CMMIのアプレイザルは何名かでチームを作って実施されます。
そして、所見や特性値はチームメンバ全員の合意が必要です。
アプレイザルチームのなかに、自分の意見をほとんど言わないチームメンバがたまにいます。
その人が担当したプロセス領域に弱みの所見が書いてあったので、なぜそう思うのか質問すると、間違いを指摘されたと思ったのか、所見を撤回することもあります。
アプレイザルにチームが必要なのは、複数の専門家がレビューすることにより、アプレイザル結果の品質を高めるという理由もあると思うのですが、あまり発言しなかったり、自分の意見を理由もなく撤回したりするのは、そもそもこの人アプレイザルチームに入る資格があるのか疑わしくなります。
逆に常に自分の意見を押し通すチームメンバもたまにいます。
その意見が納得できる証拠を示してくれればいいのですが、そうでない場合もあります。証拠のない主張を受け入れてしまいますと、これまたアプレイザル結果の品質が低下します。
受け入れないと合意ができませんので、あとは体力勝負になったりします。
アプレイザにはアサーション・スキルが必要なんだと思います。
『アサーション・トレーニング』(http://tinyurl.com/9gpu2j4)によれば、人間関係のもち方には大きく分けて次の3つのタイプがあるそうです。
1) 自分よりも他者を優先し自分のことを後回しにするタイプ
2) 自分のことだけを考えて他者を踏みにじるタイプ
3) 自分のことをまず考えるが他者にも配慮するタイプ
アサーション・トレーニングでは、
1のタイプを「非主張的」または「ノン・アサーティブ(non-assertive)」
2のタイプを「攻撃的」または「アグレッシブ(aggressive)」
3のタイプを「アサーティブ(assertive)」
と呼びます。
アプレイザは、アサーティブでなければいけません。
そのためにはまず自分の言いたいことを意識する必要があります。
その所見や特性値は、どのドキュメントがどうだったので、そう判断したとか、インタビューでの発言がどうだったので、こう判断したとか、明確に意識してください。
そしてそれを言ってください。
自分の考えなんかとるに足らないとか、間違っているかもしれないとか思って、言い損なうのはいけません。無力感を味わいます。
逆に強引に主張しすぎてもいけません。人間関係がまずくなったり、後味の悪い思いをします。
そして他のメンバの意見も聞いてください。その結果、お互いの意見が衝突することもあると思います。
衝突が起こったときは、すぐに自分から折れて相手に譲ったり、相手を自分の意見に合わせようとするのではなく、面倒がらず互いの意見を出し合って、譲ったり譲られたりしながら、双方にとって納得のいく結論を出しましょう。
このような行動が、アプレイザル結果の品質を高め、プロセス改善をよい方向に進めます。
第101号:アサーション
2012年08月25日
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アサーション