もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、2025年2月25日、ついにCMMI V3.0モデル日本語版がリリースされました。
翻訳およびリリース作業に携わった関係者の方々には、この場を借りて感謝申し上げます。
さて、今回のメルマガでお伝えしたいことは、以下の一言に尽きます。
皆さん、CMMI V3.0モデル日本語版を買いましょう!
その理由を3つご紹介します。
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購入すべき理由1:日本語でCMMIモデルが読める
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なんといっても一番の理由は、日本語でCMMIが読めるということです。
CMMIをうまく使っていくためには内容を深く理解する必要があります。原文の英語を理解することも重要ですが、やはり母国語である日本語で読むほうがスムーズです。
最近の機械翻訳は優秀なので、ブラウザで英文のモデルオンラインビュアーを表示し、ワンタッチで日本語翻訳結果を表示させることもできますが、それでもCMMI特有の用語は変な訳になってしまうことがあります。たとえば、プラクティス領域が実践分野と訳されたり、CARが車と訳されたり、DQがドクムシやドラゴンクエストと訳されたりしますが、公式訳なら頭を悩ますことはありません。
また、公式訳があることで、翻訳の共通認識が生まれます。これまでドメイン名のPeopleを人員と訳すのか人材と訳すのかピープルと訳すのか、Virtualは仮想なのかバーチャルなのかなど悩ましかったのですが、公式訳が出たことでこれらは迷わずにすみます。
ただし、今回の日本語版は翻訳期間が限られていたため、実は一部の誤訳が残ったままリリースされていると翻訳チームの方からは聞いています。致命的なミスはないはずですが、細かな点には目をつぶってご利用いただければと思います。
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購入すべき理由2:正しいライセンス利用のため
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CMMIモデルのライセンスは個人ごとに付与され、複製や第三者の利用が禁止されています。社内のサーバにPDFを置いて共有して回し読みすることはできませんので、組織で必要なライセンス数分を購入する必要があります。
また、ISACAのCMMIモデルの知的財産(IP)の使用に関するポリシーが2024年10月に改定され、CMMIモデルライセンス未保持者へプラクティス文を含む資料そのものを共有することがNGになりました。画面共有などで一時的に示すことは引き続き許可されていますが、資料を印刷したりPDFで配布したりすることは出来なくなっています。
なので、弊社でも不特定多数が参照する可能性のあるホームページやメルマガにプラクティス文を含めない対応を行いました。
皆さんの組織でも、CMMIプラクティス文を含む資料を使った社内研修やアプレイザルの準備作業時には注意が必要です。プラクティス文を使わずに作業を行うのが難しい場合は、関係者の分のモデルライセンスの購入を検討いただいたほうがよさそうです。
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購入すべき理由3:将来のバージョン改訂への備え
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CMMIはV2.1までは日本語版がリリースされてきましたが、2021年10月のV2.2リリース時、V2.1日本語版の公開が突如停止され、入手不可となってしまいました。
以降は日本語版が入手したくても出来ない不便な状態が続いておりましたが、ISACAに日本語版の再販や新バージョンの翻訳の要望を継続的に申し入れ続けた結果、その声がようやく届いて、今回V3.0の日本語版がリリースされる運びとなりました。ここまで約3年半かかりました。
日本国内のCMMI利用者数は以前と比べて減少しており、ISACAから見たCMMIの日本の市場は決して大きくはないはずです。また、翻訳版の開発はそれなりのコストと期間が必要になります。そのうえで、V3.0の日本語版がリリースされた背景には、日本の関係者の熱意を感じてもらえた以上に、将来的に日本の利用者数が増えるという期待があると思われます。
今回の日本語版の販売数が伸びないと、次のバージョンの翻訳が行われないことも考えられ、今回のV3.0が最後の日本語版になる可能性もあります。
また、ISACAは2025年中に次バージョンのV3.1の開発・リリース予定をアナウンスしております。V3.1のリリース以降、V3.0日本語版の販売継続がどうなるかはまだ不透明です。
というわけで、V3.0日本語版が入手できる今のうちになるべく多くの皆さんに購入いただき、日本市場は顕在であることをISACAに示していきましょう。
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日本語版の購入方法
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次に購入方法のご紹介です。
CMMI V3.0モデル日本語版の購入方法は以下の3種類がありますが、いずれもISACAのホームページより購入できます。
●年間オンラインモデルライセンス
https://cmmiinstitute.com/store/cmmi-online-model-subscription-japanese?
オンラインモデルビュアーの1年間のアクセス権、および英語版PDF+日本語版PDFが入手できる$250のサブスクリプションです。ISACAは基本的にこちらの購入を推奨しています。
すでに英語版のオンラインモデルライセンスをお持ちの方は、日本語版の購入ページが別なので新たに買い直さないといけないのかと心配になりますが、ISACAに問い合わせて確認したところ、英語版のみのユーザーもそのまま日本語版を入手する権利はあるようですのでご安心ください。
とはいえ、日本人だからといって自動的には日本語版PDFは配布されないようです。年間ライセンスをお持ちの方は、ISACAに日本語版がほしい旨を問い合わせれば配布されるようなので連絡してみましょう。
●PDF版のみ
https://cmmiinstitute.com/store/cmmi-model-pdf-japanese
$150で英語版PDF+日本語版PDFが入手できます。オンラインビュアーは使用しない、または安く購入したい場合はこちらから購入することになります。
購入するとISACAのダッシュボードページにリンクが表示されてPDFがダウンロードできるようになります。
ただし、このリンクが表示されない現象が発生することがあるようです(私もそうでした)。この場合、ISACAに問い合わせればダッシュボードにすぐ表示してもらえます。
●エンタープライズライセンス
https://cmmiinstitute.com/products/cmmi/cmmi-enterprise-license
上記2つはいずれも個人にライセンスが付与されますが、3つ目の購入方法として、組織でまとめて複数ライセンスを購入するエンタープライズライセンスがあります。オンラインライセンスを10人以上まとめ買いする場合はこちらを利用するのがよいかもしれません。
ちなみにまだ公式の情報ではないのですが、将来的にPDF版のみの購入形式は廃止されるというショックなニュースもありますので、PDF版のみの購入を考えていらっしゃる方は早めの購入を検討ください。
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ドメインやプラクティス領域の公式訳
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最後に、CMMI V3.0の8つのドメインの日本語公式訳と、V2.2以降に追加されてこれまで公式訳のなかったプラクティス領域の名称を挙げておきます。
<V3.0の8つのドメイン>
Data データ
Development (DEV) 開発
People (PPL) ピープル
Safety (SAF) セーフティ
Security (SEC) セキュリティ
Services (SVC) サービス
Suppliers (SPM) 供給者
Virtual (VRT) バーチャル
<V2.2以降で公式訳のなかったプラクティス領域>
Data Management (DM) データ管理
Data Quality (DQ) データ品質
Enabling Safety (ESAF) セーフティの支援
Enabling Security (ESEC) セキュリティの支援
Enabling Virtual Work (EVW) バーチャル作業の支援
Managing Security Threats and Vulnerabilities (MST) セキュリティの脅威と脆弱性の管理
Workforce Empowerment (WE) 従業員のエンパワーメント
最後にもう一回繰り返します。
皆さん、CMMI V3.0モデル日本語版を買いましょう!
第252号:CMMI V3.0モデル日本語版がリリースされました!
2025年03月25日

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CMMI V3.0モデル日本語版がリリースされました!
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