CMMIには、「GP 2.5 人員をトレーニングする」という共通プラクティスがあります。
共通プラクティスというのは、どのプロセス領域にも存在するので「共通」と呼ばれています。
CMMIのアプレイザルを実施しているとGP2.5を実装した証拠が、CMMIの概要教育とか各プロセス領域の説明とかの教材や研修記録のようなCMMIモデルのトレーニングに関連したものばかりのときがあります。
CMMIのアプレイザルはSCAMPIと呼ばれ、アーティファクトとアファメーションという2つの種類の客観的証拠を調べます。
アーティファクトは、ひとことでいうと「モノ」です。計画書とか議事録とか。
アファメーションは証言です。
主にインタビューをしてプラクティスに該当する活動が行われたのか確認します。
アーティファクトがCMMIモデルのトレーニングに関連するモノばかりだと、これを準備してくれた人たちはCMMIのことをちゃんと理解しているのかなとか、話が通じるかなとか、まだまだ先は長いぞとか、いろいろ頭をよぎり、複雑な気持ちになります。
CMMIを使って改善活動をしているので、CMMIモデルに関連するトレーニングをGP2.5の証拠にする気持ちは分からなくもありません。
でもそれだけなわけがないでしょうと思います。
ソフトウェア開発を行っているのなら、開発言語やツールのトレーニングが実施されていないとコーディングできないでしょう。
モデルの知識だけは技術解を実装することはできません。
要件開発はどうでしょう?
要件定義書や要求仕様書と呼ばれる文書は、ワードかエクセルで作成されていることが多いです。
ワードやエクセルはわざわざツールの使い方のトレーニングを受けなくても使えるでしょう。
そこでCMMIモデルのトレーニング記録しかないというのは、実質的には要件開発のトレーニングをしていないのではないかと思います。
組織プロセス定義(OPD)や組織プロセス重視(OPF)でもよくCMMIモデルのトレーニング記録がアーティファクトとして出てきます。
CMMIモデルを知らないとCMMIに基づいたプロセス改善ができないからというのが主な理由です。
でもですよ、どこの会社のSEPGでもCMMIの知識は持っています。
OPDやOPFがCMMIの知識だけでよいならば、その人たちはよその会社でもすぐに働けることになります。
しかし、CMMIは知っていても何の説明も受けずに、よその会社でOSSPをリリースしたり、測定リポジトリをメンテナンスしたりできないでしょう。
ファイルの格納場所とか承認の手続きとか知らないとOPDを実装することはできません。
OPFのひとつのプラクティスである「SP 1.2 組織のプロセスを評定する」を実装するための手法のひとつとしてSCAMPIというのがありますが、この手法を定義してある文書は282ページもあります。
そのトレーニングを受けないとアプレイザルチームメンバになれません。
OPFはモデルのトレーニングだけでは実装できません。
さて、みなさんは、GP2.5のアーティファクトがCMMIモデルのトレーニングだけだったらどう思いますか。
第125号:モデルのトレーニングだけか。まじかー。
2014年08月25日
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モデルのトレーニングだけか。まじかー。