Maturity Profile Reportsがリリースされました。2007年1月から2014年3月までのSCAMPI Class A アプレイザルの結果がまとめられています。
今回のレポートには、V1.2/V1.3のCMMI-DEV、SVC、ACQのほか、CMMI V1.1のデータが集計対象に復活し、People CMM V1/V2のデータが新たに集計対象となっています。
レポートには、現況やコミュニティの動向に関する様々な表やグラフが提供されています。
以前のレポートよりもページ数が減ってシンプルになりましたが、過去にはなかった形式のデータもありますので、主だったものをご紹介しましょう。
2月のプレスリリースで告知があった通り、2013年はSCAMPI A が今までで一番多く行われた年となりました。
2010年以降の件数は以下になります。世界的にはCMMIのアプレイザルは増加傾向にあるようです。
【年ごとのSCAMPI A アプレイザル報告数】
2010年 1378件
2011年 1357件
2012年 1437件
2013年 1559件
アジアからの報告が56%と半数以上を占め、次いで2位の北米が26%、ヨーロッパが11%です。
国別のデータをみてみます。アプレイザル実施数上位10カ国は以下の通りです。
【国別アプレイザル実施数】
1位 中国: 3316件
2位 アメリカ: 2168件
3位 インド: 959件
4位 スペイン: 333件
5位 日本: 279件
6位 韓国: 255件
7位 メキシコ: 253件
8位 ブラジル: 221件
9位 フランス: 185件
10位 台湾: 158件
今回は、国別のCMMI-SVC、CMMI-ACQ、People CMMの実施数のデータがレポートされていました。
この3つの日本国内での浸透度はDEVに比べるといまいちですが、CMMI-SVCは世界的には実施数が増加傾向にあります。
CMMI-SVCのアプレイザル実施数の上位5カ国をご紹介します。
【国別CMMI-SVCアプレイザル実施数】
1位 アメリカ: 160件
2位 インド: 67件
3位 メキシコ: 52件
4位 中国: 29件
5位 スペイン: 10件
ちなみに、日本は2件でした。
より詳細な内容をみたいという方は、以下のサイトにアクセスしてみて下さい。
過去のレポートも掲載されています。
http://cmmiinstitute.com/resource/process-maturity-profiles/
第122号:Maturity Profile Report, SEPG NA 2014 in Washington, D.C.
2014年05月13日
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Maturity Profile Report
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SEPG NA 2014 in Washington, D.C.
5月6日と7日の2日間に渡って行われたSEPG North America(SEPG NA)に参加してきました。
その様子を簡単ですがレポートします。
SEPGとは、CMMIを運営しているCMMI Instituteが主催するプロセス改善のカンファレンスです。
いろいろな国からプロセス改善に関わる人達が集まり、研究成果を発表したり、意見交換を行ったり、親交を深めたりします。
SEPG North America 2014
http://sepgconference.org/
今回の開催場所はワシントンD.C.です。日本では馴染みのない都市で開催されることもありますが、今回はかなりメジャーです。
なにしろ首都ですし。
そのせいか、前回より参加者が増えて、400人近くの方が参加していたようです。
前回同様に2日間の開催でしたが、前回よりもセッション数が増えたため、全体的なボリューム感は上がっています。
また、前日の5月5日に行われたCMMI Workshopに参加した日本のリードアプレイザやインストラクタの方が、SEPGにも合わせて参加しており、おかげで現地では多くの方とコミュニケートすることができました。
現地でお世話になった方々、ありがとうございました。
SEPGでは様々なテーマのセッションがありますが、今回は最近増えつつあるアジャイルに関するセッションの他、CMMI-SVCに関する適用事例を紹介するセッションがいくつか見受けられました。
上記のMaturity Profileでご紹介したように、SVCの適用がホットなテーマの一つになりつつあるようです。
また、単にレベル達成を目的にするのではなく、組織の事業目標や価値に重きを置いて改善を進め、数値で効果を示すという主張が、多くのセッションで共通して見られました。継続的に改善を行うためには、やはりこういった原理・原則を重視するのが重要なんだなとあらためて認識した次第です。
