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第32号:CMMI v1.2での変更点 モデル編

2006年11月24日

  • CMMI v1.2での変更点 モデル編

    以前CMMIのバージョンアップに伴う制限事項をお伝えしましたが、いよいよ今回はモデルの中身についてご紹介していきます。V1.2の内容については公式訳ではありません。

    削除されたプロセス領域

    V1.1まであって、今回のバージョンアップでなくなったのは、下記の3つのプロセス領域です。

    1.統合供給者管理(ISM)
    2.統合のための組織環境(OEI)
    3.統合チーム編成(IT)

    これらは元々IPPDまたはSSというモデルのオプション的な部分のプロセス領域でしたので、多くの方にとってはあまり影響がないかもしれません。しかし、ただ無くなったわけではありません。

    1の統合供給者管理の内容の一部は「供給者合意管理(SAM)」へ移動しました。
    具体的には、
    SP2.1「供給者によって使用される選定されたプロセスを監視し分析する」がSP
    2.2として、SP2.2「注文品の成果物については、選定された供給者作業成果物を
    評価する。」がSP2.3として追加されています。言い方を変えれば、今までISMを
    実装していなかった皆様も、供給者合意管理の一環としてこれらのプラクティス
    の実装が必要になったということです。

    2の統合のための組織環境の一部も同様に、「組織プロセス定義+IPPD」に移動
    されました。
    SP2.1「時宜を得た協調作業を可能にするため、リーダシップの仕組みを確立し維
    持する。」がちょっと表現は違いますがSP2.1として、SP2.3「チームおよび所属
    組織の責任をつり合わせるため、組織指針を確立し維持する。」がSP2.3として各
    々追加されています。こちらは供給者合意管理とは異なり元々IPPDであり、今回
    もIPPDに含まれていますので、今実装していなければこれを機会に追加で検討し
    なければならないわけではありません。

    3の統合チーム編成も2と同様に、「統合プロジェクト管理+IPPD」に移動して
    きています。
    SP3.4やSP3.5のサブプラクティスレベルにいくつかの類似性が見出せます。

    ここまででお気付きになられたとは思いますが組織プロセス定義と統合プロジェ
    クト管理の両プロセス領域の名前には「+IPPD」が付けられました。これはIPPD
    との関係性を明確にするために付けられたようです。

    プラクティスが他のプロセス領域に移動したとは言え、全てではありません。個
    人的にはV1.1のIPPDには(組織、プロジェクト、チームの各々のレベルで共有ビ
    ジョンがでてきたり、更にチーム憲章がでてきたりといった)ちょっとくどい部
    分も感じていたので、すっきりとして良かったなと思います。

    Work Environment(作業環境)

    V1.2で新たに追加された考え方がこのWork Environmentです。元々People-CMMの
    プラクティスに存在していたものが、CMMIに取り入れられたと考えられます。

    追加された対象は下記の2つのプロセス領域です。

    ・組織プロセス定義(OPD+IPPD)
    ・統合プロジェクト管理(IPM+IPPD)

    ご存知の通りこの2つのプロセス領域は、元々密接なつながりをもっています。
    OPDは組織の各種プロセス資産を維持管理していくことについて、IPMは各プロ
    ジェクトがそれを利用することにより恩恵にあずかると共に、得られた教訓や改
    善提案、測定したデータ等を組織に提供していくということについてです。これ
    ら2つのプロセス領域の働きにより、組織のプロセス資産が段々と良いものに
    なっていくというのが、成熟度レベル3の大きな特徴だと言えます。

    つまり組織として「標準作業環境」を決め、プロジェクトはそれを元とした作業
    環境を確立して維持するという仕組みが必要となります。

    では「作業環境」とは具体的に何を指すのでしょうか?OPD+IPPDのSP1.6を見て
    みると標準作業環境に含まれるものの例として、
    ・作業環境のオペレーション、安全性、セキュリティに関する手続き
    ・ワークステーションのハードウェア、ソフトウェアの標準
    ・アプリケーションソフトウェアの標準とそのテーラリング指針
    等が挙げられています。

    また注釈の部分には、共通のツールやトレーニング、メンテナンス、大量購入に
    よるコストセーブ等の恩恵を得ることができるとあります。更に、生産性、コス
    ト、可用性、セキュリティ、職場環境、安全性、人間工学要因等を考慮すべきと
    もあります。

    これらを元に定義した標準作業環境が組織プロセス資産の一部になります。これ
    を使用することについてはIPM+IPPDのSP1.3「組織の標準作業環境に基づいたプロ
    ジェクトの作業環境を確立し維持する」に記述されています。

    作業環境についてはモデルの中核部分に追加されていますので、これからV1.2へ
    移行していこうとされる方は、出来ているかどうかを確認しなければならないで
    しょう。

    バージョン間の違いはまだありますが、次回以降順次ご紹介していきます。