あなたがある日突然、SEPGリーダーを引き継ぐことになったらどうしますか?
プロセス改善に終わりはないとはよく言われますが、CMMIによる改善活動において当初目標としていたレベルの達成は、ある意味活動の一区切りとなることが多いです。
実際にはそこから維持に向けた活動や、さらなるレベル向上のための活動が始まるはずなのですが、精鋭で固められた推進チームはレベル達成後に解散となり、あとには経験不足の若手のみが残される、ということがあります。
また、レベル達成を契機とせずとも、それまで改善活動のチームを率いてきたリーダーが、何らかの理由で突然退職したり、異動したりして、残されたメンバがリーダーを引き継がねばならない時があります。
突然リーダーに任命されたメンバが、その後の活動をどのように進めて良いか分からず途方にくれる、というケースをコンサルティングをしてきた現場で何度か見てきました。
今回は、そんな立場に置かれた人向けに、不安を払拭するヒントとなるかもしれないエッセンスをいくつかご紹介します。
第110号:ある日突然SEPGリーダーを引き継ぐことになったら
2013年05月24日

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ある日突然SEPGリーダーを引き継ぐことになったら
何をすべきかを知る
まずは、目指すゴールや目標が何なのか、これまで前任者がどのような改善活動を進めてきたのか、これから何をしないといけないかを知ることです。
知る方法としては、以下のようなものがあります。
◆過去の改善活動の記録を確認する
組織の改善活動のプロセス記述を読んだり、これまで行なってきた記録を確認したりすることで、どんなゴールを目指しているのか、これまでどんな活動を行なってきたかをある程度知ることが出来ます。
例えば、プロセス改善の計画書、手順書、関係者への説明資料、議事録等です。
これらの記録は、今後の活動を新たに計画する際の参考に出来ます。
あまりキレイな形で記録が残っていない場合もありますが、CMMIレベル3の組織であれば、改善活動自体もプロセスを定義し、実施の記録を残していくはずですので、改善活動に関するプロセス資産が残っていることが期待出来ます。
◆前任者から引き継ぎを受ける
過去の資料を読んだだけでは分からないことがどうしても出てきます。
活動を通して担当者が駆使したテクニックや活動中に得た知見などの、いわゆる「暗黙知」の領域に関することです。
例えば、「A部門に施策を依頼する時は○○さんへの根回しが必要」とか「Bさんは忙しすぎてタスクを放置しがちなので、進捗の監視の際は注意が必要」といったものです。
可能な限り前任者との打合せを通して、ノウハウを引き継ぎ、分からない部分をつぶしていきましょう。計画を立て直す
目指すゴールや何をしないといけないかを理解したら、次は計画を立て直します。
前任者が立てた計画を踏襲するのも一つの方法ですが、目指すゴールにたどり着くための道筋は一つとは限りません。
偉大な先輩が用意した道が、自分がリーダーとして推進する立場になった時に必ずしもベストな道とは限らないわけです。
過去の計画を参考にしつつ、自分が自信を持って進められる計画を立てて推進していきましょう。とりあえず動いてみる
やることが分かり、計画も立て直したけど、それでも不安点をつぶしきれずに、なかなか動き出せない慎重派の人もいると思います。
そんな時は、まずは少しずつでも動き出してみる、というのが一つの方法です。
いきなり大きな一歩を踏み出そうとすると、躊躇して足踏みしてしまいます。
簡単なタスクから始めて、作業に慣れて自信が持てたところで大きなタスクにとりかかる、という進め方がいいと思います。
偉大な前任者の後を継ぐことのプレッシャーを持っている人も中にはいるかもしれません。
しかし、SEPGリーダーとして指名されたということは、「きっと彼(彼女)ならやってくれる」という期待と信頼を持ってリーダーを任されたということです。
必ずうまく行くと信じて動き出してみましょう。
自分なりのやり方がきっと見つかるはずです。それでも不安な場合は・・・・最近ハヤリのあの言葉を叫んでみましょう。
「いつやるか? 今でしょ!」