さて最後に、今回受講した中では比較的易しめの内容のセッションを一つご紹介します。 -
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Building Robust, Evolving Processes Using CMMI Lego
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CMMIを参考にプロセス作りをする時に、レゴブロックを使ったゲーム形式で構成を考えてみるのはどうでしょう、ということを紹介していたセッションです。
プロセス改善活動でプロセス記述の作成を行う際に、CMMIモデルが「参考」でなく、あたかも「仕様」であるかのように扱われ、プラクティスを満たすためだけにプロセスが記述されたり、プラクティスの番号がそのままタスクの順番になっている場合がある。
その結果、CMMIを効果的なものとして実装できず、ビジネスの障害となってしまう場合があるとのこと。
そのような失敗に陥らないために、CMMIをどのように使うかを知る必要があり、それはCMMIはあくまで改善のための参考であることや、CMMIは「How」ではなく「What」を示すものであることのほか、役に立つプロセスを構成するために、「レゴブロック」のようにCMMIを使うと良い、といったことを紹介していました。
具体的にはどんなことをするかというと、以下のようなレゴブロックを使ったゲーム形式のグループ作業を社内トレーニングなどで行うようです。
<レゴゲームのやり方>
1) ブロックの準備とグループ分け
・CMMIのプラクティス番号を記述したラベルを貼り付けたレゴブロックを用意する。
すべての固有/共通プラクティス分を用意。複数回使われる可能性があるプラクティスは多めに用意する。
・ブロックをセットするためのレゴプレートを用意する。
・作業グループを分ける。1グループあたり3~5人。
・ラベル付けしたレゴブロックのセットとプレートを各グループに配布する。
・グループ内で、プレゼンターとリーダーを決定する。
2) 作業説明
・ゲームのシナリオ=構築する担当のプロセスを各グループにアサインする。
・レゴプレートへの貼り付け方を説明する。
※横軸:作業の時間軸(左から右)、縦軸:並行して動くプロセス
3) 作業実施
・アサインされたプロセスの作成を開始する。
プレート上にプラクティス番号が書かれたブロックを並べていって、プロセスを構成する。
・完成したら、結果のプレートを写真に撮る。
・プレゼンターがゲームの結果を発表する。その結果を参加者同士で議論する。
会場では、実際にプラクティスにラベルが貼られたレゴが回覧されてました。
また、セッションのプレゼン資料には、実際にプレート上にレゴブロックが並べられたプレートの写真が掲載されていました。
以下のようなイメージです。
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│RD ││RD ││TS │ │PP ││PP │
│SP1.1 ││SP1.2 ││SP2.1 │ │SP1.1 ││SP1.2 │
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│REQM │ │IPM │
│SP1.1 │ │SP1.2 │
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文字だけで少々わかりにくいと思いますが、イメージは伝わりますでしょうか。
プレゼンタのSeongkyu Jeong氏は、SEPGでは珍しい韓国の方で、自国でのコンサルティングやトレーニングでこの演習を行っているようです。
CMMIのプラクティスは、関連するものでプロセス領域としてまとめられていますが、実際のプロジェクトの作業に当てはめた時には、モデルのプラクティス番号の順番ではなかったり、他のプロセス領域のプラクティスと関連が持ったりすることがあります。
それらを理解するのに、このレゴブロックのゲームはなかなか有効だなと思いました。
もちろん、同様のことはレゴを使わなくても、紙に書いたり、ワープロや図形ソフトなどを使ったりしても行うことは可能ですが、カラフルで立体的なレゴブロックを使うことで、実際に手で感触を確かめつつ、グループでワイワイやりながら演習を行うことで、より理解度が高められる気がします。
当セッションでは、前半のこのレゴゲームの話のほか、成熟度レベルを向上させるにあたり、どのようにプロセスを堅牢にして進化させていくかといった主旨の話も後半にありましたが、ブロックを使うというユニークな要素が面白かったので、その部分をご紹介させて頂きました。
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