CMMI V3.0では、リスクや機会に対して「戦略」を持つことが求められています。
RSK 3.3: リスクまたは機会の管理戦略を作成し、最新に保つ。
ここで、あらためてお聞きします。
そのリスク管理戦略、どう使っていますか?
作って満足して、棚の奥に眠らせていませんか?
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● V1.3ではハッキリ書いてあった「戦略に従って」
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少し昔話をすると、CMMI V1.3では、戦略と計画の関係がもっとストレートに書かれていました。
RSKM SP 3.1: リスク管理戦略に従ってリスク軽減計画を策定する。
つまり、
「まず戦略を決めて、それに従って計画を作る」
という流れが、プラクティスの本文にきちんと明示されていました。
では、V3.0ではどうなったでしょうか。
RSK 3.4: リスクまたは機会の管理計画を作成し、最新に保つ。
あれ?
「戦略に従って」という文言が消えています。
「じゃあ、戦略は作るだけでよくて、計画は好き勝手に作ってもいいの?」
そう感じた方もいるかもしれません。
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● 「リスク軽減計画」から「リスクまたは機会の管理計画」へ
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V3.0では、「リスク」だけでなく「機会」も対象に含めるため、用語も変わっています。
・V1.3:「リスク軽減計画」
・V3.0:「リスクまたは機会の管理計画」
この「リスクまたは機会の管理計画」には、例えば次のようなものが含まれます。
・リスクを減らすための計画(軽減計画)
・問題が起きたときの対応計画(有事対応計画)
・機会を活かすための計画(機会活用計画)
要するに、
「悪いことへの備え」だけでなく
「良いことを取りに行くための準備」も含めてマネジメントしましょう
というのが、V3.0のメッセージです。
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● RSK 3.4だけ読むと「勝手にやればいい計画」に見える?
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ここで気になるのは、
RSK 3.4の解説には、リスク管理戦略との関係が書かれていない
という点です。
RSK 3.4だけを読むと、
「各プロジェクトが自由に好きなように計画を作ってよい」
と受け取る人がいても、おかしくありません。
「とりあえずリスク一覧を作って、適当に対策を書いておけば、RSK 3.4は満たしてるでしょ」
――そんな運用になっていないでしょうか。
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● 安心してください。戦略はちゃんと「使うもの」です
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実は、戦略の「使い方」はV3.0にもきちんと書いてあります。
RSK 3.3 の解説には、次のように書かれています:
・戦略は早期に策定する。
・戦略は、組織またはプロジェクトのリスクと機会の管理計画に記録する。
・プロジェクト全体を通して戦略を最新に保つ。
・戦略は、リスクと機会の管理活動を導くために使用される。
つまり、
・戦略は早めに作り
・計画の中にきちんと落とし込み
・プロジェクトのライフサイクル全体で更新し続け
・リスク/機会管理活動の「道しるべ」となる
ことが求められています。
尚、まったく同じではないですが、よく似た記述はV1.3にもありますので、プラクティス文から解説に「格下げ」されたわけではありません。
計画を作るプラクティスから「戦略に従って」というのが無くなっただけです。
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● では、アプレイザとしてどう見るか?
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ここで少し視点を変えて、アプレイザの立場で考えてみましょう。
あなたがアプレイザだとして、次のような状況を見たとします。
・組織/プロジェクトには「リスク管理戦略(RSK 3.3)」が存在する
・「リスクまたは機会の管理計画(RSK 3.4)」も作られている
しかし、
・計画に戦略の内容が反映されていない
・戦略との関係が説明されていない
・計画を作るときに戦略を参照した形跡もない
この場合、あなたはどう判断しますか?
1. RSK 3.3 に弱み/改善の機会があると思う。
2. RSK 3.4 に弱み/改善の機会があると思う。
3. RSK 3.3とRSK 3.4のどちらにも弱み/改善の機会があると思う。
4. RSK 3.3とRSK 3.4のどちらにも弱み/改善の機会がないと思う。
「戦略はあるが、活動を導いていない(=飾りになっている)」状態をどう扱うか、という問いになります。
さて、あなたなら何番を選びますか?
第263号:リスク管理戦略、どう使っていますか?
2026年02月25日
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