オラ! アミーゴ! CMMやCMMIの理解をより深めていただくために、私CMMセミナー担当の西田理恵子が、プロセス改善活動家なら必ず押さえておきたい情報を簡単に説明していきます。
では今月は、CMMIの適用範囲について。
CMMIは、プロジェクトの成功に際して重要となるあらゆる課題を網羅しているわけではありません。人材や技術といった非プロセス要因については多少触れているにすぎません。
例えば、CMMIでは特定のアプリケーション領域の専門的知識について示したり、特定のソフトウェア技術を推奨したり、能力のある人材をどのように選択して雇用し、意欲を与え、戦力として使いつづけていくか、ということについては、触れていないということです。
これらの問題はプロジェクトの成功にとって重大な要因ではありますが、CMMIがカバーする領域ではないということです。
今月は以上です。では、さようなら。アスタルエゴ!
第13号:CMMIの適用範囲, 責任を割り当てる話, プロセスエリア間の参照関係
2005年04月25日
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01CMMIの適用範囲
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02責任を割り当てる話
今回は、「GP 2.4 責任を割り当てる」についての話です。
GP 2.4 プロセスを実施し、作業成果物を開発し、そしてプロセスのサービスを提供するための責任および権限を割り当てる。
このプラクティスのポイントは、責任および権限を割り当てるというところです。
責任者が決まっているだけでは不十分です。権限も割り当てないといけません。
責任は割り当てられているけど権限がないとか、いったいどんな権限が与えられているのかわからないという場合があるかもしれませんが、そういうのはダメです。割り当てられた人は、その責任を遂行するために必要な権限を持っていなければなりません。責任の割り当ては、個人でもグループでもかまいません。
このプラクティスで書かれていることは、「責任および権限」なのです。「または」でも「および/または」でもありません。
プロセス管理のプロセスは、プロセス改善計画やプロセス改善憲章、業務分掌規程、職務権限規程などで、責任と権限を割り当てるとよいでしょう。
その他のプロセス領域の責任と権限は、だいたいプロジェクト計画で割り当てることができます。PMBOK(http://tinyurl.com/bzu8t)にあるように下記のようなマトリクスを作るのもよいと思います。
┌─────┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│\ 担│ │ │ │ │ │ │ │
│ \ 当│ │ │ │ │ │ │ │
│ \ 者│A│B│C│D│E│F│…│
│ \ │ │ │ │ │ │ │ │
│フェーズ\│ │ │ │ │ │ │ │
├─────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│要求仕様 │S│R│A│P│P│ │ │
├─────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│機能仕様 │S│ │A│P│ │P│ │
├─────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│設計 │S│ │R│A│I│ │P│
├─────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│開発 │ │R│S│A│ │P│P│
├─────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│試験 │ │ │S│P│I│A│P│
└─────┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
P=参加者 A=責任者 R=審査者
I=インプット情報提供者 S=承認者
また、このプラクティスの目的は、プロセスを実施し明記された結果を達成するために、プロセスの全期間にわたって説明責任が存在することを確実なものにすることですので、プロセスの特定のタスクを実施するための責任を割り当てるだけでは不十分です。プロセス全体の責任および権限も割り当ててください。
(付録)
GP 2.4についてモデルに記載されている詳細説明は下記の2つのプロセス領域のみです。
<組織プロセス重視>
典型的には、次の二つのグループが確立され、これらのグループにプロセス改善の責任が割り当てられる: (1) 上級管理層の後援を提供するプロセス改善のための「管理層による運営委員会」、および (2) プロセス改善活動を促進し管理するプロセスグループ。
<プロセスと成果物の品質保証>
主観性または偏向を防ぐために、「プロセスと成果物の品質保証」に関する責任と権限を割り当てた人員が、十分な独立性と客観性を持って評価を実施できることを確実なものにする。 -
03プロセスエリア間の参照関係
皆様はじめまして。大久保と申します。
初執筆で少々緊張(?)しております。
今日は、CMMIの各プロセスエリア間の関係についてのお話をさせて頂きます。プロセスエリア同士は、いろいろな参照関係があるのはご存知かと思います。分かりやすいところでは、PPとPMCですね。PPで立てたプロジェクト計画に対して、実績をPMCで監視する、といった具合です。
各プロセスエリアの参照について、CMMIモデルのガイドではこんな感じで記述されています。
例1)
「プロジェクト監視の適切なレベル、進捗を監視するために使用される尺度、および既知のリスクを明記する方法を含むプロジェクト計画についての詳細は、
『プロジェクト計画策定』プロセス領域を参照のこと。」
(PMC→PPへの参照)
例2)
「正式評価についての詳細は、『決定分析と解決』プロセス領域を参照のこと」
(TS SP1.3→DARへの参照)
こういった記述が他にもたくさん見つかります。一体どれくらいあるのか気になったので、「プロセス領域を参照」のキーワードで検索してみました。全部でなんと320個もありました。
また、プラクティス同士にも参照関係がある場合があります。
例3)
「成果物構成要素の運用における成果物レベルでの影響および関わり合いについての詳細は、『要件開発』プロセス領域の『運用の考え方と運用シナリオを確立する』固有プラクティスを参照のこと」
(TS SP1.2→RD SP3.1への参照)
「固有プラクティスを参照」で検索してみたら、こちらは全部で16個ありました。
これらを全て覚えておく必要はないと思いますが、
・組織の標準プロセスを確立する時
・CMMIモデルを元にプロジェクトの活動を説明する時
などで、この知識が役立つと思います。
また、モデルガイドでは文章による記述しかないのでちょっと分かりにくいです。
理解を深めるためにオススメなのが、CMMIのイントロコースの時の資料です。プレゼンの資料があるかと思いますが、その中にプラクティス間の参照関係を表した図が出てきます。
例えば、TSのSG1の図の中で、DAR⇒SP1.3 が描かれているのが分かるでしょう。
引き出しに埋もれているままになっている人は、引っ張り出して参照してみてはいかがでしょうか?