェクトのすべてプラクティスの客観的証拠(以下、OE)を収集して詳細に評価します。

    持続アプレイザルでは、モデルスコープ内のPAの1/3は、ベンチマークアプレイザルと同じように評価します。

    残りの2/3のPAは、プラクティスグループレベルで評価します。ベンチマークアプレイザルと比べて圧倒的にOEの量が少なくてすみます。

    持続アプレイザルは、ベンチマークアプレイザルと比べて少ない労力で成熟度レベルや能力度レベルを維持することができます。

    但し、いいことばかりではなく、持続アプレイザルは有効期間がベンチマークアプレイザルと比べて短いです。

    ベンチマークアプレイザル:3年
    持続アプレイザル:2年

    そして持続アプレイザルを実施するためには、いくつかの条件があります。

    ・持続アプレイザルは連続3回まで。

    持続アプレイザルを連続して3回した組織は、成熟度レベルや能力度レベルを判定するためには、ベンチマークアプレイザルをすることになります。ベンチマークアプレイザルを実施すれは、その次はまた持続アプレイザルをする資格があります。

    ・モデルスコープは、以前のベンチマークアプレイザルまたは持続アプレイザルと同じか低い能力度レベルまたは成熟度レベル。

    例えば、前回のアプレイザルでレベル3になった組織が、持続アプレイザルでレベル4を評価することはできません。そしてPAを追加することもできません。

    ・アプレイザル対象組織が運営や管理方法の観点から同じであり、プロセスの開発、実行、管理の方法が同じ。

    ・サンプリング係数が前回のアプレイザルと同じ。サンプリング係数の値も同じ。

    ・アプレイザルレイティングの有効期間が終了していない。

    ・以前のベンチマークアプレイザルまたは維持アプレイザルでサンプリングされたすべてのプロジェクトおよび組織の支援部門を含める。

    もしサンプリングされたプロジェクトが終了したか、アクティブでなくなった場合は、同じサンプリング係数の値を持つ別のサンプル適格プロジェクトを使用する。

    以前のアプレイザルのすべてのサンプル適格プロジェクトが終了したか、アクティブでなくなった場合、維持アプレイザルはできません。

    以上、持続アプレイザルを簡単に説明しました。

    実際に持続アプレイザルの実施を検討するときは、この条件等は改定されている可能性もありますので、ご担当のリードアプレイザと相談してください。