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第253号:データ管理の目的:米国国防総省の7つのゴールから学ぶ

2025年04月25日

  • データ管理の目的:米国国防総省の7つのゴールから学ぶ

    データは、ヌニエン・スン博士によって作られたアンドロイドで、卓越した知識と能力を持ち、U.S.S.エンタープライズDの第二副長として勤務しています。データの特徴的な点は、感情を持たないことですが、人間らしさを学び、感情を理解しようと努力します。データはその論理的な思考とユーモアのセンスで、エンタープライズのクルーにとって欠かせない存在となりました。

    データの重要性について理解することは、24世紀だけでなく現代社会においてますます重要になっています。企業はデータから市場動向や顧客ニーズを把握し戦略的判断ができ、データに基づく意思決定は客観性が高く、リスクを軽減できます。また、データはAIや機械学習の基盤となりイノベーションを促進します。

    しかし、データの活用には適切なデータ収集、個人情報の保護、セキュリティ確保、データの信頼性の確保、分析バイアスの排除など、倫理的・法的な配慮が不可欠です。これらに配慮しながら、データを価値ある資源として活用するためには、データの管理が非常に重要な役割を果たします。

    効果的にデータを管理するためには、データ管理の目的を認識する必要があります。データ管理の目的やアプローチを明確にしましょう。しかし、データ管理の目的とかアプローチとかを明確にしろと言われても困りますよね。なにか事例がほしいですよね。そんなときは、DoDです。Department of Defense、米国国防総省によい事例があります。

    Executive Summary: DoD Data Strategy
    https://media.defense.gov/2020/Oct/08/2002514180/-1/-1/0/DOD-DATASTRATEGY.PDF

    この文書は米国国防総省(DoD)のデータ戦略を概説しており、国防戦略とデジタルモダナイゼーションを支援するためのビジョン、重点分野、指針、必須能力、目標を提供しています。DoDをデータ中心の組織に変革することを目的としています。

    この文書には以下の7つのゴールとそれを実現させるための目標が定義されています。

    1. データを可視化する (Make Data Visible) - 利用者が必要なデータを見つけられるようにする。
    ・目標1:データは公開され、承認されたユーザーが必要な時に必要な場所で利用できる。
    ・目標2:DoDは、共有されたデータの場所とアクセス方法を含むメタデータ標準を実装する。
    ・目標3:DoDのすべてのデータソースがカタログ化される。
    ・目標4:DoDは、データを公開、検索、発見するための共通サービスを実装する。
    ・目標5:戦闘およびビジネスのガバナンス機関は、ほぼリアルタイムのデータのライブ可視化に基づいて意思決定を行う。

    2. データをアクセス可能にする (Make Data Accessible) - 利用者がデータを取得できるようにする。
    ・目標1:データは、文書化された標準APIを通じてアクセス可能である。
    ・目標2:共通のプラットフォームとサービスが、データの作成、取得、共有、利用、管理を行う。
    ・目標3:データへのアクセスと共有は、再利用可能なAPIを通じて制御される。

    3. データを理解可能にする (Make Data Understandable) - 利用者がコンテンツ、コンテキスト、適用可能性を認識できるようにする。
    ・目標1:データはセマンティックな意味を保持し、DoD全体で標準化された方法で提示される。
    ・目標2:DoDは、同じデータ型には共通のデータ構文を使用し、データ資産にセマンティックメタデータを含める。
    ・目標3:データ要素は、統制されながらも柔軟な語彙と分類法を備えた包括的なデータ辞書に統合される。
    ・目標4:データは、目的、所有権、連絡先、セキュリティ、標準、インターフェース、制限事項、使用制限に関する関連情報を含む包括的なデータカタログにベースライン化され、インベントリ化される。
    ・目標5:DoDは、企業標準を含むビジネス語彙を作成、調整、実装、管理するためのプロセスを備えている。
    ・目標6:適応型のインテリジェントシステムがデータストリームを監視し、新しいデータを変換、結合、または導出する機会を特定することで、より深い洞察を提供する。

    4. データをリンク化する (Make Data Linked) - 利用者が固有の関係性を通してデータ要素を活用できるようにする。
    ・目標1:DoDは、データを容易に発見、リンク、取得、参照できるよう、グローバルに一意の識別子を実装する。
    ・目標2:DoDは、データの結合と統合を可能にする共通のメタデータ標準を活用する。

    5. データを信頼できるようにする (Make Data Trustworthy) - 利用者が意思決定においてデータのあらゆる側面に自信を持てるようにする。
    ・目標1:DoDの予算要求とそれを支える予算プロセスは、データ重視のエビデンスと学習アジェンダを統合する。
    ・目標2:DoDのデータは、そのライフサイクル全体を通じて、保護、系統、および系譜に関するメタデータが結び付けられている。
    ・目標3:DoDは、データ品質を評価・向上するためのデータ品質管理技法を実行する。
    ・目標4:DoDは、ビジネス、インテリジェンス、および戦闘データのマスターデータ管理を実施する。
    ・目標5:DoDは、確立されたプロセスとポリシーに従って、すべての適切なデータと記録を適切にタグ付けし、維持する。

    6. データを相互運用可能にする (Make Data Interoperable) - 利用者がデータについて共通の表現/理解を持つことができる。
    ・目標1:DoDは、同盟国を含むすべてのシステムについて、データ交換仕様を文書化し、実装する。
    ・目標2:交換仕様には必要なメタデータが含まれ、データセットとともに標準化されたセマンティックな意味が伝達される。
    ・目標3:公開データ資産は機械可読であり、利用可能である。
    ・目標4:DoDは、ミッションクリティカルな忠実度、精度、または正確性を損なうことなく、異なるデータ標準およびフォーマットを迅速に仲介する。
    ・目標5:DoDは、データの相互運用性を実現するためのデータタグ付け戦略とそれに続く実装計画を策定し、公布する。

    7. データを安全にする (Make Data Secure) - 利用者が、データが不正使用/改ざんから保護されていることを知ることができる。
    ・目標1:データへのアクセス、使用、廃棄を管理するために、きめ細かな権限管理(ID、属性、権限など)を実装する。
    ・目標2:データ管理者は、データ集約に起因するセキュリティ問題を防止するため、分類基準を定期的に評価し、コンプライアンスをテストする。
    ・目標3:DoDは、セキュリティマーキング、取り扱い制限、および記録管理に関する承認された標準を実装する。
    ・目標4:分類および管理マーキングが定義および実装され、コンテンツおよび記録保持ルールが策定および実装される。
    ・目標5:DoDは、意図しないデータのリリースおよび開示を防止するために、データ損失防止技術を実装する。
    ・目標6:許可されたユーザーのみがデータにアクセスおよび共有できるようにする。
    ・目標7:アクセスおよび取り扱い制限のメタデータは、変更不可能な方法でデータにバインドされる。
    ・目標8:データへのアクセス、使用、および廃棄は完全に監査される。

    以上、いかがでしょうか。参考になりましたでしょうか。効率的かつ効果的なデータ管理は、競争力強化と事業成長の鍵となります。あなたの組織がデータの力を最大限に活用され、さらなる飛躍を遂げられることを心より願っております。

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