このメルマガでも何度かご紹介しておりますが、CMMI InstituteはCMMIの次期バージョンであるV3.1を開発中であり、CMMIにAI関連コンテンツを追加することが予定されています。
その一環として、先月CMMI InstituteサイトにCMMI AIM Executive Summaryという文書が公開されました。
https://cmmiinstitute.com/resource-files/public/cmmi-aim-executive-summary
この文書は、CMMI Artificial Intelligence Maturity (CMMI AIM:AI成熟度)の概要、目的、範囲、戦略的意図などを、組織の経営層やガバナンス担当者向けに説明したもので、AIMがCMMIモデルをどのように拡張し、AIの成熟度、監視、パフォーマンスへの対応などについて解説されています。
当文書はまだ概要レベルの記載にとどまり、具体的なことはCMMI AIMが正式にリリースされてからでないとわからないことも多いのですが、今回のメルマガでは文書からポイントをいくつかピックアップし、個人的な予想も含めて、CMMI AIMがどのようなものになるのかご紹介していきます。
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●CMMI AIMの概要
CMMI AIMの概要は、要約すると以下のように解説されています。
・CMMI AIMは、組織がAIを安全かつ効果的に活用するための
成熟度フレームワークである。
・従来のCMMIが持つ成果に基づくパフォーマンス改善の考え方をAI分野に拡張し、
AIの導入・運用・統合を体系的に管理できるようにする。
・AIの活用が拡大する中で、単にAIを導入するだけでは、品質低下やリスク増大、
倫理問題といった課題が生じる可能性がある。
・CMMI AIMは、AIの取り組みを測定可能な成果と結び付け、予測可能な結果、
品質向上、効率向上、リスク低減を実現することを目的としている。
・公平性・透明性・説明責任といった倫理原則を重視し、信頼できるAIの実現を
支援する。これにより組織は、AIを単なる技術導入に終わらせるのではなく、
ビジネス価値を生み出す戦略的な能力として活用できるようになる。
●CMMIモデルに追加されるAIM関連コンテンツ
CMMIモデルはV3.1にて以下のような大幅な拡張が予定されています。
・全31プラクティス領域すべてにAI関連コンテンツが追加される
・全276プラクティスのうち、126個でAI関連を解説したコンテキスト固有の情報が
計157個追加される
追加されるコンテンツは200ページほどもあるそうです。これらはAIを利用する場合やAIシステムを開発する場合に、各プラクティスをどのように適用するかの参考として使えそうです。
また、AIの利用形態は以下の3段階が想定されているとのことです。
1.Support Augmentation(支援拡張)
人間の作業をAIが補助 例)人間が書いたコードをAIがレビュー
2.Verified Augmentation(検証済み拡張)
AIが活動を実行し人間が監督 例)AIがコードを書いて人間がレビュー
3.Fully Autonomous AI(完全自律型)
システムが自律的に活動を実行 例)AIが自ら成果物を完成させる
モデルでは、これらの利用シナリオに沿った利用方法がガイドされると思われます。
●ドメイン、AIMビュー、アプレイザル
CMMI V3.0にはご存知のように以下の8つのドメインがあります。
開発、サービス、供給者、セキュリティ、セーフティ、
データ、バーチャル、ピープル
CMMI AIMにより、これら8つのドメインにまたがるAIMビューが新たに導入され、特に開発、サービス、セキュリティ、データのドメインに重点が置かれるとのこと。
開発やサービスの業務を行う際、AIを利用するにあたりセキュリティとデータガバナンスは重要な観点ですので、これらのドメインが重視されているのは納得感があります。
また、CMMI AIMのアプレイザルは、このAIMビューを対象に実施されるようです。
既存のCMMIアプレイザルを変更するものではないとのことなので、AIMを採用しない開発やサービスビューを使用したアプレイザルは今までどおり実施可能になると思われます。
●AIMのトレーニングとアプレイザル参加資格
先々月のメルマガでも一部ご紹介しましたが、CMMI AIM用に以下の2つの新たな公式トレーニングが導入されます。
・Building Artificial Intelligence Maturity (BAIM)
・Appraising Artificial Intelligence Maturity (AAIM)
CMMI AIMアプレイザルにチームメンバとして参加するためには、このBAIMコースの受講と資格試験に合格する必要があるようです。
BAIMとAAIMコースは、2026年6月に米国で開催されるCapability Createsイベントの前後日程で初開催される予定です。
詳しい情報がわかりましたらまたご案内してまいります。
●CMMIクロスウォーク
CMMI AIMの理解を補助するため、CMMIクロスウォークというガイドのリリースが予定されています。
これは、CMMIプラクティスを以下の複数のISO AI関連規格にマッピングしたもので、ギャップ分析のサポートや、フレームワーク間のトレーサビリティに役立つものとして利用できるようです。
・ISO 31000:一般的なリスクマネジメントに関する国際規格
・ISO/IEC 23894:AIシステムに関連するリスク管理のための国際規格
・ISO/IEC 23053:機械学習を用いたAIシステムのための枠組みを定義する国際標準
・ISO/IEC 42001:AIを対象とした管理システムに関する国際規格
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いまやAIは我々のビジネスや生活にとって切り離せないものになってきております。CMMIを導入済みの組織だけでなくこれから導入する組織にとっても、CMMIがAIでどう進化していくのかを知っておくことは重要でしょう。
CMMI AIMは、AIの導入や開発を成熟度モデルで管理し、AIの価値創出、リスク管理、倫理性を同時に実現するためのCMMI拡張フレームワークです。AIを活用してプロセス改善やパフォーマンス改善を進めつつ、同時にガバナンスも確立したい組織にとって、有効なフレームワークになると考えられます。
CMMI AIMが組み込まれたCMMI V3.1がリリースされる時期はまだ明確にはなっておりませんが、おそらく2026年中にはお目見えすると思われます。楽しみに待ちましょう。
第264号:CMMI AIM Executive Summary:CMMIはAIでどう進化するのか
2026年03月25日
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CMMI AIM Executive Summary:CMMIはAIでどう進化するのか
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