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第186号:CMMI V2.0の取り組み方:適用と移行ガイドの紹介

2019年09月25日

  • CMMI V2.0の取り組み方:適用と移行ガイドの紹介

    CMMI V2.0の適用やV1.3からの移行を検討中の企業も増えつつあるかと思いますが、その際、どのようにCMMI V2.0の取り組みを始めたらよいのか、またはどのようにV1.3から移行していったらよいか悩まれるかと思います。

    その参考となるための「CMMI 適用と移行ガイド」がCMMI研究所からリリースされておりますので、概要をご紹介します。

    以下から無料でダウンロードできます。50ページほどのPDFファイルになります。
    ※ダウンロードするにはCMMI研究所のサイトのユーザー登録が必要です。

    CMMI Adoption and Transition Guidance V2.0
    https://tinyurl.com/yahta4od

    このガイドでは、CMMI V2.0の適用または移行をうまく進めるためのステップを、以下の6つに分けて紹介しています。
    1.LEARN         学習
    2.ESTABLISH OBJECTIVES 目標の確立
    3.ANALYZE        分析
    4.DEVELOP ACTION PLAN  対応計画の構築
    5.DEPLOY IMPROVEMENTS  改善策の展開
    6.ASSES CAPABILITY   能力の評定

    各ステップでは、そのステップの概要説明、アクティビティ、考慮事項、活動例やトレーニング、ツール、技法などの解説があります。各ステップの概要は以下になります。

    ステップ1 LEARN 学習

    最初のステップは、CMMIがどのように組織に利益を与えるかを学びます。CMMIとは何か、誰がどのように利用するのか、どのような効果をもたらすのかを、様々な媒体から情報を収集したり、事例を研究したり、CMMI入門コースなどのトレーニングを受講したりしてCMMIの理解を深めます。
     
    そして、CMMIを利用して改善を進めることのスポンサーシップを獲得します。

    ステップ2 ESTABLISH OBJECTIVES 目標の確立

    このステップでは、組織の目標に整合した改善の目標を策定します。事業を成功させるために最も重要な目標を特定し、その目標を元にパフォーマンスを改善するための目標を設定します。
     
    目標設定の際には、GQMアプローチやSMARTといったテクニックを用い、測定可能な目標を設定することが推奨されています。GQMやSMARTは、以前に当メルマガでもご案内していますので、興味のある方はバックナンバーを参照ください。
     
    そして、目標に関連するCMMIのプラクティス領域を特定し、改善のための体制や予算、ツール等の基盤を整え、改善活動の計画を策定します。

    ステップ3 ANALYZE 分析

    現在の組織のプロセスと、対象となるCMMIのプラクティスのギャップ分析を行い、ギャップを特定し、推奨される改善策の提案をします。
     
    V1.3からの移行を行う場合は、公開されているV1.3とV2.0のマッピング表が参考になると思いますので、こちらも活用するとよいでしょう。
     
    CMMI V2.1 to V1.3 Detailed Practice Mapping (Excel)
    https://tinyurl.com/y94bcdoo

    ステップ4 DEVELOP ACTION PLAN 対応計画の構築

    ステップ3の結果から、対応計画(アクションプラン)を策定し、改善を実施していきます。

    ステップ5 DEPLOY IMPROVEMENTS 改善策の展開

    ステップ4で改善した結果を組織内へ展開します。展開の際は、パイロットなどを行い、その結果を分析して、組織全体に展開するかどうかを評価します。

    ステップ6 ASSES CAPABILITY 能力の評定

    最後のステップでは、プロセスや資産の評定、および事業目標に対するパフォーマンス結果の評定を行います。
     
    公式のアプレイザル手法では、中間評価の場合にはEvaluation、レベル判定の場合にはBenchmarkやSustainmentにてプロセスの評定を行います。
     
    そして、継続的な改善のため、次の活動に向けての計画を立てることがガイドされています。

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    以上、簡単ですが、適用と移行ガイドの概要をご紹介いたしました。

    改善活動のリーダーを任されたけど、どのように活動のマスタースケジュールやWBSを作成してよいかさっぱり分からないという方は、このガイドで紹介されているステップやアクティビティを計画策定時にお役立てください。

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    さて、以下は余談です。

    お気づきの方もおられるとは思いますが、これはCMMIの開発元のSEI(ソフトウェア工学研究所)が提唱した改善ライフサイクルモデルであるIDEALモデルとよく似たステップとなっております。IDEALはI(開始)、D(診断)、E(構築)、A(実施)、L(発展)の頭文字をとったものです。

    実質、CMMI研究所としては、CMMIを用いた改善ライフサイクルモデルはIDEALではなく、この適用と移行ガイドを推奨している形です。

    であれば、この適用と移行ガイドを今後浸透させるには、この6つのステップにも、IDEALとかPDCAとかDMAICのような略語があるといいのになあ、と個人的には以前から思っているのですが、今のところCMMI研究所からは正式な略語は出てきていません。

    CMMIの用語はいたるところで略語がつけられているのに、これに略語がないのは少し残念です。というわけで、勝手に略語を考えてみようと思います。

    単純に各ステップの頭文字をとるなら、LEADDAになります。読み方は「りーっだ」と読めば良いでしょうか。いや、それはおかしいか。「りーだ」でもよいかも。
    しかしDが2つあるのが違和感。

    ではステップ4はPLANのPをとって、LEAPDAではどうか。
    「りーぷだ」。語感の悪さがハンパない。

    ステップ2をOBJECTIVESのOをとったらどうか。LOAPDA。
    「ろーぷだ」。理想から離れました。

    ステップ5をIMPROVEMENTSのIをとって、LOAPIA。
    「ろーぴあ」もしくは「ろぴあ」。激安スーパー?

    ステップ6をCAPABILITYのCをとって、LOAPIC。「ろーぴっく」。
    語感は良くなってきましたが、もう少し。

    ステップ5をIMPROVEMENTSのIに、残りを頭文字に戻してLEADIA。「りでぃあ」。
    あ、結構いいかも。個人的にはこれが一番気に入りました。

    今日はこの辺にしておきます。もしいい略語をCMMI研究所に提案したら採用されるかもしれませんので、興味のある方はチャレンジしてみてください。