針のような寒さが和らぎ、すごしやすくなってきた今日この頃。
草木が芽吹き、つられて小さな生き物も活動を始める季節となりました。
春に向けて新たに苗の準備を始めた生産者の皆様におかれましては、
病害虫の動向に目を光らせていることでしょう。
前回の「病害虫と闘う」記事ではコナジラミへの対策として利用されている生物農薬であるタバコカスミカメ、
そして弊社からリリースされたコナジラミ誘引駆除機「ピカとる」の併用について考察しました。
(前回の記事はこちら。)
本記事では、極短期間ではありますが実際に併用した結果をお伝えします。
#28 : 病害虫と闘う ~コナジラミ誘引駆除機「ピカとる」とタバコカスミカメを併用した結果~
2026年03月06日
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前置きとして、タバコカスミカメを農場に導入する際に気を付けるべきポイントが大きく分けて2つあります。まず1つめは"気温"です。
タバコカスミカメは気温がおよそ12℃以上なければ成長できません。
これは発育零点と呼ばれるもので、種類にもよりますがコナジラミの発育零点がおよそ8-12℃とされています。
この微妙な差が冬季にコナジラミが発生しているからと言ってタバコカスミカメを放飼しても上手くいかない理由の1つです。
次に2つ目は"餌"です。当たり前ですが餌がなければタバコカスミカメは絶滅してしまいます。
餌となる害虫が少なすぎてはタバコカスミカメが繁殖できません。
逆に害虫が多すぎるとタバコカスミカメで処理するより前に作物に被害が発生してしまいます。
この問題の解決策としてはバンカー植物と呼ばれる、植物そのものがタバコカスミカメの餌となるものを用意するのが良いでしょう。
注意点をまとめると以下になります。
・気温が12℃以上ある
・害虫が少ないタイミングを計る
・バンカー植物を用意する
これらの注意点を元に実際にタバコカスミカメを放飼しましたが、本記事作成のほぼ直前となってしまったため試験期間が1週間しかありませんでした。ご了承ください。
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それでは本題へと移ります。
結論としてはタバコカスミカメは「ピカとる」に誘引されませんでした。
詳細としては、「ピカとる」から2-6mほど離れたクレオメ(15株、草丈1m)にタバコカスミカメ100匹を放飼し、1週間後に「ピカとる」に捕殺されている虫を確認しました。
コバエ、キノコバエ、コナジラミはそれぞれ100匹以上捕殺されていましたがタバコカスミカメは1匹も捕殺されませんでした。
所感としましては、「ピカとる」近辺におけるコナジラミは存在自体は確認しているが探さないと見つからない程度の個体数であり、100匹ほど捕殺したのは意外ではありました。
タバコカスミカメは放飼数こそ100匹程度と少ないながらも、「ピカとる」の近くで飛翔する様子も確認されていたので、黄色LEDに誘引される性質があるならば20-30匹程度は捕殺されるだろうと予測していました。
結果としてはまったく誘引されていなかったので前回記事の考察のとおりとなりました。
もちろん、今回の試験のタバコカスミカメの個体数や期間は万全ではありませんので今後も観察を続けていきます。
「ピカとる」とタバコカスミカメの併用は持続可能かつIPMに大きく配慮した方法であるので今後もその効果を実証したい所存です。
[M.T]

