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第248号:現状維持バイアスを乗り越える

2024年11月25日

  • 現状維持バイアスを乗り越える

    SEPGが新しいプロセスの改善提案をして組織に導入しようとしたが、旧来のものにこだわる人がでてきて、改善が遅々として進まない、といったことが皆さんの組織ではありませんか?

    それは現状維持バイアスが原因の一つかもしれません。

    現状維持バイアスとは、何かを変化させることで現状が良くなる可能性があるとしても、損失の可能性も考慮して、現状を保持しようとしてしまう心理現象のことです。

    例えば、コインを投げて当たれば1400円をもらえるが、外れたら1000円を支払わねばならないというゲームを持ちかけられたとします。

    表と裏が出る確率はどちらも2分の1ですし、当てたらもらえる額が大きいため、このゲームは参加したほうが良さそうに思えますが、実際には多くの人が難色を示すとのこと。たしかに、私も躊躇しそうです。

    これは、人は何かを得る時よりも、失う時に受ける影響のほうが大きいと感じる特性を持っているからだそうです。

    損をする場合の1.5~2.5倍の利益が得られると、損と得が釣り合うと考え、行動を起こす意欲が高まるとのこと。

    先のゲームの例だと、当たったら1500~2500円ほどもらえるなら参加しても良いと考える人が増えてきて、それを下回る場合は損をする可能性があることから、人は行動を起こす必要性を感じず、現状のままでいようとするようです。

    これが現状維持バイアスがかかった状態です。

    さて、冒頭の改善施策が進まない例について考えますと、いろいろ原因はあるとは思いますが、原因が現状維持バイアスにある場合、デメリットに対してメリットが十分に大きくなるように、できればデメリットの1.5~2.5倍に感じるようなメリットを提示できると、説得できる可能性が高まるかもしれません。

    例えば、改善策導入でプロジェクト完了までの期間が○割短縮できる、○割のコスト削減が見込める、品質向上効果で手戻りが○割削減される、など各改善策にあった効果がアピールできるとよさそうです。

    現状維持バイアスを意識し、メリットをしっかりと伝えることで、組織のプロセス改善を後押ししていきましょう。

    CMMI V3.0 新規の無料コンテンツ

    ISACAのダイレクトメール登録者には、10月末頃に「New CMMI Resources Available」というタイトルのメールが届いたのではないでしょうか。

    そのメールを読まれた方はすでにご存知かと思いますが、CMMIユーザーにとって役立つ以下の3つの無料のリソースがダウンロード可能になったようですので、それぞれ簡単にご紹介します。

    ●CMMI Model Quick Reference Guide
    https://www.isaca.org/resources/reference-guide/cmmi-model-quick-reference-guide

    CMMIモデルの新しいクイックリファレンスガイドがリリースされました。

    このガイドには、CMMIモデルとは何か、アーキテクチャ、プラクティスグループレベルの概要、CMMI V3.0の全プラクティス領域のサマリーなどが含まれています。

    V2.0の頃のクイックリファレンスとの違いとして、各プラクティス領域サマリーにはプラクティスの例示はなく、代わりにプラクティスグループレベルの解説が加わっています。例えば、見積もり(EST)の場合は以下のような説明になっています。

    PGレベルの概要: このPAには合計6つのプラクティスが含まれる。
    ・レベル1:作業を実行するための見積もりを作成する
    ・レベル2:規模、関連する工数、期間、費用、およびその根拠を含め、見積もり対象のスコープを作成する。
    ・レベル3:見積もり手法に組織的アプローチを使用し、見積もりに組織の測定リポジトリとプロセス資産を使用する。

    プラクティスの紹介がなくなって残念に感じる人も多いと思いますが、あくまでクイックリファレンスはCMMIを知るきっかけとする位置付けのもののため、このようなスタイルになったようです。
    プラクティスの詳細を知りたい方は、正式なモデルを購入していただくのがよいでしょう。

    ●Domain Differentiation Grid
    https://cmmiinstitute.com/resource-files/public/cmmi-domain-differentiation-grid

    CMMI V3.0モデルは、開発、サービス、供給者、セキュリティ、データ、安全性、ピープル、バーチャルの8つのドメインに拡張されましたが、まだ多くの方が各ドメインの特徴を把握しきれていないかもしれません。

    この文書では、ドメインごとに、バリュー・プロポジション、プラクティス領域、想定対象の読者、ユーザーが抱える課題、適用のメリット、関連の政府命令・規格・方法論などが表形式で簡潔に1ページでまとめられています。

    ドメインの特徴を知りたい方や、どのドメインを採用すべきかわからない方、新しいドメインに取り組むかどうか悩んでいる方には参考になるのではないでしょうか。

    ●CMMI Adoption Guide for CMMI Credentials
    https://cmmiinstitute.com/resource-files/public/cmmi-model-materials/cmmi-adoption-guide-for-cmmi-credentials

    似た名前のCMMI Adoption Guidanceという文書が別にありますが、そちらはCMMIモデルを使って組織の改善をどのように進めていくかの6つのステップや、改善体制の例などが紹介されているガイドでした。

    今回のこの「CMMI認定資格のためのCMMI導入の手引き」は、CMMIを学習し関連資格を得たいと考えている方向けに、ISACAが提供しているCMMI関連の研修や資格体系、資格試験の概要などを解説したものになります。

    入門者用のCMMI Associate資格だけでなく、Practitioner、Professional、インストラクタ、リードアプレイザなどの上位資格の解説もありますので、それらの資格取得を目指している方にも参考になるでしょう。

    また、Associate試験やPractitioner試験のサンプル問題なども含まれるので、試験対策にも役立ちそうです。

  • 『5分でできる! ソフトウエア開発プロジェクトCMMI V2.0 セルフチェック』

    CMMIに照らして、自社のソフトウェア開発プロジェクトの状況が簡単にチェックできます。
    https://www.daiwa-computer.co.jp/cmmiselfchk2/

    大和コンピューターは、CMMI Instituteとのパートナ契約の下、公式のCMMIコースや、CMMIの成熟度レベルを判定するアプレイザル等のサービスをご提供しております。

    ▼サービス事例
    ・組織のメンバにCMMIの概要を伝える、トレーニングコース
    ・現在のプロセスの改善の機会を明らかにする、ギャップ分析
    ・改善の機会に対する改善策の検討の参加
    ・標準プロセスや各種テンプレートの作成活動に対する支援
    ・御社にインストラクタを派遣して実施するCMMI Institute公式CMMI入門コース

    皆様のニーズに柔軟に対応しておりますので、まずはお気軽に下記までご連絡下さい。
    https://www.daiwa-computer.co.jp/services/consulting/inquiries/