2024年5月7日~10日に米国アリゾナ州フェニックスで開催されたCMMI Partnar WorkshopとCMMI Conference 2024に参加してきました。
コロナ禍でしばらく海外出張できていなかったので現地での参加は5年ぶりです。
初日の5月7日がCMMI Partner向けのWorkshop、8~10日に一般の方も参加可能なConferenceが行われました。Conferenceは、基調講演やパネルディスカッション、研究成果や事例発表等を行う様々なセッションが同時並行で行われ、興味があるものに参加できるスタイルとなっています。
ここ数年、CMMIのWorkshopとConferenceはバーチャルのみの開催だったり、ISACA Conferenceの一部として限定的にCMMI関連セッションが行われる形式だったりしてましたので、少し物足りない感じがしていました。しかし今回は同会場で行われたISACA Conferenceとは別に、CMMI専用の3日間のConferenceが開催され、だいぶ賑やかになりました。
現地で参加されていた日本人の方や、ISACAの関係者の方ともいろいろと有意義な情報交換をさせていただきました。お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
では、その中でもCMMIユーザーの皆様に関係ありそうな情報をいくつかご紹介します。
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CMMI Technical Report: Performance Results
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CMMIアプレイザルを実施した際にISACAに提出しているパフォーマンスレポートは、定期的にサマリーが作成されて公開されています。
その最新版がCMMI Technical Reportとして先日リリースされました。ISACAサイトのリソースセンターページから、もしくはサイトのユーザーIDをお持ちの方であればアカウントダッシュボードからアクセス可能です。
https://cmmiinstitute.com/resource-files/public/cmmi-performance-report-summary
以下、要約です。
・レポートは2019年から2023年までに行われたアプレイザルのデータが元に作成された。
・14673件のアプレイザルが行われ、50666件の改善目標のデータが収集された。
・改善目標のうち86%は達成した。(前回のレポートから1.7%の向上)
・改善された目標のトップ5:
1.スケジュール:納期遵守 …33%増加
2.スケジュール:スケジュール差異 …平均48%減少
3.生産性:開発生産性 …平均17%向上
4.品質:欠陥率または欠陥密度 …平均31%減少
5.顧客:顧客満足度 …13%向上
・アプレイザルで選択された成熟度レベルの割合:
1.成熟度レベル3 …79%
2.成熟度レベル5 …20%
3.その他(成熟度レベル1、2、4) …1%
・国別アプレイザル件数の割合トップ5:
1.中国 …83.1%
2.米国 …10.9%
3.インド …4.8%
4.スペイン …0.7%
5.メキシコ …0.6%
当レポートはCMMIを利用するとどのような効果があるのか、取り組む改善目標にはどのような種類があるのかといったことを調べるのに役立つかと思います。興味のある方は是非詳細をご確認ください。
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CMMI Tech Talks動画
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2018年頃から始まったISACAが提供しているCMMI Tech Talks動画は、今も随時動画が追加されていっているようです。現在39本の動画があります。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLNnRnqRjeDU0kP8ZXxjLH40_cHbUOZnkc
ここ最近は、Model Deep Diveというテーマで、CMMI V2.2で追加されたセキュリティ関連のESECやMST、V3.0で追加されたデータ関連のDMやDQといったプラクティス領域の紹介動画が追加されています。DEV以外の新しいプラクティス領域のことはよく知らないんだよなという方は、これらの動画を学習のきっかけにできるかもしれません。
1本あたり3~15分程度と短いので、空き時間でもチェックしやすいと思います。説明は英語ですが、Youtubeの機能で音声の自動翻訳による日本語字幕付きで鑑賞できますので便利です。お試しください。
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CMMI 2024 コンテンツロードマップ
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CMMI関連コンテンツの2024年から2025年初めにかけてのロードマップの簡単な紹介がありました。
・CMMI V3.0パッチリリース
・CMMI V3.0 Adoption Guidance(導入の手引き)改定:NISTやCMMCといったセキュリティ対応など
・AI(人工知能)やRPA(ロボティクスオートメーション)の領域のワーキンググループを立上げ、2024年後半にモデルにその検討結果を組み込む(未定だが、おそらくコンテキスト固有など)
・DTEF(Defital Trust Ecosystem Framework:ISACAが推進しているフレームワークの一つ)に関連したパフォーマンス測定の成熟度/能力度レベルのアセスメント手法や自己評価のアプローチの検討
まだタイトルくらいしか情報がないので詳しいことはまだ分かりませんが、詳細が判明しましたらまたメルマガ等で皆様に情報をお届けします。
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ISACAの日本市場の強化戦略とCMMI V3.0モデル日本語版リリース?
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ISACAはCMMIを含むISACA関連サービスのグローバルでの展開を強化し始めているとのことで、ヨーロッパや中東、インド、中国、そして日本にもセールスチームを配置していく計画があるようです。
その関連で、日本向けのCMMIコンテンツの強化やサービスの充実が今後期待されます。詳しい話はまだ具体的にはなっていませんが、CMMI V3.0モデルの日本語版がそう遠くない将来にリリースされるかもしれません。
モデルの日本語版がなくて困っている人たちも大勢いるかと思いますので、早くリリースされたらうれしいですね。期待して待ちましょう!
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以上です。弊社のCMMIサービスを利用された方向けに別途ご案内させていただいておりますが、6月に弊社のカスタマー向けイベントを開催予定です。今回の内容はそのイベント内でも詳細をご紹介予定ですので、参加される方はお楽しみに。
第242号:CMMI WorkshopとConference in フェニックスでの新情報
2024年05月24日
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CMMI WorkshopとConference in フェニックスでの新情報