皆様はTEDカンファレンスをご存知でしょうか?
アメリカのカリフォルニア州で毎年開催される講演会のことで、テクノロジー、エンターテイメント、デザインなどの分野について、様々なアイデアが発表され、今や世界一のプレゼンテーション大会として有名です。
その講演内容がインターネット上で無料で公開されており、パソコンやスマホで気軽に鑑賞できるほか、今年の4月からはNHKの教育番組でも紹介されるようになり、多くの人の目に触れられるようになってきました。
私も英語リスニングの訓練のつもりでよく見るのですが、プレゼンされるアイデアも素晴らしいものが多いので、いろいろと刺激を受けます。
その中でも私のお気に入りの1つに、「How to start a movement」というプレゼンがあります。
http://blog.ted.com/2010/04/01/how_to_start_a/
3分という短いものですが、プロセス改善活動に役立つようなアイデアもあり、今回はそれを紹介してみようと思います。
プレゼンは、ある動画をスクリーンに映しながら説明する形で進みます。
動画は、河原の近くの公園で、大勢が座ってリラックスしている中、ある裸の男が突然1人で変な踊りをし始めるところから映像が始まります。
最初はしばらく1人で踊りを続けており、周りの人は遠目に見ているのですが、興味を示した別の人(=フォロワー)が一緒に踊り出します。
次第にフォロワーは2人、3人と人が増えていき、数名が踊り出したことでムーブメントが起こります。
最初は遠目に見ていた人も、人が増えると敷居が低くなって、今度は流れに乗り損なう訳にはいかないとばかりに、一気に参加者が増えていきます。
最終的には公園にいた大多数の人が一斉に踊り出す、という映像的には大変面白ものです。
プレゼンターのDerek Sivers氏の説明によると、このムーブメントのポイントとなるのは、最初に1人で踊りを始めた裸の男ではなく、続いて踊り出した最初ののフォロワーだそうです。
最初のフォロワーの行動がお手本になり、仲間を増やすことにつながっている。
集団で行う運動においては、リーダーが活動を始めた後の最初のフォロワーが大事になるので、もし自分がリーダーなら、初期のフォロワーを対等に扱う大切さを覚えておくこと、とプレゼンでは説明されていました。
CMMIを用いたプロセス改善も、組織全体で改善を推進する一種の運動ですので、この法則があてはまりそうに思います。
例えば改善活動の推進者であるSEPGが頑張って新しいプロセスを作っても、周りを巻き込まずにいると、誰もそのプロセスを使ってくれないかもしれません。組織のライブラリに公開したり、社内研修会で使い方を説明しても、半信半疑で新しいプロセスを使わない人もいるでしょう。
新しいプロセスのムーブメントを起こすためには、最初に新しいプロセスを使用してくれる利用者(=フォロワー)を探すことが重要になるのではないでしょうか。
最初のフォロワーが新しいプロセスを使った結果、小さくてもいいので何らかの効果を出し、成功体験を積みましょう。そのために、SEPGは積極的にフォロワーのプロジェクトを支援していくことが必要でしょう。
これがお手本となり、じゃあ自分も使ってみようかなとフォロワーが増えていくことが期待できます。利用者が増えてくれば、流れに乗り損なう訳にはいかないと、静観していた人たちも使い始めます。
このプレゼンと改善活動を対比するとこんな感じです。
・裸の男(リーダー) = SEPG
・1人めのフォロワー = 最初の利用者
・集団で踊りを始める = 組織全体で新しいプロセスを利用する
・初期のフォロワーを対等に扱う = SEPGが積極的に支援する
この最初のフォロワーは、組織から偶然出てくる可能性もありますが、より確実な活動推進のために、積極的にフォロワーを探して、使用を促すことが必要でしょう。
例えば、以下のような人が最初のフォロワーになる可能性があります。
・プロセスに興味のある人
・元SEPG
・SEPGの人が元いた部署の上司や後輩
新しいプロセスがうまく浸透しない、多くの人がSEPGに理解を示してくれない、という時には、SEPGの後についてきてくれるフォロワーを見つけることが、活動を前に進める一手になりえるかもしれません。
第100号:プロセス改善のリーダーとフォロワー
2012年07月25日
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プロセス改善のリーダーとフォロワー